アイシングの理論
こんにちは!
理学療法士の前です。
今現在、私は広島県の急性期整形外科病院にて勤務しています。
勤務しながら高校サッカー部のトレーナーとして帯同しています。
アイシングは非侵襲的であるため容易に行えますが、アイシングのメリットやデメリットを理解した上で行わないといけません。
すなわち目の前の症例、選手がアイシング適応なのかどうか。ということです。
現場や臨床でもアイシングの場面は多く見られると思います。
ということで今回はアイシングの捉え方について書いていきます!
◎炎症とは?
まず炎症について説明をしていきます。
炎症は生体を傷害を受けた際に起こす反応です。
また炎症は急性炎症と慢性炎症に分けられます。
炎症は、①発赤(redness)、②熱感(heat)、③腫脹(sweling)、④疼痛(pain)を特徴とします。
①発赤
毛細血管透過性亢進、細動脈の拡張により血流の増加が起きることで出現します。
②熱感
炎症反応の発熱は、当該組織に湧出したマクロファージ、白血球が発熱物質を産生することで引き起こされます。
③腫脹
ヒスタミン、キニン、ロイコトリエンなどの作用で毛細血管透過性が亢進するため血流が増大し、通常血管内に留まる物質も組織液に流出し、腫脹が生じます。
④疼痛
痛み感覚は体中に分布する自由神経終末への出力、中枢への応答となっている。当該部位に遊走した食細胞などが、キニン、プロスタグランジンなどの化学物質を放出し、痛み感覚の受容器を刺激し、これが感覚系を通じて中枢神経に伝えられることで生じます。
この4つはケルススの4徴候と呼び、
⑤機能障害を合わせた5徴候をガレノスの5徴候と呼びます。
炎症の原因としては
①生物学的因子
②物理的因子
③化学的因子
これらの刺激によって生じます。
炎症は生体の恒常性を保つために必要不可欠な防御反応ということは覚えておいてください!
◎アイシングについて
アイシングは新陳代謝を下げることにより、炎症を構成する有機的・酸素的産生やそれらが誘発する反応を大幅に軽減する作用があります。
ですが、前述したとおり炎症は生体の治癒過程において必要であることから、むやみやたらにアイシングをして炎症を阻害するのは賢明とは言えませんね。
アイシングの効果としては
①血液循環理論と②代謝理論があります。
冷却により血管を収縮させ、血管の浸透圧を低下させ、組織への流血を抑えるのが血液循環理論です。
一方の代謝理論ではアイシングによって組織温を下げ、組織の代謝を低下させ、必要な酸素量を減少させることで、一時的外傷性損傷により損傷組織およびその周囲の代謝の変化により生じる二次的低酸素症での周辺組織の傷害を抑制する効果がある理論を指します。
アイシングの目的とは組織温の低下に起因する各種生体反応を治療に応用することです。
狙いとする効果が生じる組織温は生体反応によって異なり、皮膚の局所麻酔効果を得るならば13.6℃以下、神経伝達速度を10%低下させるためには12.5℃以下、細胞の新陳代謝や酵素の活動を50%抑制させるためには10~11℃の皮膚温が必要とされます。
また、長時間の冷却を行ったり皮膚温が0℃以下の冷却剤を使用すると凍傷のリスクが高まるので注意が必要です。
◎アイシングの適応を考える
急性期におけるアイシングは非常に効果はあると思います。
特に疼痛に対しての効果は抜群でリラクゼーションもあることから、急性期(2~4週程度)は積極的なアイシングはいいと思います。
ただし感覚が無くなっても冷やし続けたりひたすら冷却し続けるのは良くないので患者指導をしっかりと行う必要があると思います。
現場では筋損傷を起こした時にアイシングを目撃する場面が多く見られる時があると思います。
エキセントリック収縮によって生じた筋損傷が起きた場合は、アイシング有り無しでの有意差はないという報告があります。
損傷を受けた細胞を冷却すると、損傷を受けた細胞の治癒促進を阻害してしまう。
つまりなんでもかんでも冷やすのは良くないということです。
痛みなどの炎症が何から来たしているのかをしっかりと評価、判断をしてアイシングを行わないとむしろ悪影響になるということを覚えておきましょう!
最後まで読んで頂きありがとうごさまいました。
今回は簡単にアイシングについて記事を書きましたが、まだまだ奥は深いです。
また勉強内容を共有できるように日々精進していきます!
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