ファーストフード

今は昔。わたしも高校生であった時期があった。

地方都市のベッドタウンという娯楽の少ない街のこと、放課後の寄り道先なんてタカが知れていた。街にひとつだけあったショッピングセンター(モール、じゃないところが肝要)、小さなゲームセンターや本屋、そしてファーストフード。

マクドナルドは男子も加えたグループで行くときやシェイクを飲みたいとき。ミスタードーナツは女子だけで喋りたいとき。ミスドに男子と二人で行く、となればもうそれは付き合ってるんでしょ?みたいなのほほんとした高校生活を送っていた。

狭い街だから、近くのファーストフードに行けば同じ学校の子たちの顔も見える。あの子たちはグループは別だから同じテーブルに座ったりはしないけど手だけ振ったりなんかして、気になる男の子が友達と来てたりするとその背中だけずっと視界の端にあったりして。その頃わたしの好きだった人はファーストフードに寄るタイプじゃなかったから実体験じゃないけど、そのそわそわ感は容易く想像できる。

大人になっていく段階で、ファーストフードはどんどん身近になりすぎていって(始発までの待合室みたいに使ったりとかして)「ハレの日」感なんてこれっぽっちもないけども、あの頃には授業終わりの解放感も手伝ってか少しだけキラキラした良い場所のように感じていた。

そう、「サイゼリアを初デートに使うか論争」を見ていて、そういうことを思い出したのです。

今の子たちはたぶんもっとスピード感のある育ち方してるだろうから、とは思うけども、きっとあのそわそわ感は高校や中学やまたは小学校とかどこかの段階で通ってきてるはず。

まあまあみなさん立場とか性格の見定めとか難しいことは置いといて、デートに発展する前のあのそわそわ感を今サイゼとかマクド(orマック)とかで味わってる若い子がいるかもしれないというシュレーディンガーの猫感を一緒に味わいましょうよ。

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