03博士号のとりかた(How To Get a PhD)

「博士号のとりかた」★★★★

★★★★★→名著。人に薦めたい。人生の10冊に入るレベル。
★★★★ →かなり好き・良い。人生の100冊に入るレベル。
★★★  →良い本だと思う。
★★   →まだ良さがわからない。
★    →途中離脱


博士課程では自己管理が求められる。
何を必要とし、何をするかを決めるのは自己責任である。

第1章 博士課程の学生になるということ
博士学生の心理の流れ
①先輩学生、学術誌や出版物が神聖なものであるかのように立ちはだかる。
②乗り越えると、新たなアイデンティティを構築し相手の肩書きに関係なく独自の見解を述べる
③限界を知りながらも自分の知識に自信を持つようになる。
④バカだと思われることを恐れるのをやめ、自己の無知を自覚し、分からないことを認め、必要な情報を尋ねることができるようになる。
このレベルに達することが、実は博士課程の目的のすべてである。

第2章 博士課程に入る
・〆切を細かく設定した小さな研究課題を立ち上げるために、早い段階で指導教員と会おう。終わったら、結果についてだけでなく、どうやって研究を表し、それから何を学べるかについても話し合おう。

・学生は、明確な〆切がある小さな課題から研究の第一歩を踏み出すべきだ。一つの課題を終えたら、指導教員にその仕事の中身とそれに対する自分の気持ちについて話すことを前もって合意しておく。こうして、自身の研究や執筆能力について課題を明らかにする。書かれる過程で校正、書き直しといった進化のプロセスが避けがたく必要であることを体験する意義もある。

・指導教員や同僚学生との人間関係を構築しよう。期限付きの目標を掲げ、それらを達成しよう。

第3章 博士学位の本質
・自分の専攻分野において完全なプロの研究者となるために必要な業績の基準を知ろう。
・同じ専攻分野の他人の博士論文を読んで、審査委員などを満足させる博士論文にはどの程度のオリジナリティが必要なのか知ろう。
・論文完成と博士号取得に必要なのは、聡明さでなく、決意と日々コツコツと行う努力であることを忘れないでおこう。
・学生と指導教員は、研究領域の設定と学位取得までの決められた時間の間に生ずるギャップを常に意識し、必要に応じて調整をしていくよう心がけよう。

博士号の意味
・博士号のコンセプトは科目についての最新の知識とそれらをさらに発展させる知見を有している人材の証。
・博士号保持者は研究分野を熟知するものであり、学術的な貢献を行える人である。

完全なプロの研究者になる。プロとは
・同僚に意見を求めれられる
・専門分野で何が起きているかを把握し、その価値を評価できる
・研究に貢献する箇所を見つける嗅覚がある
・職業倫理を理解し、許される範囲で研究する
・現在使われている研究手法をマスターし、さらに手法の限界について知っている
・専門分野の検証、結果を効果的に説明できる
・国際的に通用する研究仲間が地球規模で存在し、世界中の研究者コミュニティの間で何が発見され、議論され、書かれ、出版されているかを把握している

プロの研究者への一歩を踏み出す時に得ようとするスキルが、研究の水準を評価する能力。あなたが完全にプロの水準に達した研究手法を会得していることを証明するために研究する。

どんな能力を身につけるのか?
・記事や本から重要な箇所を見極め能力
・書きまとめ、自分の論文との内容とどう繋がるかを示す能力
・人前で自分の考えを伝達する能力
・タイムマネジメントや期限を守る能力
・自分の仕事ぶりを自己評価する能力
・自分の研究課題に関して常に客観的でありながらも問いかけ続ける姿勢

博士としての技能を身につけること
・専門的スキルと一般的スキルの獲得がプロの研究者への第一歩を踏み出す際の目標となる。
博士課程の目的とは、完全なプロの研究者になることであり、実際にそうであると証明することである。

自分がプロの水準に達しているか見極めるには
・プロの研究者の水準とは何かを知らずして博士号は得られない。
 →①他人の博士論文を読み、水準を知る
 →②博士とは、プロの研究者の仕事の水準を自分で評価できる者に与えられる。

博士課程では何を教わるのか?
・研究PJの計画と管理
・学術研究に適切な英語を書くこと
・研究における倫理的ガイドライン
・オンラインジャーナルのデータベース、図書館の利用の仕方

修士号と博士号の違い
・博士課程にはオリジナリティに重きが置かれている。
・議論を統合する力、批判する力も要求度が高い。
・「孫引き」ダメ。
・批評的考察の度合いだけでなく、レビューの広さと深さも違う。

