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知ってた⁉ロレックスの宝石時計はハリー・ウインストン超えのクオリティ??

2024年、ロレックスの新作が宝石祭りだったので、がっかりした!なんて方も多かったと思います。

そして昔から中古・ヴィンテージロレックスは、定価が高いはずのダイヤ付きモデルがノーマルモデルより安いという謎の現象があるのも有名です😂
実用時計としての魅力を求めるロレックスには、やっぱりダイヤあると抵抗感ある!なんて方は多いとは思います。

何を隠そう私もその口です😆

そんなアンチ・ジェムセッティング💎🙅‍♀な方に!今日は目からウロコを落としていただこうと思います。実はロレックスのダイヤモデルって、かなりお得なんです❗

もちろんダイヤ付き時計に極度のアレルギー体質の方は除きますが、ダイヤ付きってだけで何となくイメージで避けていただけの方は必見です!
というのも、中古のダイヤ付きロレックスは激安叩き売り状態なんですよ。

まず宝石業界の方なら、ロレックスに使われる宝石のランクがえげつないのはおそらく周知の事実です。

そしてロレックスのジェムセッティング技術も、腕時計業界では最高峰と言われています。ここで言う最高峰の定義は、カルティエのようにジュエラーのデザインコンシャスなジェムセッティングとは違い腕時計に施す意味で定義します。
※ようは時計のジェムセッティングは外れない頑丈な取り付けと、美しさの両立と言う意味です。

そんな視点でロレックスのジェムセッティングを解説してみたいと思います。


本題の前に!ダイヤモンドの4Cを簡単におさらい

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

まず、ダイヤモンドの品質基準についてご存知の方も多いと思いますが、簡単におさらいしておきます。
現在ではGIA(米国宝石学会)が定める4C(Color・Clarity・Cut・
Carat)
が業界標準のグレードです。

【カラー(Color)】

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

化学的に純粋かつ構造上完璧なダイヤモンドは無色透明が最高峰の基準とされており、D〜Zの順で無色を23段階評価されます。つまりカラーで言うと、Dが最も最高峰です。

出典:https://www.brilliance.co.jp/engagement/select/color.html

【透明度(Clarity)】

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

ダイヤモンドのクラリティ(透明度)とは、インクルージョン(内包物の欠陥)やブレミッシュ(外部傷などの欠陥)が無いことの程度を表します。その程度によって11等級に分けられます。

フローレス(FL)
10倍の倍率でインクル―ジョン、ブレミッシュがともに見られない
※ルース(裸石)で保管するもの。加工時にブレミッシュがつくため、加工する前提のジュエリーなどにこの等級は選択されないため、加工前提の素材だと次のIFがトップグレードになる。

インターナリーフローレス(IF)
10倍の倍率でインクルージョンが見られない

・ベリーベリースライトリ―インクル―デッド(VVS1およびVVS2)
インクル―ジョンが非常にわずかなため、熟練したグレーダーが10倍の倍率で見ても確認が困難

ベリースライトリ―インクル―デッド(VS1およびVS2
10倍の倍率でインクル―ジョンがなんとか確認できるが、微少と特徴づけられる程度

スライトリ―インクル―デッド(SI1およびSI2)
インクル―ジョンが10倍の倍率で見て確認できる

インクル―デッド(I1I2I3)
インクル―ジョンが10倍の倍率で容易に確認でき、透明度や輝きに影響を与える可能性あり

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

【カッティングの美しさ(Cut)】

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

ダイヤモンドのカットは、石の最終的な美しさと価値にとって極めて重要なのですが、4Cのうし、カットが最も評価が複雑で、分析も技術的に困難だそうです。
カットグレードは、ダイヤモンドのファセットが光といかに良い相互作用を持つか?を以下の評価基準で、5段階の総合評価(Excellent・Very good・Good・Fair・Poor)が与えられます。

5段階(Excellent・Very good・Good・Fair・Poor)を決める評価基準

・輝き/明るさ:
ダイヤモンドから反射される内部および外部の白色光
ファイアー:虹のすべての色を見せる白色光の分散
シンチレーション:ダイヤモンドが生成する輝きの量、およびダイヤモンド内の反射が生み出す光と暗い領域のパターン

