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ドイツ留学記1 【きっかけ〜出発】

2018年の夏休みの約1ヶ月間、私はドイツにいた。

現地の大学のサマースクール(短期ドイツ語コース)に参加するためだ。

今思うとすべてが「初めてづくし」だったあの1ヶ月間は本当に一瞬で過ぎていったと。初めてのドイツ。初めての1人旅。初めての一人暮らし。日本とは違う街並み、文化、食べ物。

しかし、それと同時に21年間親元から離れて暮らしたことがなかった当時の私にとって、永遠のように感じられる時間でもあった。

今回はドイツに行くきっかけ、出発までの準備を綴っていこうと思う。


私は大学時代、ドイツ語を専攻していた。仮にも外国語学部の学生ならばいつかはドイツに行きたいと思っていたし親ともそのような話はしばしばしていた。

金銭的な問題で長期はいけないから夏休みを使って短期で行こうと思っていたが、そんなことを考えているうちに私は3年生になろうとしていた。

4年生の夏は就活が終わっているか分からないし行くなら今年しかないなと考え、早速留学先や短期のコースを当時お世話になっていた教授に聞きながら探すことにした。


DAADと呼ばれるドイツ留学に関する情報サイトから都合のいい短期コースを探す。(当たり前だがコースの詳細は現地のページが表示されるので表記はすべて英語orドイツ語だった為、詳細に読むのはなかなかきつかった)

予算の問題や対象ドイツ語レベル、留学期間などは大体自分の中で決めていたので割とすぐにコースは決まった。

『Deutsch in Weimar』

ドイツのワイマールあるBauhaus Universität Waimarが夏休みに主催する1ヶ月間のドイツ語学習コースだ。

コース料金は650ユーロ(日本円で7-8万円くらい)、滞在するアパートも310ユーロ(4万円弱)でかなりお手頃。

バウハウスといえば建築が有名なので知っている方もいるかもしれない。また、ワイマール(ヴァイマル)といえば第一次世界大戦後の「ワイマール共和国」や、シラーやゲーテなどの著名人が住んでいた街として歴史・芸術の両方の面でもかなり有名である。

そんなこともつゆ知らず、何となく都合が合うからという理由で決めてしまった。(今思うと新鮮な気持ちでワイマールでの日々を過ごせたので良かったのかもしれない)


留学先が決まってからは私より母親の方がさっさと準備を進めていた。あまりお金を使う必要はないと考え航空券やホテルは乗り継ぎなど格安のものを探していたが、母親がそれを許さなかった。

航空券羽田からフランクフルトまで直通、ホテルも全て母親セレクトで決定された。終いにはドイツの観光冊子2冊を購入しており、最早母が行くのでは?と錯覚するほどだった。今思えば21年間実家で暮らしてきた息子がいきなり海外で1ヶ月も過ごすのだ。しかも大の方向音痴である。心配するのも無理もない…。


しかし後々この約12時間の直通フライトで私は地獄を見ることになる。



そんなこんなで日々が過ぎ出発の日になった。

前日に1ヶ月分の荷物を詰めたキャリーを引き、地元から高速バスに乗って羽田まで行った。

当日は母親と妹、祖母と叔母、従姉妹という大所帯でお見送りだった。

たかが1ヶ月だけだというのに大袈裟だなぁと思う反面やはり少し嬉しかったのを覚えている。


羽田空港の国際ターミナルはとにかくでかかった。家族旅行で何回か来たことはあったが最後に来たのは中学生の頃だし、今回は正真正銘の1人海外である。

心配性の私はかなりソワソワしていたらしく12歳離れた妹に小馬鹿にされていた。


キャリーケースを預けて搭乗手続きを済ませゲートに向かう。

家族に手を振り背中を向け、ゲートの中へ進む。

まだ日本のはずなのにもう既に海外にいる気分だった。

搭乗口に進み難なく飛行機は乗り込み、自分の席へ座る。

乗り込んで30分もしないうちに私を乗せた飛行機は、私の気持ちとは裏腹に日本の大地を離れ、遠く離れた土地へ進み始めた。


とうとう始まってしまった。ここから先は1人で生きていくしかない。下手したら死ぬかも知らない。大袈裟かもしれないが当時の私にとって今回の旅は大冒険だった。



人生で忘れることのないであろう、長く、一瞬で過ぎ去った1ヶ月が始まる。



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