博士号取得とは、要は「決意」の賜物と気づくことは重要。
これを知るのは早ければ早いほど良い。
研究の成功は、他の仕事がそうであるように「しなければならないこと」である。

第4章 博士号を取得しない9つの方法
・博士号を欲しがらない
・やるべき課題を過大評価する
・やるべき課題を過小評価する
・やるべき課題を把握していない指導教員を持つ
・指導教員との連絡が途絶える
・研究環境にいない(やる気と暗黙知)
・ポジションや論拠のある持論を持たない
・他人の業績の盗用・剽窃、または結果の捏造
・修了前に新しい仕事に就く

博士号を目指すなら、オリジナルな貢献は「狭く」定義すべきである。
研究が日課のなかで重要な位置を占めている先輩や後輩を含む研究学生に囲まれること。

第5章 研究の仕方
・研究スキル習得に必要なことをリスト化しよう
・訓練なしに使える技術はないと肝に銘じる。

研究の特徴
研究とは未知のことを調べるものである。
多くの研究は分からないことを調べるのではなく、分からないということを「発見」するものだ。
既存の考えを改めさせ、既存の知識に疑問を抱かせ、複雑な現実の新たな側面に光を当てることを目的としている。
「研究」と「情報収集」を区別して考える必要がある。

情報収集ー「何?」の問い
研究ー「なぜ?」の問い。説明、関連、比較、予測、一般化、理論を導き出す分析を必要とする。

良い研究の特徴
・研究は思考のオープンシステムに基づいている
・研究者はデータを批判的に考察する。研究者はデータと情報源を批判的に精査する。
・研究者は研究の汎用性を示すと同時にその限界をも示す。
・仮説検証型研究法

研究する技法
・研究は職人仕事。ゆえに基礎は「やりながら」覚える。最初の段階では、研究分野のお手本を見て、どんなスキルやテクニックを用いているか、できるだけ体系的にまとめることだ。
次に、フィードバックをもらいながら、できるだけ使ってみる。
・研究のスキルは実際の研究を始める前に向上させておかなければならない。
・自分の研究において必要な技能や技法が何なのかを見出し、論文に向けたPJにおいて自信を持ってそれらを使いこなせるように練習する必要がある。

第6章 博士論文の型
・博士論文の4つの型(背景となる理論、焦点となる理論、データ理論、貢献)
・ポイントがボケないように、主張をサポートする以上の長さの論文を書かない。
・論文のオリジナリティ、博論の要件の解釈は、様々な角度から指導教員とじっくり話し合おう。
・独自の貢献とみなされるには、その部分に関して小さなステップを踏むだけで良いということを覚えておこう。

研究分野
・その分野について詳しい知識を持つことが要求される。
現在どのような状態にあるのか、
どのような発展が見られているのか、
何が論点になっているのか、
その分野の第一人者が何に興味を持ち何に携わっているのか、
どのような思考が分野の先を行く考えを打ち出しているのか
などを熟知している必要がある。
また、その分野が現在に至るまでの歩み・歴史も把握しておく必要がある。

先行研究レビュー
・文献レビューは目的があって行うもの。つまり、研究分野の背景を研究者自身がプロとしてよく知っているという事実を示すために行われる。
その研究分野について他の実践者や研究者などのプロたちが聴きたくなるほどの内容が述べられること。よって、独特の視点から先行文献をまとめ、他人の貢献を評価し、研究活動のトレンドを見つけ、理論的・実証的な面における弱点を指摘するなどの行為。(単に、論文タイトルを羅列するだけではダメ。)
文献レビューは、感想文でない。読者がその論文の残りの部分を読む時に、あなたの打ち出している論点や貢献がなぜ重要なのかを理解する上で役立つ先行研究レビューこそが良いレビュー。
つまり、文献レビューとは、あなたが打ち出そうとしてる論点の穴を見せ、それをあなたの議論と貢献を通して埋めることを理解してもらうための道具です。
・博士課程の初期の段階で文献レビューを書き始めるのは良い方法である。先行研究の文献レビューを書くにあたり、その分野における近年の研究年次集などの先行研究調査を読み、書き方を参考にするとよい。

研究課題
・課題を挙げ、何を、どういう理由から研究するのかを明確に示す必要がある。
可能なら仮説を導き出し、他の論拠を考察し、自分で集めたデータとその分析を使って主張をアカデミックな議論に昇華させることが、ここですべきこと。
・文書を書く目的は、簡潔明瞭かつ包括的なライティングにより、焦点がブレない論文を書くこと。

