自立とは依存である、ということ。

「自立したい。」

そんな悩みを聞くことは時々ある。就労支援員として働いていたときは特によく聞いた言葉だ。

しかし、「自立する」とはそもそもどういうことなのか。それに対する一つの答を、以前広告で見たことがあった。

「障害者は、一つのものにしか依存できないのです。」
概ねそんなことが書いてあったと思う。

何とか依存症みたいなのと同じで、「特定のものに強く深く依存しなければならない」状態にあるのがが「障害者」ということらしい。

対して「健常者」と言われる人はどうだろうか。実は「健常者」も、何かに依存しなければ生きていくことはできない。

食料品などの生活必需品の買い物は欠かせない。やれ頭痛だ発熱だとなれば薬も必要だ。気分転換にはお酒が必要だ、という人もいるだろう。口元の寂しさを紛らわすために喫煙するという人もいよう。

しかし、である。「健常者」と言われる人たちは、より多くのものにまんべんなく依存することができる。特定のものに強く依存し過ぎて、生活に支障をきたすことがない。

「自立する」という言葉は、つい「一人で何でもできる」というイメージが持たれがちだが、実はそうではない。実は「自立する」ということは「より多くのものに依存できる」ことではないかと思う。

自立したい人たちへ。より多くのものに依存しよう。頼れるものを増やそう。仲間を作ろう。あなたは、一人じゃない。

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