BONDの都事業及び厚労省事業の事業範囲の重複について
2023年2月9日
3月3日「その他」を追加
特定非営利活動法人BONDプロジェクト(以下、BOND)が受託している都委託の若年被害女性等支援事業 及び 厚生労働省の自殺防止対策事業について、問題があると思われる。
具体的には、事業範囲が重複しており、同一事業の成果報告が別々の事業の成果だと誤解される状況である疑いがある。
また、両事業とも他の補助金等を受けて事業を行う場合は助成対象とならないと要綱に定められているにも関わらず、その定めが何故か無視されている疑いがある。
東京都には先日の監査結果を踏まえた2023年2月末迄に行われる調査に加え、本件も調査していただくようお願いしたい。
厚労省事業に関しては別途、厚労省より対応がなされることを願う。
1、成果報告について
① 両事業の概要
Ⅰ 東京都の若年被害女性等支援事業
こちらの要綱をご参照。
Ⅱ 厚労省の自殺防止対策事業
こちらの要綱をご参照。(サンプルとしてR3年度分)
こちらにはBONDが取り組んでいるSNS相談事業の成果が公開されている。
② 両事業の成果報告について
都委託事業の実施状況報告書からは以下のことが読み取れる。
平成31年度(令和元年度)は特に注記はなく、都事業として対応した体裁である。
令和2年度は四半期報告時点では注記がなく同上。
しかし事業終了後の通期報告時点でいきなり「SNS相談は100%厚労省事業であり、その他電話・面談相談も他の事業の成果を混ぜている」との記載が登場している。よくわからない。
令和3年度は通期を通して「SNS、電話、面談相談は厚労省事業対応分『も』含む」との記載あり、成果が混在しているような書きぶりである。
(掲載はしていないが令和4年度の四半期報告も同様)
上記を踏まえて下掲の数値を見ると、都の事業と厚労省の事業とで同じ数値を『成果』として報告しているようで、不審である。
参考までに現在進行中の令和4年度都委託事業の計画と厚労省事業のLine相談受付時間も掲載しているが、まったく同じである。
「友達追加」を押して遷移する先も同じで、窓口が分かれているわけでもないので、成果を事業ごとに区分するのも難しそうに見える。
以下は参考までに掲載する令和4年度(現行)のSNS相談窓口。
2、問題点
上記を踏まえると、両事業の範囲は同一の部分も多そうで、ほぼ同一事業という見方もできそうである。(明確に違うのは都事業の声掛け・巡回活動及びそこで繋がった若年女性への支援くらいか?)
それが問題にならないか、令和3年度を例として見ていきたい。
① 東京都の若年被害女性等支援事業
下掲画像の通り、「他の国庫『補助金』や都補助金等」を活用してSNS相談事業(4の(1)の②)を実施する場合は補助対象とならないことが東京都HPの実施要綱に明記されている。
厚労省の自殺防止対策事業の交付金は厚労省の予算執行の情報開示において「『補助金』の交付決定状況」に記載されており、当該制限に抵触することは疑いがないように思う。
都の委託事業の成果に厚労省の別事業の成果を加える・混ぜるBONDの行為も理解しかねるが、それを連年認めている都の福祉保険局の対応が特に不審である。
仮に何らかの事情があって適法に事業の混在が認められているのだとしても、事業別に成果を区分して管理すべきである。
事業計画や実施状況報告等において当該区分に関する記載があったことはない。
BONDの事業の重複を、東京都福祉保健局が委託事業の成果を水増しするために黙認していたと捉えられても仕方がないように思う。
先日の監査結果に基づいて2月末までに行われる東京都福祉保健局の当該事業に対する再調査に加え、本件も調査していただきたい。
② 厚労省の自殺対策事業
下掲画像の通り、「他の公共団体から助成を受けていない事業であること。」が要件となっている。
都の委託事業の支出が助成金となるのか委託費になるのかは議論の余地があるが、主旨は同一事業での公金二重取り等を防ぐという理解で差し支えないと思われる。
そしてその主旨からするとBONDの当該補助金受領は適切ではないと思うが、どうだろうか。厚労省にご判断いただきたい。
また、従たることではあるが、広範な対応が求められる厚労省事業と、都を中心に対応を考えないといけない都事業は相乗りしにくいと思われるが、どうか。
③ まとめ
令和3年度の都事業実施状況報告書及びSNS相談事業の成果を再掲する。
都事業の成果のほとんどはSNS相談事業及びそこから波及した電話相談や面談のように見える。
同一事業で公金を受領し、架空経費(例えば随分と過大な謝金等)を計上して公金を詐取しているという邪推はすべきではないと思うが、助成上限を超えて本来は自己負担するはずの経費を公金で補充している疑いはある。
少なくとも東京都と厚労省はSNS相談事業及びそれに付随した電話対応・面談対応件数について、どこまでをどちらの成果とするかを協議の上で按分し、成果数値を計算し直すべきだろう。
その上で事業の成果と支出した金額を改めて評価し、支出が過大であったと判断できるのであれば、遡って適当な金額を速やかに返金させる等の対応が必要ではないだろうか。
もしも本件が問題事象であるならば、今後BONDが両事業を受託すべきではないのは当然である。念のため。
その他
R3年度の若年被害女性等支援事業の連携会議資料によると、R2年度までのモデル事業において支援実人数の6割以上をBONDプロジェクトのSNS相談事業が担っている。
しかし上述の通りその成果は厚労省事業の成果によるものなので、モデル事業の成果ではない。
(少なくともR2年度に関しては年度末の報告書でBONDプロジェクトが報告書で明言している)上記の通り、BONDプロジェクトは本格事業化が決まる令和2年度第4四半期以前の報告では当該事業成果の混在を記載していないため、東京都は誤った事業成果に基づいてモデル事業の本格事業化を決定した可能性がある。
政策を誤らせた可能性がある事象なので、何故このようなことが起こったのかを都議会議員には是非追及してもらいたい。
以上
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