ジャズ-エトランジェ
エトランゼ(ジェ)=異邦人
ジャズという音楽、ニューオーリンズかどうかは別としても言うまでも無くアメリカ発祥の音楽である。
今でこそ全世界で演奏&鑑賞され、むしろ本家アメリカの影は薄いくらいなのだがその草創期においては何人かのアメリカ人(黒人)ミュージシャンが異邦人としてヨーロッパ、もちろん日本にも ”ジャズの種” を蒔いたのであった。
古くは1930年代のヨーロッパ・・・・ルイ・アームストロング(スウェーデン)やシドニー・ベシェ(フランス)の功績は計り知れないし1960年代初頭ジャズメッセンジャーズ(A・ブレイキー)の来日は ”黒船” にも例えられる程の衝撃?だった。
日本の場合、特筆すべきはこの直後のジョージ・ルイスの来日ツアーだ。これで 『人生変わった』人々を何人も僕は知っている・・・・・・大阪のニューオリンズラスカルズの方々を筆頭に多くのアマチュアミュージシャン(特にアルバートクラ奏者たち)、さらには早大NOJC(ニューオリンズジャズクラブ)の若者達にまでこのスピリットは脈々と受け継がれている。
こんな事例、世界広しといえど日本だけじゃないのか?
ここから本題
ラッキートムプソン(ts/ss)の Dawn盤。
エトランジェ、と言うくらいだからフランス物がふさわしいかな?
ピアノにはマーシャル・ソラール ベースにはピエール・ミシュロ・・・・どちらもスイス・フランスを代表する ”一級の” 演奏家ではある。
一聴、十分互角に渡り合っているように聴こえるがギリギリのところでトムプソンに ”持っていかれて” いる。野球で言うならば ”球際の強さ” とでも言おうか・・・・
背景に背負ったものの違い、と言ってしまえば身も蓋も無い。
しかし記録としてレコードを聴く、という行為をするならこうした微妙さを聴き取る事こそ最大の楽しみだ。
例えばこれ→
ここではデックス、バド(パウエル)、クルック(ケニー・クラーク)とエトランゼが3人
揃ってしまったので 逆に演奏が ”緩く” なっている。
先のdawn盤での緊張感に若干欠ける、というか。
現地組vsエトランゼ、という図式の中での絶妙なバランス感覚、
紙一重の実力差を楽しむ、なんて言ってしまうと嫌味がすぎるが
事実こんなレコードでは→
現地組(オランダ、デンマーク)とドルフィーとの差が大きすぎて
エトランゼが本当に ”浮いてしまって” いる。
スペシャルゲスト然、とした大仰な演奏よりは僅かな違和感を残しつつも現地組に溶け込んだ演奏が深く、そして楽しい。
サポート本当にありがとうございます、これを無駄にせぬよう今後とも書いてゆく所存です‼️