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私が考える登山ガイドという仕事と、ちょっとぼやき

こんにちは。最近はSNSでも少し認知してもらえるようになって、私の登山内容を見て声をかけてくれる人が増えてきました。その中で「ガイドにならないのか?」や「ガイドしてもらえませんか?」と言った質問をいただくことがあります。

私が考える「登山ガイド」について少し語ってみようと思います。

登山ガイドって何?私の考え

登山ガイドとは「山を登る」というスキルを使ってお客様の体験をお手伝いする、ということが仕事内容かなと思います。

登山には2種類あってそれは「自分のための登山」と「他人のための登山」です。自分がやりたい山に仲間と行くことや、仲間との山を楽しむための山行、また友達とかにお願いされて付き合ったとしても、その人と会うことが「自分の喜び」の場合は自分のための登山です。一方で自分の時間を犠牲にする登山は全て「他人のための登山」となります。自分が行きたいところがあるのに、時間を犠牲にしたり、自分が強くなるためのトレーニングの時間を犠牲にして人の山に付き合ったり、といった内容の場合です(その相手を育てることがゆくゆく自分のためになる場合もあるし一概には言えないけど)。

登山ガイドは基本的には「他人のための登山」になるのでその報酬として「ガイド料金」をもらうといったイメージかと思います。ただ、その仕事をする中で自分自身も楽しめていたり、学びがある場合は自分のためにもなっていると思います。

極めたから先生になる。実績はその人間を表す

登山ガイドと言うのはただ人をガイドするだけでなく、指導できる立場にあるべきかなと思います。登山を本気でやってきて、自分のやりたい登山をやる中で培われたスキルがある人間が、そのスキルを使って他人をガイドするというものだと考えています。だから登山ガイドの「実績」は重要で、その人間がどいう言う登山をしてきたか、どういうものを目指してきたか、ということが良くわかるからです。名だたる壁の初登とか海外ビッグウォール登攀なんて華々しい実績でなくても、その人がやってきたことがブログなんかで、見えるだけでも。

学校で数学の先生になろうとして「学校の先生になるための数学の勉強」をしてきた人よりも、数学が好きで数学の分野で本気で生きてきたから、結果的にスキルが高まり人に教えたり指導できる立場になった、と言う方が価値があるし、かっこいいと思います。

私は登山のガイドになりたいと思ったことはないですが、Youtubeでレクチャー的な動画を出したりしているのは「人のためになりたい」という想いがあるからで、自分が学んできたことを些細だけどその分野を学びたいと思っている誰かの役に立つ形で発信してみたいと思っているからです。

それは私が登山やクライミングをやりたいと思ってやって、一生懸命やって、半人前ながらに理解が深まった結果、人に伝えるという行動という結果になったわけです

「登山ガイド」を目指してトレーニングするというのは私にとっては不自然で、「登山を本気でやる」の結果としてガイドと言う仕事があるのかなと考えています。私程度の人間ではまだまだ弱いし、やりたいこともやり切ってないので、人様を案内するその段階には程遠いかなと感じています。

一方で、山が好きな人はみんな仲間であればいいなと思っているので、色々な人の質問とか、依頼とかがあれば、出来る範囲でこたえていければと思っていますので、気軽に相談してください。山が好きな人はみんな仲間であればいいなと思います。

※あくまで私がそうありたい、と言うだけで、一生懸命ガイドを目指されている方を否定するつもりはありません。それも素晴らしいことです。

日本の登山ガイド、特に資格について

さて、ここで日本の「登山ガイド資格」について思うところがあるので、お話したいと思います。日本の登山ガイドの資格は民間の資格で、ガイド業をするのに必須ではありません。「ガイド資格」として一番有名なものは「公益社団法人日本山岳ガイド協会」がやっている資格です。「登山ガイド」とか「山岳ガイド」とかのグレードがあったりします。
ヨーロッパなどは山岳ガイドは「国家資格」として定められているところが多く、「資格」の意義が大きく変わってきます。

つまり、日本の登山ガイドは「自称」で、資格があってもなくても仕事にできます(良くも悪くも)。山をちゃんとやっている人が良く言う「登山ガイドはピンキリ」という言葉の意味はそこにあります。(日本の場合は資格を持っている人でもピンキリですが)。
ガイドとしてちょっと有名でドヤ顔でネット等で話をしている人の中にも、山をちゃんとやってる人からみれば「あの人はちょっとヤバいよね」なんていわれている人もいたりします。これは日本のガイド資格がちゃんと定められていないことも問題の原因です。

登山ルートの公平で正しいグレーディングもなく、山小屋任せで一貫性のない登山道の管理形態を是正したり、ガイド資格の制定などを進めることは、登山業界を盛り上げるためには重要なことだと思います。これは自分がイタリアに行って実際に本場のガイドを受けながら話したり、実際に山を歩いて、安全確保のために適切にルート整備された登山道を見て感じたことです。

日本の民間のガイド資格は取得にコスト(膨大なお金と膨大な時間)がかかる割に、一般にはそれに見合った価値が無いのも問題かなと思います。資格を持っていようが持っていなかろうが、実力があろうがなかろうが、稼げる人間は一握りで、結局価値のあるもの、価値のある人に本当の対価が払われないことは、登山というものや業界全体、また人材の成長を妨げる結果につながると感じます。

ちょっと支離滅裂になってしまいましたが、色々思うところがあって書いてみました。

じゃあどうすればいいの?と言われたら、私はそんなことを考える暇も時間もお金もないので、自分が生きるために働いてお金を稼いで、自分のやりたい登山をします。

でも私を応援してくれている人には還元したいので何か方法を考えたいなと思います。よろしくお願いします(え?)。


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