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

【カラット重量(Carat)】

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/

カラットはダイヤの大きさを表す言葉とし多くの方がなじみのある言葉だと思います。厳密に言いますと、ダイヤモンドのカラットとは、ダイヤモンドの重さの測定項目です。 「1カラット」とは200㎎と定義されています。

ただ、カラットは素人に最も分かりやすいため、大きければ高価だと誤解されがちですが、4Cの他の3つの要素がより価格に影響するためグレードの低いダイヤはカラットが大きくても非常に安価なので騙されてはいけません。


上記をメーカー独自でグレード基準を定めてしまうと、同じ最高峰ランクと言ってもメーカーでバラバラになってしまいますから、GIAの明確な基準が広まることによってダイヤモンドは市場価格が明確化されてきました。
例えばカラー基準はこちらのマスターストーンの色味に準拠したものでないと意味がありませんよね?明確に基準を示した事でメーカーごとのグレードのバラツキを抑える仕組みを作ったのがこの4Cと言うグレード基準なんですね。

この基準をおさらいした所で、ロレックスのジェムセッティングモデルがどれほどすごいかを見ていきましょう。

各社の使用ダイヤのクオリティ比較

その比較をする上で、まずはトップジュエラーはどのランクのダイヤを使っているのかをみていきましょう!

世界5大ジュエラーと呼ばれるのは、ハリーウインストン・ヴァンクリーフ&アーペル・カルティエ・ティファニー・ブルガリです。

この中で格が頭ひとつ抜けている存在として、「キング・オブ・ダイヤモンド」と呼ばれるハリーウインストンがあります。
宝石学者で、ダイヤモンドを知り尽くした男として、その審美眼とダイヤモンドの独自セッティングなどで揺るぎない地位を確立しています。

そのハリーウインストンは現在スウォッチ・グループ傘下で時計製造をしていますが、時計のジェムセッティングに課した厳格な基準はと言うとこちらです。さすがのトップクオリティですね!

・カラーのグレードはトップ3(D、E、F)のみを厳選
・クラリティのグレードはIF〜VVSまで(一部のモデルを除く)こちらもトップ3のグレード!

ハリーウインストン・使用ダイヤモンドのグレード基準

対して、腕時計界の三大雲上ブランドの基準を見てみましょう!

まず、オーデマ・ピゲは…グレード明言を拒否し、ブラックボックス化😂

クラリティ、カット、カラーにおいて、マニュファクチュールの最高条件を満たしています。

オーデマ・ピゲ・使用ダイヤモンドのグレード基準

ヴァシュロンはというと、ハリーウインストンに並ぶ高品質なダイヤモンド選定基準を採用しています。

・カラーがD~G(トップ4)
・クラリティがIF~VVSのグレードのもの(トップ3)

ヴァシュロン・コンスタンタン・使用ダイヤモンドのグレード基準

そして腕時計界の首領・パテックフィリップの基準はさすがで、ハリーウインストンを超えています!

・カラーグレードはトップ4(D~G)
・クラリティのグレードは内包物なし(トップグレードIFのみ
❗️

パテックフィリップ・使用ダイヤモンドのグレード基準

じゃあロレックスはと言うと(公式より抜粋)

・カラーグレードは米国宝石学会GIÀ の基準を元に肉眼にて厳格に選別されたトップ4(D~G)のみ。
・クラリティのグレードは内包物なし(トップグレードIF)のみを使用

ロレックス・使用ダイヤモンドのグレード基準

なんと、ロレックスはパテックと同じハリーウインストン超えクオリティのダイヤモンドの選定基準を採用しているのです!
私は、宝石の基準に関して、クラリティグレードでIFしか使わないと公言する時計ブランドはパテックとロレックス以外知りません!!

