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定跡のウソ 名人戦始まる

二上達也九段が「定跡のウソ」(「近代将棋」昭和50年6月号)の中でこんなことを書いている。

最近の底流は囲いに入らない矢倉戦であったりする。
囲ったら入城しなさい、入城してから戦いなさい。
その教えはどこへ行ってしまったのであろう。
一方は玉を囲いなさい、一方は相手を囲わせるなと反対なことをやっているのでは、定跡を集大成し読者を納得させる力に欠けてくる。
棋書も一貫した内容の定跡は書きにくくなっている。
棋書の氾濫はおのおの相互間の誤謬を生むが、人間の思考に流動性を認めれば、細部に目クジラを立てることはないのかもしれないのである。

今に通じる至言である。

今日から名人戦が始まった。戦法は角換わりではないが挑戦者の斎藤慎太郎八段の以下の本を手元に置いて中継を見ていると、この戦型は斎藤八段がかなり研究していると思われて興味深い。

49手目、▲5八金か。



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