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ベアリングとベアリングオイルで損をしない為に

ベアリングとベアリングオイル。
ミニ四駆を扱っていくと、ベアリングオイルは必ずと言って良いほど必要に感じていくものであるものの、他よりあまりクローズアップされない印象があります。 

ベアリングについては「軸受って意外と大事」も参考として下さい。


ベアリングは使用するにあたり、簡単に言うと2つの大事な事があります。
「脱脂」と「潤滑」です。
ベアリングの脱脂は調べれば沢山やり方は出てきます。
ただ、ベアリングによっては使わない方が良いものもあります。

例えばパーツクリーナーと最近のAO620ベアリングはあまり相性は良くありません。
その理由は「リテーナー」というベアリング内の球を保持している部品があるのですが、以前は金属製だったものが今は”樹脂製”に置き換えられているものがあるからで、脱脂洗浄力が高いパーツクリーナーは同部品の必要な油分まで抜きすぎて痛める可能性がある為です。

他に使われるもので主なところだと、ライターオイルや灯油でしょうか。浸け置き保存や脱脂によく使われます。あとはユニクリーン等の所謂鉄道模型用レールクリーナーでしょう。レールクリーナーは実際現場で回りが悪くなった時にも洗浄に使ってる人は多いかと思います。ただ、クリーナーなのでしばらく経つとまた動き渋くなる経験があると思います。

脱脂したベアリングはその瞬間はよく回りますが、そのままではすぐに油面による鏡面潤滑が無くなるので結果的に摩擦係数があがり回りにくくも、ゴミも取り込み抵抗も再度増えます。
何故脱脂直後のベアリングがよく回るかは、”油の抵抗が無い”からですが、空転は良いものの、直ぐに乾いて「軸受って意外と大事」の記事でも書いてるようにμが高くなり、負荷が掛かると保護している油が無いので噛みや削れ等の偏摩耗も早く起こしてガタガタになり、抵抗もどんどん増えていきます。

よって、ベアリングの状態を良好に維持するには潤滑が必要なのは分かると思いますが、例えば市販ベアリングオイルだと粘度的なものと回転性能でなかなか満足するものは多くないと、以前は私も市販品をアレコレと試していました。

最近では、例にあげるとYUTORI RACINGさんの「YC-003 ベアリングオイル」などが重宝されています。

私も正直素晴らしいものだと愛用をしています。
ただ、通販は原則されておらず、取扱店舗も拡充しているものの、販売元も頑張ってくれているのでしょうがまだ限られた店舗ではあるので、誰もがすぐに入手出来るものでは無いのが仕方ない事ですが残念ではあります。
だからと言って、販売元の主旨を鑑みれば転売ヤーを肯定する気は全くありません。

では、正規流通で簡単に入手出来ない人はどうすれば良いか?私は考えました。
「あれほどでは無くとも、”回せるオイル”が自分で作れれば良いのではないか」と考えて実験を始めました。

正直言えば、モーター慣らしオイルの時のように、思いとは裏腹に、紹介したものをパクって売る卑下た輩もいるようで、イタチごっこかも知れませんが、少しはコレを読んでくれた方々が転売品やパチモノで暴利を貪られなければ良いと思い記載します。

これから紹介するのは、何種類か試したうち誰でも安く入手可能で、あくまで準じる程度には回り、無添加よりベアリングには優しい位のものです。私が検証した程度の話なので、本家ほど耐久性や信頼度は高いものでは無い事はご了承下さい。
簡単に入手出来ない人の一手段として参考にしてもらえれば幸いです。

今回も用意するものは少なく、また単価も安いです。
用意するものは、計量器と容器、そしてオイルは
〇 ISOVG10 ミシンオイル
〇 Zippoオイル
の2種類です。

どちらもホームセンター等で入手可能ですし、容器はホームセンターに無くてもAmazon等で手頃なものを入手可能です。

ご存知のようにZippoオイルは”軽質石油蒸留物系原料”というナフサ系のものが使われており、ベアリングの脱脂にも使われる機械洗浄剤の代わりになるものです。
揮発性もあるので、取扱いと換気にはご注意下さい。

ミシンオイルもベビーオイル同様に一般的には不純物の少ないミネラルオイルであり、ベビーオイルより粘度の低いサラサラで、先の数字部分はその粘度を表します。この数字が小さいほどサラサラです。
以前の記事でも触れましたが、ミネラルオイルは精密機械のベース油に使われる事も多く、親和性も高いものです。

つまり、この2つを配合する事で適度な内部の脱脂洗浄と少なからず潤滑を行えれば、回らないベアリングが回ったり、脱脂後のベアリングならスムーズな長時間回転も可能のはずです。
また、樹脂変質への影響も少ないでしょう。

では実験します。

実験には同時期に纏めて購入した520ベアリングを用い、全て同じ瓶内で100均ライターオイルで脱脂したものを使用、回転チェックのため19AAローラーを1個用意して、全てのベアリングを同じローラーに同じ方法で圧入する事で、ベアリング本体の個体差を除きなるべく同じ条件となるよう配慮しました。
一度オイルを挿したベアリングは他に使わず脱脂瓶内に戻さない事として行っています。
実験では複数のオイルを作成して試しましたが、ココで記載するのは「YUTORI-003」と「本件配合オイル」の2種類の比較です。

なお、実験した本件配合オイルの配合率は
ミシンオイル2g+Zippoオイル4g
です。下記に比較動画があります。

先ずは脱脂のみのベアリング

次は同じものにYUTORI-003

今度はベアリングを入れ替えて、脱脂のみのもの

最後は同じものに配合オイル


如何でしょうか。個体差もありますが脱脂したベアリングとはいえ、どちらもオイルを挿して同程度の回転性能は出せる事が分かりました。
また、さんざん走らせたノーメンテの回り悪いローラーベアリングにもそれぞれ組み付けたまま試し、症状の軽重もあるかも知れませんが、YUTORI-003ほどではないものの配合オイルも回転性能は甦りました。
ただし、先にも言いましたが私の検証の範囲であって、1回の注油による持続性(耐久性)は多分及ばないとは思っています。
その分マメにメンテすれば相応ではありますが😅

余談ですが、「長い空転時間こそ正義」な風潮も少なからずありますが、駆動部はともかく、ローラーのベアリングは”空転時間=速さ”には直結せず、回らないより回った方が良い程度に考え、最初はあまり拘り過ぎなくても大丈夫です。理由は、ある一定以上の回転性能を活かすには、車体構成(バランス)とのマッチングが必要不可欠だからです。
つまり、ローラーの回転の良し悪しだけで速くなるのは限界があると言う事です。

このように、もし高性能なベアリングオイルが入手出来なかったとしても、必要最低限なものから作り出せる事は立証しました。
ただ、本物はやはり本物であって、その性能と信頼性は高いのは間違いなく、出来るならば本物が入手出来るに越したことはありませんが、入手難しいからと安易に高い転売品に手を出して欲しくはありません。
オイルに限らず、如何によっては、転売品や非正規品というのは買った側も処罰される事は無いとは一概に言えないからです。

よって、そういう気持ちから代替えになるものを今回の配合オイルとして紹介させていただきました。
ちなみに、このオイルは自身でも使っています。
もっと掘り下げて調べていると、もっと良いオイルの組み合わせや配合は無い訳ではないのですが、あくまで誰でも”安価で・手軽で・簡単に”を優先しています。

今無理せずとも、いずれの機会または身近でも良い物は適正価格で買えるようになってくるはずです。
それまで楽しく、損なく、気持ちよく皆さんがミニ四駆出来る事を切に願います。
この記事が少しでも役立てば幸いです。


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