腕時計界最高峰のジェムセッティング技術

ちなみに、ロレックスもパテックもジェムセッターは伝統的技法のみでセッティングを行います。これってようは、接着剤などは一切使いませんよ!と言う事です。

2023年に新宿で行われたパテックフィリップ展に行かれた方なら、この伝統技法の猟奇さをご存知だと思いますが、ジェムセットする際、1つずつ微妙に異なる宝石の形に合わせて台座を作る工程をご覧になったと思います。つまり全身ダイヤみたいな時計は各宝石ごとの特注台座を使用宝石の数だけ作っているわけですから、気が遠くなります…

この2社がこの伝統技法採用を改めて言及するということは…他のブランドの多くは接着剤でくっつけちゃってるんでしょうかね😂そりゃちょっとした衝撃で腕時計から石が取れちゃう訳ですよ。

Ref.2021流ジェムセッティングモデルの楽しみ方

ロレックスのダイヤはあえて蛍光性のある【fluorescence フローレッセンス】強めの石を数石必ず使っています。
フローレッセンス?なんて評価項目は4Cの中になかったけど…と困惑されるかもしれませんが、これはダイヤモンドの外観にほぼ影響を与えない評価項目で、天然石の約25%〜35%になんらかの蛍光性が認められます。これはブラックライトで照射すると色が着いて見てます。

出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/
このように通常はダイヤモンドの輝きに一切の影響を与えませんが…
出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/
ブラックライトを当てるとこんな風に別の美しい側面を楽しめます!
出典:https://4cs.gia.edu/ja-jp/


ロレックスはこのフローレッセンス強めの石を敢えて1、2石使うことで、“ちゃんと天然石ですよ〜”という証明をしています。また、「アフターダイヤ・ダイヤル」という外部の業者が作った偽造ダイヤルがありますが、その偽造排除と真贋鑑定にも使われていると言われています。(ロレックスは何時位置にフローレッセンスダイヤをセッティングしたかをシリアルでアーカイブ管理していると噂です。)

これが時計好きならブラックライトを当てて楽しめるポイントになってて、物によってはグリーンのものだったりブルーのものだったりと眺めて楽しめるポイントになっていたりします。

ダイヤモンドが天然で生成される過程でさまざまな分子が混入する事で蛍光性を持つといわれていますから、非常に神秘的ですよね。

また、太陽光の下ではほとんど分からないと言われていますが、Very strongクラスになると若干オイリーな表情になると言われていますので、そこをNoneダイヤと比べて鑑賞するのも面白いんじゃないでしょうか?

ロレックス流10P・8Pダイヤのこだわり

ロレックスがなぜIFのみにこだわるのか?なんですが、例えば、文字盤側に良く使われるダイヤのカットにバゲットカットがあります。
これはインクルージョンがあると非常に目立つため、透明度の高いダイヤにしか施せない贅沢なカットと言われています。

視認性を考慮しつつ、最高級のダイヤをシンプルにあしらったバゲットカット

他にも、ダイヤルインデックスにはシングルカットと呼ばれる17面カットのダイヤをセッティングし、ベゼルにはブリンブリンなブリリアンカット(58面カット)を装飾として使い分けされています。

視認性を優先し、ダイヤルにはシンプルなシングルカットを採用

インデックスに使用する小粒ダイヤの場合、ブリリアントよりむしろシングルカットの方がシンチレーション(表面の反射)の効果が高いそうで、視認性とのバランスを考え、敢えて仕上げが面倒な古いスタイルのカットを今でも採用しています。また、このカットはダイヤの品質がそのまま出てしまうと言われているため、透明度の高い最高級のIFグレードのみにこだわっているんでしょうね。

スッキリと輝かせ、あくまで実用性を優先したシンプルなカッティング。
最高クラスのダイヤだから施せる、伝統的で控えめな実用性優先のジェムセッティングはある意味非常に贅沢で、ロレックスらしさを感じるポイントです。

ぜひ一度、ジュネーブの伝統が息づくジェムセッティングを堪能してみてください

スイス・ジュネーブは時計製造の聖地となる以前は、宝石職人の街でした。
そこに宗教改革の中で職を失った宝石職人と、弾圧から逃れてきたフランス時計職人の技術が組み合わさり、現代に繋がる精緻でかつエレガンスなスイス機械式腕時計文化は花開いたのです。

つまり、宝飾細工とスイス機械式腕時計とは切っても切り離せない一蓮托生の関係です。そういったジュネーブ独自の伝統文化から、今一度ジェムセッティングモデルを見直してみても、面白いと思います。

このあたりの詳しい歴史の話は以前、YouTubeで動画にしてますので、ご興味あればぜひご覧ください。


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