本を書く #シロクマ文芸部
本を書くために本を読んだ。
恋愛小説、サスペンス、ホラー、ファンタジー、エッセイ、歴史小説、ヒューマンドラマ、スポーツもの、専門書、漫画や絵本、写真集、辞書までも。
その他ありとあらゆるジャンルを読みまくった。
それまでなかった新しい知識、新しい感覚。
自分の引き出し、武器と言えるものが豊富になった。
誰に何かを聞かれても答えに困らないだろう。
なぜなら本を読んで知らないことはなくなったのだから。
素晴らしい気分だ。
きっと、
このまま本を書けば必ず大ベストセラーになる。
世界中から称賛されらだろう。
満を持して本を書くことにした。
書き始めて、そして途中まで原稿を書いて気付く。
何を書いてもありきたりに思える。
どんなに盛り上がる展開であっても結末が想像を超えるものにならない。
このままでは
誰も笑わない。
誰も涙を流さない。
誰も悲しい気持ちにならない。
誰も恐怖を覚えない。
誰も幸せな気分にならない。
誰も感動なんてしない。
そんな不安ばかりになる。
なぜなら既に自分が読んだ数々の本に書かれているから。
誰かの真似でしかない。
自分が書きたい本とは何か。
答えが見つからない。
でも次こそは…
世界中の誰もが満足の行く本を書くために新しい本を読む。
そして何時になっても納得できる本が書けることはないということにはずっと気付かないままで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?