研究方法
・一般的に主張をサポートするために使う材料の関連性、および妥当性を証明するもの。論文の良し悪しには「なぜ分野を同じくする研究者たちが、あなたの主張を聞かなければならないのか」という問いへの回答が重要なので、必ず明確に答えなければならない。

研究による貢献
・「知への貢献」を書き出し、論文の重要性を自己評価すること。分析の重要性を強調し、論の限界を指摘し、今後の課題について述べる。
自分の研究分野においての理論と焦点を当てた研究課題が、自分独自の貢献により、明らかにどう変わったかを証明するために書かれるもの。

章立ての詳細な枠組みと選択
・イントロダクション(目標を含む)
・先行研究(研究課題とそれに関連した研究に関する文献のレビュー)
・研究課題およびそれとどう取り組むか
・研究方法(データ収集法と手法の描写)
・結果(発見したこと)
・議論(焦点となる理論を発展させ、今後の研究の展望について示唆)
・結論(要約は端的に、貢献は詳細に説明)

オリジナリティーという概念
 104ページ参照
学者にとってオリジナリティとは、分野やトピックに対して「全く新しい知見」を示すことでないので、それほど悩むことでない。

第7章 指導教員との付き合い方
・指導教員との関係構築は、あなたの責任であると自覚しよう。これは偶然や自然の成り行きに任せるには重要すぎる事柄だ。
・第一の指導教員、第二の指導教員と行った役割を明確にしよう。研究の進捗状況を報告しよう。
・指導教員の期待に応えよう。すべての期待に答えられなければ無視するのでなく、話し合いのテーマにしよう。
・あなたは継続的に指導教員を教育する必要がある。まずはあなたの専門とする研究テーマについて。次に、プロの研究者としての自立のためにどのような指導が最適かについて。
・指導教員とのMTGのたびに、そこで合意したことを次のMTGの日取りとともに書き出そう。MTGや締め切りには遅れないように。
・指導教員があなたの研究によいアドバイスができるよう協力しよう。要求されたことを自分が理解しているか確認するための質問を心がけよう。

指導教員が博士課程学生に期待すること
・指導教員は学生に自立して欲しい
・指導教員は学生に草稿でなく原稿を書いて欲しい
 十分に時間をかけてきちんとした形で提出すべきなのは、単なるマナー以上に重要。同期や指導教員などから交互にフィードバックを得るとよい。
 自分の研究について関心を持つ人とのコンタクトを絶やさないこと
・指導教員は学生と定期的に会いたい
 定期的なミーティングは、指導教員も学生もともに一定の間隔で期限を設け、それによりそこまでの作業レビューをすることにある。
 ★MTG前に指導教員に資料を送ること。
 MTG前に議題を確認する。
  ①前回のチュートリアルで合意した内容のレビューとまとめ
  ②進捗状況に関するディスカッション
  ③前もって渡していた文章等の内容に関する指導教員からのコメント
  ④そのフィードバックに対する自分の回答
  ⑤指導教員から自分の行動を見て感じたことに関するコメント
  ⑥チュートリアルでカバーしたかった内容をすべて完了しているかどうかの確認
  ⑦次のチュートリアルまでに何をどうするべきかの合意 
  ⑧次のミーティングの日程設定
  ⑨次回のミーティングのスタート地点として使用するMTG要点のまとめ
 お互い次までにどうするべきかを合意した内容をメール送信し、確認をとること。
・指導教員は学生に進捗状況を正直に報告して欲しい
・指導教員は学生に指導に従って欲しい
・指導教員は学生が研究に熱意を持ち、驚きを与えてくれ、一緒にいて楽しいと思える人であって欲しい。

指導教員を「育てる」必要性
★指導教員が「会いたい」と思える価値提供する。目の前の顧客を満足させる。

コミュニケーションの壁の取り払い方
 指導教員があなたのために割いてくれる準備などの隠れた時間に対し、感謝の気持ちを示そう。
・チュートリアルの向上
指導教員とうまくやるために最も基本的なことは、彼らとなんでもよく話し合うこと。
 ①私は先生の指導の機会をうまく生かせていますか?
 ②指導から次の指導までの間に、私の研究が十分に進んでいると思いますか?
 ③私の、先生のコメントの利用の仕方に問題ないですか?
 ④指導において私の教えを請う態度は適切ですか?
 ⑤お互いがもっと効率的に作業を進めるにはどうしたらよいとお考えですか?

