デッサン
白い紙に鉛筆だけで描く、美大の受験などで使用される「デッサン」。
日記で、デッサンについての昔話を書いたあと、なぜ自分はデッサンを学んだ後、うまく絵が描けなくなったのか。
CGの知識を使えばうまく説明できるような気がした。
昔話部分を引用。
うまく伝わるかわからないが、この「教科書の映像」は写真のようなものだった。文中にもあるように、物同士のつながりや因果関係がない、ただの画像。
CGでいうと2Dのビットマップ画像のようなもの。
ビットマップ画像は、主に平面上のどの位置にどの色を表示するかという情報しかもたない。その情報を元にコンピューターが画像を描画する。
ビットマップ画像データ
・位置情報
・色情報
ボクの脳内の像は、おそらくこのような情報しか持っていなかった。
CGはビットマップのような画像データだけではない。
たとえば、3DCGのデータは より複雑だ。
・物質の位置情報
・物質の表面の質感情報
・物質の重さや柔らかさの情報
・光源の情報
・大気の情報 などなど・・・
この情報を元に、因果関係をコンピューターが計算し、その結果を描画する。
立方体があり、ライトがあたる。ライトの反対側に影がおちる。
カメラから立方体の間には少しくすんだ大気があり、光が拡散する。
というような具合だ。
デッサンでは、なぜか見たものを写真のように描くことを求められない。
より立体感が出るように、より見栄えがするように、描く人が意図をもって描くような指導がある。
ボクは当時「目の前のものを写真のように描ければ十分だろう」と考えていた。
だけど、これはおそらく・・・なんだけど、デッサンと言うのは写真を撮る
ようなものではなく、モチーフを人力でスキャンし人力でレンダリングする行為なんじゃないか。
つまり、
目の前にあるモチーフから、位置情報と色の情報以上のものを読み取り、人力でレンダリングする。
表面の質感、重さや柔らかさ、光源、大気、そして因果関係
それらを一度、目から脳内に入れて、鉛筆と消しゴムで、自分が狙った見栄えになるよう意図をもったレンダリングをする。
その一連の行いが、デッサンなんじゃないか。
こう考えれば、なぜデッサンが受験に用いられるのか理解できる。
人力スキャナーと人力レンダラーの性能、そして意図をもった描画のテスト。これは個人がビジュアルをアウトプットする能力を見極めやすいだろう。
(実際の美大受験の現場で、正しく機能しているのかは知らない。結局先生の好みになるみたいな話はよく聞く)
そう仮定すると、デッサンを学ぶというのは、
今まで写真を写していた人に3DCGをやらせるというような話なのだ。
ぜんぜん違うものじゃん。それは一度ヘタになるわ。
ぜんぶ仮定の話なんだけど、この考えを元にデッサンをすると、何か今までと違った回路で絵を描くことができそうだ。
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