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医療経営者に捧ぐ必読書100選が     5分でわかるnote [Vol.003]

[Vol.003] 嫌われる勇気
岸見一郎/古賀史健 著 ダイヤモンド社

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アルフレッド・アドラーが提唱した「個人心理学」が端的に分かる一冊。

20世紀初頭にそれまで潮流とされてきたフロイト・ユングの心理学と並び
三代巨頭と称されたアドラー。

「人を動かす」のデール・カーネギー、
「7つの習慣」のスティーブン・コヴィー、
あらゆる自己啓発脳の源泉が、アドラー心理学だ。

ホリエモンも、自身の考え方を端的に説明すれば、アドラーだと語っている。

著者は、
「アドラー心理学は、"所有の心理学"ではなく、"使用の心理学”である」
としている。

経営者としては、自身の対人やマネジメントを振り返るとともに、
右腕の排出やスタッフ育成に「使用できる哲学書」として本書を活用されたい。

改めて、自己啓発の源流とも言われるアドラー心理学を、
現代人に分かりやすく紐解く良本。
その中から、今回はエッセンスのみを5つ抽出した。

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①人間の悩みは、全て「対人関係の悩み」である

アドラー心理学の根底に流れる概念。
人は、他者の存在があるから、悩みのである、としている。
アドラー心理学では「誰からも好かれるように生きる」よりも、
「誰かから嫌われるように生きる」ことを選ぶ。

どういう意味か?
あなたは、
相手の意見に従属することで、自分を表現することを避けることはあるだろうか。もしくはその傾向にあるスタッフはいるだろうか。

「人間関係が壊れることを怖れて生きるのは、アドラーにとって
 他者のために生きる"不自由な生き方"であって、
 自分の人生を生きることにはならない。
 すなわち、自分がありのままで存在する自由を手にする”勇気"を持て」

とアドラーは語る。
他者の人生を生きるな、他者の期待を満たすために生きるな、
自分の人生を生きよ、というメッセージが痛切に込められている。
アドラーが痛快なのは、
自由とは嫌われることだ」としていることだ。
嫌われてもいいと思える程他者の目を気にしなくなることこそ自由なのだ、
と考えるのだ。

他人の人生を生きることは、「人生の嘘」 


アドラーは他人の人生を生きることを「人生の嘘」と批判する。
自分の人生における課題から目を背けてはならない、
嘘をつき続けてはならない、逃げるな!勇気を持て!
ということだ。
人生における最大の嘘は、「いま、ここ」を生きていないことだ。
アドラーの言葉で
「誰かが始めなければならない。
 他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。
 わたしの助言はこうだ。
 あなたが始めるべきだ。
 他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」

とあるが、その瞬間瞬間を生きることこそが、
アドラーの哲学において最も重要な概念だ。

②対人関係における出発点は「課題の分離」である


アドラーは、
「我々が対人関係において持つストレスは、
 自分の課題と他者の課題の境界が見極められなくなるときに発生する」
としている。
そのストレスから逃れるための答えはシンプルで、
他者の課題に踏み込まないこと」である。

誰にとっての課題か?それもシンプルに、
「その結末を最終的に引き受けられるのは誰か?」で決まる。
自分自身は、その時の最善を選択する。
それを相手がどう評価するかは、相手にとっての「課題」。
自分にとっては影響を及ぼせない範疇だ、と考える。

③対人関係におけるゴールは「共同体感覚」を得ることである


共同体感覚とは何か。
アドラーは、
「人は、共同体にとって有益だ、と感じられる瞬間こそ価値を実感できる」
とする。
有益を感じる瞬間とは何か。
「この人は私に何を与えるか?」ではなく、
「私はこの人に、何を与えることができるか?」を考えることで、
共同体の中で自身の所属感を感じ得ていくのだ。
アドラーは
「所属感は、与えられるものではなく、自らの手で獲得していくもの」
としている。
共同体感覚は受動的ではなく、
能動的に自分から得ていくものなのだ。

④人間にとっての幸福とは「貢献感」である。


アドラーは、共同体感覚を得るプロセスが、
自己受容」・「他者信頼」・「他者貢献」であるとしている。

自己受容…自分が変えられること、変えられないことをはっきりと分ける。
     能力があること、ないことも、全て受け入れる。

他者信頼…無条件に信じること。もっと言えば、信じる勇気を持つこと。

他者貢献…わたしを捨てて尽くすこと(自己犠牲)ではなく、
    「私はこの人に、何を与えることができるか?」を考えること。

この3つを踏むことで、他者にとって有益な存在だと自分が感じられることこそ、幸福である、と考えるのだ。

⑤なにが与えられているか、ではなく、与えられたものをどう使うか?である


アドラーの考えかたの基本は、原因追求ではなく、目的論である。
自分の経験によって決定されるのではなく、
 経験に与える意味によって自らを決定するのである

という言葉に代表されるように、
自身が世の中の事象に対してどう意味付けるか?によって、
世の中の見かたが全く変わるという意味だ。

アドラーは、感情でさえも、目的に従うとする。
怒りの感情は、怒りによって起きたわけではなく、怒るという行為を通して相手を従属させたい、という目的を達成するために使用した「道具」に過ぎない、と考える。

これは、自身のあり方に大きく影響する。
なにがあったか?ではなく、どう解釈したか?が重要なのである。

幸も不幸も、自分が望んで選択している。
問題は過去にある訳ではなく、現在の「ここ」に、自分がどうあろうとするか
によるということだ。

自分を変えたい、と思っている人がいるとする。この理論からすれば、
自分が変われないのは、自分に「変わらない」決心をしているから」であって、変わることで生まれる"不安"と、変われないことで生まれる"不満"、後者を選んでいるに過ぎない。
アドラーは、幸せになる"勇気"が足りないと表現する。

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いかがだっただろうか。
今回はごく端的にまとめてみた。

アドラーの言葉には正に「勇気づけ」られる言葉が散りばめられている。
アドラーを瞬時に理解して実践することは困難でも、
それを理解しようとする過程で、
自身の生き様がどうかを鏡のようにして見直すことは、
根源的自由への第一歩なのかもしれない。

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