シンエヴァ感想メモ

最初の感想は、庵野、大人になったなだった

登場人物が全員優しくて、対話やコミュニケーションが上手で、
物語の収束に向けて全力で協力してくれている
最初にトウジが出てきたときの安心感パないやん
Qであれだけ対話とコミュニケーションが排除されていたのと対比すると
ご都合主義っぽくすら感じるくらいに
これを作る聞き分けのいい大人な庵野が浮かんだ


あと、ゲンドウとカヲルくんがちゃんと救済されているなーって思った
二人の内面が描かれることはこれまでほとんどなかったんじゃないかな
渚の意味を再定義する件とか、本気と書いてマジ感あってよかったね
ていうかカオルくんはほとんど舞台装置と思ってたので
3人のチルドレンが並列に救済されてるのを見て、
逆にレイアスカも舞台装置だったんだなって思った

美味しんぼみたいな雑で陳腐なデウスエクスマキナ
母代わりの女子役には他所の子供のレプリカをあてがい、
初恋のメンヘラ女子役には父親役ができる物わかりのいい男をあてがい、
魅力的なホモソーシャル男子役には別の大人の魅力を持ったホモソーシャル男子をあてがって
自分は新しい女と新しい世界でやっていこうとしている

勝手に仕組まれた第三の子供への好意を
用が済んだら勝手に他所へ向けられて
これが新世界の創設、ネオンジェネシスだー!って
都合よすぎるんちゃう?って思う人があんまいなそうであれ?って思った

てか、そのへん時代を感じた
今の観客はみんな最初から大人で、
ひねくれた子供みたいな難癖をつける人は少数派というかあまりいない
みんないいこちゃんだなっていうか
いいこちゃんを求める時代の空気だなって感じた

僕の心の中にはまだ、
きもちわるい!、わたしをみて!、あんたとだけは絶対に死んでもイヤ!って
叫んでるちっちゃな惣流が確かにいる、別に外に出しやしないけど
けどでもその存在くらいは認めてやらないとウソになっちゃう


大きな物語が終わっても同時に個々の小さな物語が終わるわけではない、
逆に大きな物語が終わる前に個々の物語が終わることもあるし
だから今は置いて行かれたって思う人もいるかなって思うけど
それもこの後、ゆっくり終わっていく

aikoの夏服を思い出す
いずれ冬は終わり夏は来るし、夏には誰しも夏服を着る、
それはそういうものだし、悲しむべきことではないし、
時には感傷に浸るのも大事なことかもしれない
大切なのはともかく前に進むことなのだと思う


それにしてもアスカに私は先に大人になっちゃったと言わせるのすごい
好きだったとか、好きでいてくれてありがとうとか、ぐろい

マリは当初の思惑通りエヴァを終わらせるという役目を全うした
旧劇にいない唯一のチルドレンだからできる役
安野モヨコがモデルというのもさもありなんだが、
そうするとマリがアスカ(初恋の女子のアーキタイプ)と仲良くして
お姫様と慕っていたのはどういう意味かって考えると背筋が凍る
女って怖いなってなるよな


パラレルワールドやループの構造を持つ物語が
最終的に現実かもしれないってとこに着地すること自体は
いまとなっては目新しいものではないというか
きれいに終わるにはむしろ妥当ともいえる結末だけど(漫画版も事前に読んでたし)
まあただちゃんと終わらせたということだけでもえらいよ

スライスアポンナタイムは、
これまでのガイナックスの最終話サブタイトル芸と同じく
未来からのホットラインの内容はあまりリンクしていなく、
大事なのは字面なんだとおもう、すなわち3回
パンフの庵野の言葉通り
これまで2度終わらせようとして終わらなかったエヴァンゲリオンを
3度目の正直で終わらせたということ
最初1時間かけて終わらせられず、
次に映画2本かけても終わらなかった物語を、
もう一度最初からリビルドしてちゃんとおわらせるのに
26年と2時間半かかったってことなんだろうなって思った

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