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野党間予備選が非現実的である理由

5/2、馬場伸幸代表と橋本徹元代表が初めてテレビ番組で共演しました。日本維新の会の国会議員と橋下徹さんの共演は初めてです。

ここで話題に上がったのが野党間予備選です。橋下さんはこの野党間予備選を積極的に押していますが実際には非常に難しいことです。

1.法的問題性

維新では大阪市長選に関して候補者の予備選を行おうとしましたが、有権者全体で行う予備選は公職選挙法で禁止されている「事前運動」に該当するとされており、アメリカのような予備選は現状不可能です。それでもなお予備選をする場合は公選法を改正する必要がありますが、野党1本化を促す野党間予備選をするために自民党が賛成することはまずありえません。そのため、実際の大阪市長選の予備選のように無料党員のような制度を作っての野党間予備選となります。

2.法的に問題ない予備選での問題

大阪市長選の予備選でも指摘されていたのが、参加者が本当に有権者なのかを判断できるかどうかです。本人確認ができるが、実際の選挙とは違い、選管は事前に有権者が誰かを知っているわけではなく、投票者側の本人確認のみであるため身分証明書の使い回しや偽造が見抜けないという点があります。そのため大阪市長選の予備選ではLINE党員の票は全体の10分1に圧縮されていますが、これでは有権者全体の民意とは程遠い結果も起こります。

大阪市長選の予備選では低投票率も課題になりました。そもそも、一般の有権者も参加できるLINE党員に参加したのは3000人、さらに一般党員の投票率も4割を切る結果です。同じような野党間予備選をおこなったとしても、一般の無党派層の関心は少なく、連合の組織票がある立憲民主党、国民民主党に非常に有利な制度になります。とはいえ維新が全てひっくり返す可能性はあります。それは自民党の組織票、公明党の学会員票が流れ込む時です。自民党や公明党が組織を動員すれば簡単に立憲民主党の候補を蹴落とし、組織を持たない維新の候補を擁立させて無風区にさせることだって容易なわけです。これは橋下さんが考えるような予備選とは程遠い予備選で、単なる組織のぶつかり合いで全く民意が反映されていないでしょう。

3.自民党が過半数割れした場合の問題

では、予備選を行い野党で1本化して総選挙で勝ち、自公過半数割れを達成したとき、政権はどうなるのかということです。というのも野党間予備選は共産党も対象なわけです。では実際に共産党が政権に入るかと言えばありえません。橋下さん自体も共産党以外での野党の集結を望んでいて、共産党は政権に入ることは望んでいません。一方、野党間予備選に共産党を入れないのはそれはそれで共産党差別になるわけで共産党は参加することになります。野党間予備選に参加しても政権に参加しないという選択ができるのであれば自民党との連立に入り、自民党政権を継続することも可能です。その様なことができるのではあれば、自民党、公明党が組織を動員して野党間予備選に介入し、自民党との連立を目指す野党や、意見の近い政党に多くの選挙区を立たせるようにして自公が過半数割れしても連立に組み込み永遠に政権を維持するということも可能です。これでは野党間予備選の意義がありません。

4.自民党が下野したときの野党間予備選と与党の選挙区はどうするのか

最も課題になるのが自民党が下野したときの野党間予備選です。自民党は既に巨大であり、下野しても、野党間予備選をした連立政権の政党とも1対1で戦うことができます。公明党との選挙協力も野党間予備選をするまでもなくできているので何の問題もないわけです。しかし、当然野党間予備選に参加していた政党でも連立政権に参加しなければ、野党のままで野党間予備選をするかどうかが大きな問題になります。自公だけでも戦えるのにわざわざ野党間予備選をするかということです。さらに、与党の問題もあります。与党は野党間予備選で決めた選挙区で当選して政権を担うことになりますが、次の選挙はどうするのでしょうか?与党間で予備選をするのかということです。与党間予備選では負けたら現職・大臣・ましては総理でも再選はないわけで(これが橋下さんの狙いかもしれない)、その様な事例が多くの選挙区で起きますが納得しない議員、党が現れることは当然でしょう。そしてその連立政権は非常に脆いもので、非自民連立政権のような短命政権の繰り返しになるでしょう。

5.まとめ

野党間予備選をするには法的に難しい。さらに法的な問題をクリアしても野党間予備選をした後はどうするのかという点で大きな問題がある。

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