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株式会社ミチウエ(代表取締役:道上仁)

会社名:株式会社ミチウエ
住所:札幌市北区新琴似町576-1
代表取締役:道上仁(2004年入社、2012年から社長に)
創業年:1973年(創業者:道上政喜)

【会社のあゆみ】創業から成長期を経て、現在へ

札幌市北区に本社を構える株式会社ミチウエは、石狩市新港南にもエコ事業部を構えます。1973年に創業者道上政喜さんが個人で、鉄くずなどの廃品回収をする古物商から始まりました。1987年には法人化し、会社としての事業がスタート。その後廃棄物収集のみならず、運搬、処分の許可も取得し事業を拡大します。2008年には石狩市新港地区に工場を建設、破砕機やトラックスケールの導入を経て、現在に至ります。現在従業員は38人で北海道の鉄リサイクルを担っています。

【会社の転機】パチンコ・パチスロ台のリサイクルに着眼

現在代表取締役の道上仁さんが入社後、チャレンジしたことに遊技機リサイクル協会指定業者認定取得(パチンコ台・パチスロ台など)があります。知人との会話の中で「日本から中国などにパチンコ台やパチスロ台が不正輸出されているのでは?という話を聞き、『これはビジネスのチャンスかもしれない!鉄資源を海外に流してはいけない』と考えた」と話します。当時、パチンコやスロットの新台入れ替えのスピードは速く、遊技機には金属部分も多いことなどからそこに着眼したのです。
しかし、いざ遊技機リサイクルに取り組もうにも、許可申請やお客さまの獲得など大変なことは沢山ありました。もともと営業をやっていた道上さんは持ち前の行動力を生かし、平成22年、同社は遊技機リサイクル協会指定業者に認定されました。「この時の苦労とリサイクルの難しさと達成感は今でも自信につながっています」と話します。

【会社組織運営】組織の変革から未来へ

道上仁さんが代表取締役になってから会社組織の変革に取り組んできました。従来では事業部や部署に分かれていなかった組織でしたが、産業廃棄物を主に扱う”エコ事業部”を新設したほか、遊戯機器リサイクル部門を独立させました。エコ事業部内も”営業課・運搬課・工場課”と機能別に部署分けしました。この組織の明確化は「これまで様々な部署の兼務が多かったため、責任や競争心があいまいになっていた部分があった。部署の明確化によって従業員同士で競争してほしいというのが狙いです」と説明してくれました。この部署制度は現在も継続されています。

【課題】

ここ10数年、鉄リサイクル業界においても慢性的ともいえる課題はやはり”若い従業員や担い手”に関してです。きつい・労働時間が長い・汚いというイメージの払拭は時間を要するため、歩合や賞与を厚くして対応。またこれまで、中型免許や小型移動式免許などの免許関係を募集要項に記載していましたが、現在は会社でサポートするようにシフトチェンジしています。このため初心者、未経験者の募集は増えていますがさらにチャレンジしようとしているのは、従業員のやりたい仕事や得意な分野、やりやすい仕事をコラボさせ、”楽しい仕事づくり”をおこなっていくことです。
新たな課題としては、”楽しい仕事づくり”実践のためには、従業員個々の時間をある程度増やすために従来より仕事量の減少を目指す必要があり、これを実現するには先のように物流量やストック量の調整は欠かせません。しかしこれに関しては商談や交渉など、お客様ありきでしわ寄せがお客様に行ってしまう可能性があるため、そのあたりは部門を明確にした営業部隊の調整能力にかかっています。
総じて、現状としてはやはり”若い従業員や担い手”がどんどん薄くなっていることは避けられず、「今のうちに従業員に対していかに魅力ある会社にするか?ということと、経営陣として危惧しているのは、仕事はあるのに社員数が足りないということで仕事がじり貧になっていくのではないか?」ということだと話してくれました。

