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【Interview】LGBT教材:Ally Teacher's Tool Kit[小学校高学年版]制作にかけた想いとは?

 昨年リリースしたLGBT教材「Ally Teacher's Tool Kit[中学校版]」に引き続き、今年9月にAlly Teacher's Tool Kit[小学校高学年版]をリリースしました。
 今回、制作を担当した教育事業部マネージャーの小川奈津己さんに、インタビューをしてみました。

Q:小学校版の制作にあたって、工夫したことや心がけたことを教えてください。

 「多様な性を通して、多様性について知ってもらう」というコンセプトは前回の中学校版とは変わりませんが、映像とワークにこだわりました。
 まず映像ですが、小学生でも理解しやすく、そして親しみやすいように心がけました。たとえば、普段から目にしている映像教材に近くなるよう、中学校版にはなかったナビゲーター役として「先生のキャラクター」を登場させました。また、動画全体が1つのストーリになっていて、子どもたちが次の映像についていきやすようにしました。
 また、映像を見終わったあとにワークをしてもらうのですが、中学校版では「映像の感想」と、「もし自分がカミングアウトを受けたらどんな言葉をかけるのか」を書いてもらい、より周囲の人や社会との関わり方について考えてもらうワークになっています。(以下、中学校版のワークシート)

 一方小学校版では、まずは自己を見つめる段階がいいのではないか、と現役の小学校の先生方にアドバイスをいただき、ワークのテーマも「いろいろな違いを大事にするためにあなたにできる工夫はどんなことですか?」にしてみました。動画に出てくる出演者にも普段工夫していることを話してもらっていますので、身近なところから自分ができることを考えるきっかけになってもらえたらいいなと思っています。

Q:苦労した点や制作の難しさはありますか?

 中学版の制作時は、自分自身の中学校教諭の経験がありましたが、今回はReBitとしても中学校より小学校で行う出張授業が少ないため、どのくらいのレベルがいいのかという“肌感”が分からない点がありました。なので、現場にいらっしゃる現役の先生たちからアドバイスをいただけることは本当に有難いです。
 また、“言葉”にも気をつけました。この先生用のハンドブック(セクシュアルマイノリティについての基礎知識や、子どもの困りごとについて知るためのハンドブック)には、「多様な性」と書いてありますが、子どもに配るプリントや動画は「いろいろな性」と書くようにしました。

Q:先生たちにはどんなふうに使ってほしいか等を含めて、小学校版に期待していることは何ですか?

 まず先生たちには、たくさん実践してもらえたら嬉しいです。ATTKの指導案は、道徳の指導案として仮に作成してありますが、総合的な学習の時間や学級活動の時間など実態に合わせて使ってほしいです。この指導案も、例でしかなく、現場の子どもたちの様子や学級、学校の雰囲気などに合わせてオリジナルな指導案にしてもらえたら嬉しいです。そのオリジナルな指導案がどんどん増えて、実践が蓄積されて、先生方の叡智が集まるようになったら素敵だなぁと思っています。
 私たちが作った指導案は決して手を抜いたわけではないけれど、それぞれの子どもたちの実態に即していないという意味では100%なわけではないので、ぜひ先生方のアンケートでフィードバックをいただけたら嬉しいですし、今後、中学年版や低学年版に展開していくときに役立てていきたいと思っています。
 また、子どもたちに対しては、自分自身も多様な性のうちの1人であることを知れるきっかけになったら嬉しいし、自己受容感と自己肯定感が高まることで、他のお友達に対しても優しくなれる、寛容になれることを期待しています。

Q:最後に一言お願いします!

 今回、ATTK小学校版を制作することができたのも、前回のATTK中学校版を使ってくださった方々が多くいて、ご好評があったからです。中学校版を使用してくださった全国の先生方にとても感謝しております。
 また、今回の制作でも、現役の先生方を始め、多くの方々にお力添えをいただきました。子どもたちが「ちがい」で諦めたりしないで、安心して小学校生活を過ごしてほしい、そんな想いのあるオトナたちが集結して作った小学校版を、全国に届けたいと思っています。

【1日1枚の写真アップにご協力ください!】
現在、1日1枚の写真を「Donate a Photo」アプリにアップすることで1ドル相当寄付できるプロジェクトを始めています。12月末までに1万枚達成を目指し、達成した暁には、皆さんからいただいたご寄付でこの教材を全国の小学校に届けるために使用します。





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