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ペティフォードのcello

『オスカー・ペティフォード・インハイファイ』(ABCパラマウント)

”モダンベースのパイオニア” O・ペティフォードといえば真っ先にこれ。

錚々たるメンバーを揃え、名曲/名アレンジ/好ソロ・・・とまさに三拍子揃った名盤である。







・・・・実はこれ、良く見ると ”Deep Passion" と銘打たれたカップリング盤、





本当は↑こういう ”第二集” があって、僕などはこっちのジャケットの方が好きだったが今やCDで買うならこうしたお徳用盤もあり便利。





そして今日はこちらのジャケットで彼が持っている cello についてのオハナシ。










(余談だがR・ブラウンの ”Jazz Cello" というアルバムではベースとチェロ両方抱えているのが可笑しい)



あったあった、これ↓






この二人のほかにもキーター・ベッツ、サム・ジョーンズ、パーシー・ヒース、ロン・カーター等セロやピッコロベース(←これは丁度セロ~ベースの中間の大きさ)に ”手を出す” ベーシスト達が居たが僕もその気持ちは良く分かる。

普段フロントラインの裏方で奉仕している立場からすれば一度でいいから自分が前に出てメロディを奏でてみたい、というもの。




ところで、





・・・・僕もあれは早稲田ニューオリ4年の時だったか、当時部室の有った文学部 ”音楽長屋” 入り口脇のゴミ捨て部屋に壊れたチェロを見つけ、修理してしばらく遊び弾きした覚えがある。

もうひとりベーシストを頼んで ”フロント入り” する快感は一度知ったら止められない(笑)・・・・・・・

しかし真面目な話をすれば、ベース弾きがメロをとる事、こんなに勉強になる事は無い。
”メロディの唄わせ方” は難しかったし自分へのバッキングについても色々文句を付けたくなる点が沢山。それはそれは自分の本業にフィードバックする事が多々あった。








本題に戻ろう。


ペティフォード(以下OP)のよく唄う(メロディ)ラインは チャーリ・クリスチャンのギターと比較/並列される事が多い。
どちらも ビバップ前夜共に連夜のJamでアイディアを磨きあった仲、似ているのは当然とは思うが、僕はそれよりも彼(OP)の演奏、特に具体的には ”八分音符” の乗り方がもっと新しい物、すなわちW・モンゴメリーあたりに近い印象がある。

特に冒頭のアルバム(~in HiFi)で聴かれるそれは多分録音の具合もあるのだろう、ポクポクとした=少し丸いが太い音色・・・・・・ウェスが親指で弾く(オクターヴでない)単弦の音に ”瓜二つ” なのだ。





これはとりもなおさずOPが無類のモダニストであった裏返しでもあるし、エリントンからモンク~マイルスまでの幅広い彼の共演歴がそれをよく物語っている。








さらにもう一枚



これはOPが晩年にデンマークに渡ってからの演奏だが、


通常のハードバップをはるかに踏み越えた楽想、それは最早ECM風 ですらあった。

OPはこの吹き込み直後(’60年)コペンハーゲンで亡くなっているがせめてあと10年長生きだったらM・アイヒャーの目にも止まっていたかもしれない・・・・・・。




こんな楽しい妄想をもかき立ててくれるような、そんな演奏である。
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