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書籍「図解で学ぶ ゲーム理論入門」

天谷研一さん著の書籍「図解で学ぶ ゲーム理論入門」を読了。
個人的な備忘録として、簡単な感想とまとめを記載しておく。

1.経緯
メルカリでたまたま目についた本。もともと興味があったので、一期一会と思い手にとってみた。

2.概要
難解と言われる『ゲーム理論』をできる限り難解にすることなく、本質は抑えながら説明した良書と思う。とっつきにくいかと思ったが、丁寧な図解によって『ゲーム理論』が何をするものなのか、わかりやすく理解することができる。

ゲーム理論の歴史から具体的な日常、ビジネス上の意思決定の例を中心に数学的要素も合わせた説明が良かったと思われる。

3.ポイント
個人的な理解としての要約になるが、『ゲーム理論』とは、日常生活やビジネスにおける意思決定行為や人間の選択思考を数学的に表現したものであり、思考をデジタルに表現しようとする分野であると理解した。
本来、経済学上の問題を解決するための学術的分野とのことだが、端的に表現すると上記のような形になると思う。
普段当たり前のように考えている思考や選択の各手段に名前がつけられ、デジタル的に、数的に表現すると、どのようなロジックになるかを紹介されている。

4.所感
本書の1章に”ゲーム理論を学ぶと何に役立つ?"という問いがあり、その答えは「直感的に考えていた内容の理論的な裏付けを取れる」ことにある。著者自身がこのように表現しており、「ビジネスや日常で実践できるものではないが、その考え方のベースとして役立つ」と記載がある。

まさにこのとおりである。著者自身こう言っており、私の読了後の感想もこのとおりである。『ゲーム理論』を学術的に学ぶ人には薄い内容と思うが、表面的に知っておきたい人、入門的に知りたい人には、十分な内容かと思う。私もその一人である。

そのため、様々な事例と理論が紹介される後半部分は、『ゲーム理論』とは何か?を知りたかった自分からすると、少し蛇足になってしまった。

ただ、この理論は、思考をデジタルに表現することができる学問でもあるため、人間の思考をコンピュータに学習させる上では重要なInputになる学問になるのではないかと思う。人間思考を研究するAIとの親和性は高い(むしろ、ここに親和性がないと学問的にQuestionがついてしまいそう)。

なお、本の帯には、”「意思決定」と「交渉」に強くなれ!”と謳い文句が乗っていたが、本書で「意思決定」と「交渉」が強くなるとは思わない。先に記したが、基本的には「意思決定行為や選択の思考を表すもの」であるため、新しい思考法や考え方が身につくものではない。

5.まとめ
『ゲーム理論』とはなにか?という解が欲しい人には十分な内容であり、わかりやすさもあるため、おすすめの一冊。学問的に学びたい人は少し不向きかなと思う。個人的には、購入時の金額の安さもあり、満足した1冊。
ただ、人間の思考をロジックにするあたり、面白い分野ではあるが、本質は、学術的な要素であり、ビジネスや日常生活では普段からできていることなので、大きな上乗せがなかったのが残念だった。

※同書の行き先:メルカリで出品。他の書籍とロンダリング予定。