フィードバックの向上
あなたが本当に必要とする情報を聞き出すための質問を精査する。
話しあった内容の要点をまとめ、シェアしよう。

第8章 博士論文を書く
・各作業は最後にまとめてできるものだと思わないこと。書かなければ効率よく書く能力は鍛えられないし、また論文を書く力も養われない。
・研究過程において、レポート、下書き、書評などあらゆる機会を使って書くように心がけること。
・書く時間を設け、その時間をしっかり守ること。
・読みやすい言葉で書くこと。
・まずは同期の学生から、そしてそのあとに指導教員からフィードバックを受けること。これらは執筆とリライトの過程において鍵となる。
・論文は取り組みやすい箇所から始めること。章立て通りに書く必要なし。
・学会誌や学術誌に論文が受理されることは、プロの学者として成熟していく上で重要な要素である。

何を書くか
 関連文献のレビュー報告→先行研究を細かく報告→自分の研究課題に関して別の検証方法を提案するなど。
 とにかく、常に何かを書き続ける。
 どこからでもよい。まずは「研究方法」や「先行研究」から書きはじめよう。

いつ書くか
 トロロープは3時間(朝5時から8時)で2000語を書き上げることを目標としていた。ポモドーロテクニック。時間が終えたら、途中でもやめる。

どう書くか
・本腰をいれる。
 書くものは書く時間を決めて確固として譲らない。その時間が来れば深呼吸し、歯を食いしばり、書くのだ。あなたにもできる。1度決めたその時間を守り、邪魔が入らないようにすること。
 初心者は20分で500語書くように挑戦しよう。139ページ参照。

リライトの過程としてのライティング
・書き直しは執筆作業の中で重要な要素である

ライティング工程サイクル(144ページ)
・要点を書き出す
・大まかな構成をし、それができて初めて先に書いた要点を文法と文章のバランスを考慮した段落としてまとめること
・執筆の量とそれを達成する日付に関する目標を立てること
・一週間に2時間から5時間を執筆に費やす計画を立てること。毎週初めにその時間をいつにするのかを決めてトロロープのようにその時間を守り、邪魔が入らないようにすること
・執筆のための静かな落ち着ける場所を探し、できれば執筆には同じ場所を使うこと
・書いたものを読み直し、校閲すること
・初期の草稿は指導教員に見せる前に同輩や友達にコメントしてもらうこと
・同輩からの「フィードバック」をもとに改訂を加えること
・「さらなるフィードバック」を指導教員から得ること
・「フィードバックを受け入れ」改訂するか考え直すこと

ライターズブロック
学術的な著作活動をする際のライターズブロックの原因は、
・著者が著作に慣れておらず、書く練習が足りない
・著書が自分のした研究とその結果を見て、書くに値しないのではないかと思い込む
・著者は書き始める前に何を書きたいかを知っているべきだと感じている
・著者が自分の研究について感じていることを言い表すのに必要な、膨大で終わりのない文書を想像し、どこから始めてよいかが分からなくなる
「先に進ための秘訣は、まず始めることにある。まず始めるための秘訣は、複雑な仕事を、取り組みやすい小さな仕事に分解し、最初の一つに取りかかることだ」
「小さく始めること。しかしそれに実際に取り組むこと。もし行き詰まったら、論文のすべてを書き上げようとしないこと。自分がよく知っている内容のなかでも小さな箇所を選び、それについて書くこと」

論文の内容と文体
・内容
 読者にとって新しい情報や考察などを明瞭に書き表す。曖昧な部分を残さずに書き出される。
 本当に考えることができるのは書いている時だけである。
 論文は高度に構造化された比較的短い文章の中に非常に多くの情報を圧縮して書き込むべきである。

・文体
 自分の分野において受け入れらている文体がどんなものであるかを知り、参考にする意味でも関連する学術誌を読むことは有効だ。
 あなたはその文体を真似て書く練習し、多少なりともその文体等のスタイルにおいて熟練者となるように努力をすべきである。

学会発表論文と学術誌論文を書く

第9章 博士課程のプロセス
・博士号取得までの道のりには心理的な段階があることに留意しよう
・指導教員とともに183ページの研究段階のモデルを使って計画を立てよう。
・各ステージでtodoリストをつくり、やるべき課題を明確にしよう。
・〆切は重要である。現実的な目標を立てて、それらを達成しよう。
・研究内容を互いに批評をしあい、励まし合い、期限を守るよう促しあうことのできる研究学生の仲間を最低でも1人は持とう。

