見出し画像

【R19:WORKS】観客と一体化し、魅了するLaura Pinkの世界

ミュージカルソングやJazz、R&B、日本の歌謡曲など、幅広いジャンルの曲を自己流にアレンジしてパフォーマンスするキャバレー・シンガー、Laura Pink(ローラ・ピンク)。日本ではまだ馴染みのないキャバレー・スタイルの詳細と、ピンクをこよなく愛する彼女が開催したパーティについて聞いた。

ピンクへのこだわり

その名に冠するほど、ピンクという色を愛しているLaura。衣装やアートワーク、名刺、ホームページにまで、こだわりが垣間見える。

「子どものころから好きな色っていうのはもちろん、私にとって素敵な出会いを与えてくれる色なんです」。

彼女がアメリカに拠点をもつようになったきっかけも、Instagramにピンク色のボトルを投稿したことだった。

「たまたま同じボトルの画像を投稿している人を見つけて、いいねをしたんです。相互フォローして親しくなるうちに、相手がフィラデルフィア在住の女性・Mercedes Denisで、オリジナルのバッグを作っていると知って。私がニューヨークに遊びに行ったときに会って、意気投合しました。彼女のおかげで、現地のファッション関係の知り合いも増えたんですよ」。

そうした縁が繋がり、開催したのが『ピンクパーティ』である。

「場所はフィラデルフィアと東京の二ヶ所で、ドレスコードはピンク。演奏したり交流したり、私としては大成功でした。世界中でピンクパーティを開きたいですね」。

好きな色から広がる縁と、それを無にしない行動力に脱帽である。

マリリン・メイとデビューコンサート

「昔から、『誰に何を学ぶか』は重要だと考えてきました」と語るLaura。キャバレー・シンガーの師匠であるMarilyn Mayeについては「とても素敵な人柄で尊敬しているし、友達のように感じています。彼女が元気なうちに、学べるだけ学びたいですね」。

画像1

Marilynは、コロナ禍でも多忙な日々を送っている。

「本来、キャバレー・スタイルは、お客さんと密接に関わって成立します。でも彼女は時勢に合わせてオンライン配信やソーシャル・ディスタンスを取り入れ、新たな可能性を探しながら、ライブ活動を続けています。昨日はミネソタ、その前はニューヨーク、フロリダという具合に」。

彼女にレッスンをしてもらえる自分はラッキーだと言う。「Marilynが私のために選んでくれる楽曲やジェスチャーは、しっくりくるんです」。

ブロードウェイのミュージカルと日本のミュージカルとのギャップを感じ、自分らしい表現の本質を追求してきたLauraにとって、重要なことだ。

「アメリカ人って、日常生活からして、大きなジェスチャーをすることが多いですよね。私にはそういう習慣がないから、同じことをしようとしても、違和感があります。でも、Marilynのジェスチャーは、自然にできる仕草でした。彼女も、私のスタイルを評価してくれました」。

Marilyn Mayeは、かつてElla Fitzgeraldと共演するなど、ジャズの世界でもよく知られた歌い手だ。そのキャバレー・スタイルには、クラシックとジャズ、両方の要素が含まれている。

「クラシックやミュージカルの『メロディや歌詞に込められたストーリーをどう表現するか』という部分と、ジャズのアレンジや即興性を混ぜて、ショーアップしているんです」。

2021年6月17日のLauraのデビューコンサートに出演したピアニストの大友 孝彰氏と、ベーシストの寺尾 陽介氏も、日米のジャズシーンで活躍している演奏者だ。

「私は、Marilynに出会ってからジャズを歌い始めた初心者です。でも、大友さんたちと演奏していると、自分が解放される感覚があります。出てきた音にそのまま身を任せます。新しいことを学ぶときは、失敗を恐れずに、一度振り切ってからバランスを取りたいんですよね」。

コンサートではブロードウェイ・ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の一節や、リトル・マーメイドの『Part Of Your World』、松任谷由実の『やさしさに包まれたなら』などバラエティ豊かな楽曲群全19曲を、表情豊かに歌い上げた。

観客とコミュニケーションをとりながら、ときにはコミカルに、ときには少女のように可愛らしく表現するLaura。その姿はNHKの子供番組に登場するうたのおねえさんのようでもあり、間違いなくMarilyn Mayeのスタイルを継承しつつ、彼女自身の経験や思いを昇華したステージだった。

「私は日本でもアメリカでもカナダでも、どこでも歌えると思ってるし、歌いたいです。次の公演はまだ決めていませんが、どの国でやるかも分かりません」と、Lauraは言う。

「やりたいことはたくさんあります。ただ、どこで歌ったとしても、気持ちは一緒です。自分の仕事に覚悟をもって情熱的にやっていきたいですね」。

彼女の地球規模での活躍に期待したい。

text:Momiji photo:Yui Matsukawa

INFORMATION

2021.07.23(Fri) open 15:00 / start 15:30
『月のご馳走』

[会場] 江古田マーキー(東京都練馬区豊玉上1-10-10 江古田スカイビルB1)
[料金] 前売 ¥3,000(+1drink) / 当日 ¥3,500 (+1drink)
[出演]vo.Laura Pink key.大友孝彰 ba.寺尾陽介/ vo.吉川水砂子 gt.原とも也
※Laura Pinkと吉川水砂子のツーマンライブです。

関連記事



お読みいただき、ありがとうございます。皆さまからのご支援は、新たな「好き」探しに役立て、各地のアーティストさんへ還元してまいります!