膝関節の可動域制限について
こんにちは!
理学療法士の前です。
今回は膝関節の可動域制限について記事を書いていきます。
膝関節は、大腿骨と脛骨、膝蓋骨の間接面3つで構成されています。
まずは、膝関節の特徴についてチェックです!
・膝関節は骨自身の適合が比較的不安定であるため、MMとLM、ACLとPCL、MCLとLCLなど靭帯を中心として安定性を担っている。
・関節包の前面は薄く伸縮性があり、後面は強靭で弾力性に乏しい靭帯組織で補強されているのが特徴。
・屈曲の可動域は大きく、過伸展や側方動揺は抑制される構造になっている。
・膝関節には、体重支持の時の安定性保持、歩行や走行に必要な大きな可動域が要求される。
こんな所でしょうか?
他にも色々な特徴があると思いますが、キリがありませんのでこのくらいにします。
◎関節可動域制限因子
まず、関節可動域の制限因子を整理しましょう!
①神経性・筋性
→中枢神経、末梢神経および筋の病理的変化により筋力低下をきたし、自動的可動域のみ制限された場合。
②骨・関節軟骨性
→骨・軟骨の病理的変化。特に変形や関節内遊離体により可動域が制限された場合。
③関節包内軟部組織性
→関節包、靭帯の拘縮や癒着により可動域が制限された場合。
④関節包外軟部組織性
→筋・筋膜・皮膚などの拘縮や癒着により可動域が制限された場合。
⑤筋の防御性収縮
→痛みに起因する不随意の防御性収縮や恐怖心からくる随意的な防御性収縮により可動域が制限された場合。
⑥痛み(無抵抗性)
→何らかの病理的変化のある組織が関節運動により圧痛や伸長されて痛みが誘発され、可動域が制限された場合。
膝関節の関節可動域制限はどれに当てはまるかをまず考えないと治療も改善も出来ないと思います。
しっかりと評価を行っていく必要がありますね!
◎膝関節深屈曲ROM
正常な自動最大屈曲角度は130°前後であり、それ以上の屈曲は外力が加わることにより初めて達成されます。
正座位は外力(体重)による他動最大屈曲位で、その屈曲角度が160°を超えます。
FT関節において深屈曲位に至るまで大腿骨内側顆の脛骨関節面での後方移動は小さく、全体としては内側関節面を中心とする脛骨内旋が見られます。
また、大腿骨外側顆は著明に後方移動し、FT関節は亜脱臼状態となり、LMもそれ以上に大きく後方へ移動する。
さらに内側顆は、他動最大屈曲位において大腿骨内側上顆と脛骨後縁のインピンジメントにより2~5mmの関節面離開が生じる。
PF関節では、130°以上屈曲すると膝蓋骨が、遠位大腿骨内側顆顆間にはまり込むようにして、全体の接触面積を低下させながら深屈曲が行われる。
さらに大腿四頭筋腱の顆部接触や膝蓋下脂肪体によるPF関節除圧機構が働く。
これら全ての機構が上手くいっていないと深屈曲は不可能だと考えます。
つまり、正常の膝関節の運動を知っておかないと異常となっている原因が分からないということです!
深屈曲ROM制限の原因は、
骨性に結合した強直を除き、
軟部組織損傷やその修復過程および不動期間に伴う拘縮と言われています。
4ヶ月以上経過した膝関節損傷における屈曲130°獲得時と正座獲得後との比較では屈曲130°における
①膝関節周径増大
②屈曲90°での脛骨内旋制限
の特異的所見を認めます!
制限因子としては
①は浮腫の残存・関節水腫の残存、 関節腔の狭小化・皮膚や広筋群の伸張性低下が挙げられます。
②は皮膚、伸展機構および内外側膝蓋脛骨靭帯の伸張性低下、内外側半月板の可動性低下、ACL・PCLの伸張性低下が挙げられます。
また、膝関節屈曲には膝蓋上嚢が関与してきます。
膝蓋上嚢は膝関節屈曲における膝蓋骨の長軸移動を円滑化します。
膝関節伸展位では近位へ引き込まれ二重膜構造を呈しますが、屈曲に伴い膝蓋骨の下方へ滑りを許しつつ徐々に単膜構造へ変化していきます。
逆に伸展では、膝関節伸展筋に牽引され、再び二重膜構造へと戻る。
この膝蓋上嚢が癒着すると、屈曲に伴う膝蓋骨の長軸移動が制限され重篤な屈曲運動を制限する。
癒着を生じていると、屈曲70°以上は行えないと言われています。
癒着を予防するためには、
①長期にわたり関節内に貯留液を貯めないこと
②早期の大腿四頭筋訓練、特に中間・内側広筋の収縮を誘発することが大切!
この事から炎症の管理は行ったほうがいいと考えれますね。
次はかの有名な膝蓋下脂肪体。
屈曲位での膝蓋下脂肪体は、屈曲に伴う膝蓋靭帯の緊張とRoll backに伴う膝蓋骨の後方移動により前方より圧力を受け、後方からはACLならびにPCLからの圧迫を受けます。
膝蓋下脂肪体はこれらの圧迫力から逃げるようにPattla の裏側へ進入していく。
深屈曲ROMを獲得するROM訓練では、前方構成要素の一つである膝蓋下脂肪体の十分な柔軟性と滑動性の両方が必要です!
◎膝関節伸展ROM
まずは、屈曲ROM同様に制限因子が何かを評価します。
OAによる骨性のエンドフィールなのかそうではないのか。
1番やっかいだと思うのが、関節包による伸展制限です。
後関節包には補強する靭帯として、斜膝窩靭帯が存在しますよね。
この靭帯は半膜様筋の停止腱です。
また、関節包は最終域で伸長され、関節運動を制動します。
ということは最終伸展域では脛骨の前方への滑りが必要になる。
そのため、脛骨の前方滑りを徒手的に作り出すことで関節包に対するアプローチになると考えられ、その際のEnd feelを評価する。
つまり、関節包に対するアプローチとしては
前述した半膜様筋に対するアプローチ、
脛骨の前方滑り運動を作り出すことが重要であると考えます!
もちろんアウターの筋肉などが防御性収縮などの不随意収縮、過緊張となっている場合はインナーである関節包の評価は難しいので、まずはアウターからアプローチをしていくことが重要です!
という感じで記事にまとめてみました。
やはり大事なのは評価ですね。
制限因子は何かを見極めた上でアプローチを行わないと中々改善することは難しいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました!!
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