心理面
・指導教員依存から研究依存へ
 学生たちが研究に熱中するにつれ、外部からの「承認の必要性」は小さくなる。
 自身の研究の質に関する判断への自信が深まれば、自分自身で思考を発展させることができるようになる。
 第三者の存在なく自身の進捗度を評価し、自身の「指導教員」になるにつれ、教授とのミーティングに「何か具体的な成果を生み出さなければならない」というプレッシャーがなくなった。
・フラストレーション
 研究が進むと結果をさらに追求したくなる。新たな冒険をすることは常に魅力的だが、決められた期限内に博士課程を終わらせたいなら、脇道に逸れることなく、計画通りに研究を遂行した方がよい。
・終わらせるべき仕事
 実際に研究者として歩み始めると、博士号の用件はそれほど際立った能力を要求していないことがわかる。ただ、継続する力、退屈、フラストレーションの感情を乗り越える力が必要なのだ。研究も所詮「しごと」であると割り切ることが必要。
・インポスターシンドローム
・幸福感

プロジェクトマネジメント
・タイムマネジメント
 ①期限内に博士号を取得するために、しなければならない点を現実的にあげること
 ②詳細なレベルでそれらを期限つきのタイムテーブルに移し、達成すること
 タイムマネジメントの成功を確実にするためには、研究計画のパートを簡単に達成できそうな短期目標に分けることが必要。
・タスクマネジメント
 183ページ、タイムブロックは博士課程全体を9つの段階で示す。各ブロックはフルタイム学生で4ヶ月、パートタイムは6ヶ月。
①研究分野 (背景となる理論)
②研究テーマ候補 (背景となる理論)
③パイロットスタディ (焦点となる理論)
④研究計画
⑤データ収集と分析(よい研究者はデータ分析を熟知)
⑥データ収集と分析 (データとなる理論)
⑦最終書き上げ (貢献)
⑧最終書き上げ
⑨最終書き上げ

第10章 研究環境のおいて直面しうる問題
・運動、食事、睡眠を怠らず、規則正しく健康的な生活習慣を保つこと。
・パートタイム学生の場合、できれば仕事に関連する研究課題を見つけ、スケジュールに博士課程の研究を行う決まった時間を確保し、忠実に実行すること。
・指導教員、研究仲間、研究科、研究科と定期的に連絡をとること。時間がなくても電話や電子メールで進捗状況を報告すること

研究環境に身を置くことのチャレンジ
・博士課程の学生は「仕事をしている印象を誰かに与える」ことは全く無意味であり、結果だけがものをいう世界である。

規定時刻のないことによる問題
・外的制約がない時ほど、人は怠けがちになる。短期的には今日あなたが博士号取得のために何かをしたかなどは重要でないかもしれないが、これは徐々に先延ばしになり、ずるずると続いてしまう。

パートタイム学生が直面する問題(201ページ)
・タイムマネジメント
 特にスケジュールに遅れないことが重要。期限厳守。
・学外における責務
 パートタイムの学生はルーティンを大事にする必要がある。

ストレス対策と健康状態の保持というチャレンジ

第11章 審査制度
・審査委員が論文に求めるもの
 1知識:優れたは博士号のすべての必要な要素が整っている
  ①研究課題に合わせた研究分野の評価
  ②研究課題
  ③研究の手法
  ④研究による貢献
 2技能:専門家としての研究スキルが備わっていることの証拠
  ①合理的な思考能力
  ②クリエイティブな思考能力
  ③執筆力
  ④データ収集力
  ⑤データ解析力
  ⑥データの表示力
 3価値観:研究者としての適切な価値観を身に付けているのが明らか
  ①研究デザインにおける研究対象、クライアントなどの倫理的扱い
  ②剽窃や盗用の拒否
  ③データの捏造や改竄の拒否

・口頭審査で学生は何を目標とすべきなのか
 あなたの目的は、自分が完全に専門的な研究者であると実証すること。また、自分の研究の強みと限界を理解しており、そこからどう発展させるべきかを自ら提案できるのを見せること。

・口頭審査のための準備
 ①良くある質問についての回答を準備すること
 ②論文の体系的なサマリーを準備すること
 ③口頭審査で論題として挙がって欲しい内容をリスト化しておくこと
 ④模擬口頭審査をしていくこと
 

 ・研究課題の先行研究ではどのような重要な制約があったか?
 ・あなたのテーゼは何か?(あなたの論点と立ち位置、そして課題に対する回答は何か?)
 ・あなたの研究による貢献は何か?
 ・あなたの研究の制約は何か?
 ・もしこれを初めからやり直すとしたら何を変えるのか?
 ・この課題に対する研究がどう発展していくと考えるのか?
 これらを2、3行以内に簡潔で答えられるように。  

付録1 学生のための研究進捗度自己診断(p333)


 

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