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僕らのレアグルーヴ漂流記

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トマトケチャップ皇帝による音楽コラムです。洋楽に対しての熱い思いや、音楽とともに歩んだ青春の記憶は共感必死。「30歳を超えてやっと邦楽の魅力に気づいた」という彼のメインストリーム…
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#洋楽が大好き

【S04:COLUMN】J-POPとの邂逅

30を超えて邦楽を聴き始めた。 J-POP=セルアウトという偏見があったのだが、偶々くるりを聴いたところ良質なインディーロックを鳴らしており印象が一新された。鉱脈を見つけた気分である。 手始めにとディスクガイドの上から順にdigしている。その流れで椎名林檎に辿り着いた。 デビュー当時の林檎は異端として扱われていたと傍目に記憶している。 今になって1stを聴いてみるとキャバレー音楽調のアレンジと寺山修司的な詩作、なるほどオルタナティブな音楽性である。 女子高生だった林

【S02:COLUMN】青春のディスクユニオン

ディスクユニオンが好きである。 あの黒地に赤のロゴがプリントされた袋を持っていると一端のレコードコレクターと認められた気がするし、店名からして何かの結社ぽくて僕の自尊心を満たしてくれる。 ユニオンの店頭には特価CDが突っ込まれた段ボール箱(通称エサ箱)が設置されている。そこが僕のミュージックライフの出発点だった。 ニルヴァーナも200円で買ったしセックス・ピストルズ も200円で買った。 どちらも大して好みじゃなかったけど、カート・コバーンやジョン・ライドンを知り合いのよ

【S03:COLUMN】静謐の歌姫

エリザベス・フレーザーの歌声が好きである。 その特異な、意味性を放棄したボーカルスタイル(これに関しては聴くのが早い)には現実逃避的なところがあって、音楽に人生の慰めを見出していた僕に訴えるものがあった。 後になって彼女が幼児期に虐待を受けていたこと、かつての自分と同じ立場の人間に向けて歌っているとインタビューで語るのを聞いた。悲しみと優しさが歌われていたのだと分かった。 ボーカルを務めたコクトー・ツインズ解散後、各所の客演でこそ存在感は見せたものの彼女は表舞台からフェード