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【現在の取り組み】注力する2つの取り組み

現在の注力している取り組みは大きく分けて2つあります。1つ目は、商品出荷戦略です。従来は、仕入れた商品をある一定の価格になるまで出荷せず”寝かせて”いましたが、現在は予定した価格より安く仕入れることができた商品は即、販売、出荷するようにしています。この理由としては、ストックを減らすことが出来るため、在庫管理がしやすく、従業員の残業時間など労働の削減につながるためです。
2つ目は、従業員の働きやすい環境づくりです。ヒアリングはもちろんのこと、道上仁さんが月に一度、従業員一人を食事に誘い一対一で対話する中で本音や周りの意見などを気にせずなんでも話せる環境づくりをしています。このような親身なヒアリングによって、作業場へのシャワー設備の導入のほか、基本給、歩合制、フレックスなど従業員が好きな給与体系で働ける環境づくりや有休100%消化を達成しています。「経営陣と従業員、そしてその家族が一つのファミリーとして一丸になれる環境づくりが実現できつつあると考えています。」

【今後の展望】グループ全体の方向性

まずは仕事の良質ともにパワーアップさせるためにシュレッダーを導入したいと話します。安い買い物ではないのですが、会社の今後を考えても投資は必要だとの思案に基づいたものです。また、事業的にはリサイクル、原料販売のみならず製造に近いことにシフトチェンジしていきたいとも考えています。現在は、従業員や同業他社、場合によっては全く違う異業種からのヒントで、アイディアを出し合っています。「将来的には、現在のように廃棄物を収集し、リサイクル、原料を販売するだけではなく、製造の6次化を目指していきたい」と話します。廃棄された漁網から再生ナイロン樹脂を生み出す事業に今後挑戦する、同業他社の株式会社鈴木商会のような、廃棄物に付加価値をつける「リソーシング」を目指していきたいと考えています。
また、本業である産業廃棄物や鉄くずリサイクルは大事にしつつ、品目や業種、お客様のカテゴリーも問わず売り上げを伸ばせる方法はないか検討中です。

【鉄リサイクル工業会に一言!】

「鉄リサイクル工業会の皆様、いつもお世話になっております。コロナ渦なのでなかなか行きづらいですが、視察旅行に行きたいです。我々の業種はヒトはもちろんですが、機械ありきな部分もあるので、すでに機械を導入している工場に皆様と一緒に視察に行き、新しい情報をどんどん入れていきたいです。またかっこいい業種だというイメージ作り”ブランディング”を全力でやっていきたいです。例えば、リサイクル業は工場でつなぎとヘルメット、ゴーグルというイメージをデザイン性だったりプロモーションでかっこよく払拭していきたいです。

【われらがスローガン】

地球上に限りある資源をいかに有効活用するか!ということがスローガン。これはここからも変わることはありません。

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【取材後記】鉄リサイクル工業会北海道支部支部長

鉄リサイクル工業会北海道支部、独自の取組として会員企業を紹介する第1号として株式会社ミチウエの道上社長を取材させて頂きました。現地で経営者のお話を聞くのは勉強になります!
道上社長のお話の中で社員、ビジネスに対する強い思いを感じました。
道上社長は入社以来、経営の多角化にチェレンジし事業部制の導入にも着手されました。ご自身はリサイクルのビジネス以外の分野にも積極的に取り組まれておりその経験から社員に対しても多角化を推奨し、経営会議で様々な意見を出してもらっているそうです。
社員の方が自ら考え実行できる環境は会社、社員の成長において必要不可欠です。何より仕事に対するやりがいが生まれます。多角化も推進されておりますが本業である鉄リサイクルビジネスに対しても将来を見据えシュレッダーの導入検討、その先には扱っている原料を活かしたもの作りも視野に入れております。
海外に輸出されている荷物を地域で循環させる強い思いに共感しました!

工業会に対し、業界のブランディングをして欲しいと宿題を頂きました。
これは業界団体を上げて取り組むべき課題です。
子供たちから見て憧れの業界にしないといけません。
幸い我々のビジネスに対し追い風が吹いております。
私たちにとって当たり前だった鉄の資源循環は世の中の方にとっては画期的に映ります。そのイメージを上手くブランディングしていければ会員各社の雇用にも繋がりますし将来を担う方の為にも必要不可欠です。
青年部をはじめ鉄リサイクル工業会を上げて取り組んで行きたいです。
会員企業の魅力をお伝えし毎月1回記事を更新していきます。
次回もこうご期待ください。

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