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【Reapra Book連載シリーズ】第2章:次世代起業家にとって社会と共創して学習し続けられるPromising Industryとは(環境)


昨年、Reapraで研究と実践の過程や得られた知識をまとめるためのプロジェクトが始まりました。それが"Reapra Book"。

第1章に続いて今回は第2章の紹介です。過去の記事はこちらからご覧いただけます。


この記事では、Reapra Bookの第2章を抜粋して載せています。第2章では、次世代起業家が、長期的に学習し続けることが不可欠な産業創造というテーマ(将来のなりたい姿・特定の到達したい物事)で、社会と共創して学習し続けやすい環境とは、どのような環境なのかについて説明しています。
こちらからから全文をご覧いただけます。


はじめに

前章で、社会と共創するマスタリーを歩む起業家やその支援者が実施すべき学習とは「将来のなりたい姿に照らし、何か特定の到達したい物事に対して、再現性高く実行できる方法論を獲得すること」を指すと定義してきました。

Reapraグループにおける起業家は、長期の時間軸を見通して、いずれ来る・いずれ来てほしいと考える社会像を市場(≒ビジネスの集合体)として結実させ、新たな産業創造にトライする存在です。その営みは、市場や取巻く社会の変化を捉え有望な事業機会を見出し、そこに強い事業と組織を複数作っていき、新たな産業と呼べる経済圏を牽引する企業を徐々に創り上げていきます。これは、領域の複雑性をできるだけ広く取り込んでいく学習です。社会、市場、事業の作り込み、組織の作り込み、そして経営者としての振る舞いなど、それぞれの複雑性を段階的に広く取り込み、学習していくことに集中する必要があります。またReapraは、その継続的な学習によって、産業創造に近づく再現性の高いアプローチを標榜しています。
 ※ここでいう再現性には、当該経営者による自社経営人材の育成ニュアンスが多分に入っています。

産業創造においては、長期的に学習し続けることが必要不可欠です。なぜなら時間軸と共に外部環境である社会が変化していくため、起業家自身も、環境にあわせて自身の考えや行動を変化させていく必要があるからです。 仮に、各種環境変数をロック(固定化)でき、静的に市場環境を捉えられるなら、そこで見定めたサービスや事業戦略だけで一気に成長できると考えられます。しかし、そんなことはあり得ないでしょう。一時期の大きなインパクト創出を目指し、スナップショット的に企業価値の大きさを目指すのではなく、長期的にインパクトが積みあがり続けるため、時間軸を長くすることでインパクトの総和が大きくなっていくことを重要であるとあなたが思うなら、上記の学習は必須項目と呼べるでしょう。

では、次世代起業家が、産業創造というテーマ(将来のなりたい姿・特定の到達したい物事)で、社会と共創して学習しつづけやすい環境とは、どんなものでしょうか? 

長期的な将来の理想像を明らかにすることで、現状のギャップを可視化し、試行錯誤を通して勝ちパターンを作りながら、As-Is - To-Beギャップを埋めていくことを繰り返し学習していくわけですが、その際、短期的に雌雄が決まる市場状況、競合によるマーケットの侵食、短期的な資金枯渇の問題やステークホルダーからの資金回収プレッシャーなどがあると、学習の基盤が出来上がる前にいきなり学習に集中できなくなってしまいます。逆に、先行事例が少なく成功イメージが持ち難いという難点はあるものの、競合が少ない環境で、継続的に営業利益が上がるため時間軸を踏まえながら組織や事業の成長を思案でき、業界のインサイダーとして事業活動を通じて市場インサイトを溜めながらオペレーションを磨き込める状況だとどうでしょうか。経営者として自分がどのように事業を作り込むか?の一歩目の学習に集中しやすくはないでしょうか。 

このように、マーケットの特性として、起業家が「学習に集中しやすいマーケット」と「学習に集中しにくいマーケット」があるとReapraは考えています。「学習に集中できなくなる要因」を排除し、起業家が学習し続けることで産業創造が結実されやすい市場を選定するための諸条件をまとめ、様々な外部環境が変化する中、その市場を再現性高く見つけ続けるために(概念として作り込むために)、Reapraでは長期熟達アプローチで産業創造にたどり着きやすい特性を持ったマーケットをPBF(Promising Business Field)と名付けました。

では、PBFにはどのような特徴があるのでしょうか? 大まかに理解するなら、下記3点を包含した概念だと理解しておいていただきたいです。

PBFの特徴
(1) 起業家自身の独自の切り口で整理した社会の課題認識(課題:理想状態と現状のギャップ)のうち、
(2) 複雑性が故に、現状ではまだ社会からの要求は小さいが、次世代に跨いだ大きな社会課題で、
(3) 当該領域において唯一無二のマーケットリーダーを目指し得ると信じられる領域

PBFとは

 PBF(Promising Business Field)とは、Reapraが、特に”社会と共創するマスタリー”を目指し、長期熟達アプローチで産業創造を目指す起業家にとって望ましい事業領域を総称した言葉です。PBFという言葉そのものにはあまり意味はありません。ただし個別の言葉をつけることで、多義的な概念を総称し、客観的に当該概念を作り込んでいくことが可能になります。故に、PBFという名称の概念、を作ることには大きな意味があるのです。だからこれが正解ではなく、試行錯誤している途上概念のため、ぜひ建設的な批判的精神で見ていただきたいです。 既に企業経営に熟達していたり、特定の事業領域に深い知見があったりするわけではない新参の起業家が0からマーケットリーダーを目指すためには、熟達し続けることが勝ちにつながるような領域を選びとることと、そこでの登り方を理解する必要があると考えています。

どんな概念も実践できないと意味がないです。ここからより詳細な定義を見ていきましょう。改めてReapraでは、PBFを以下のように定義し条件付けています。

PBFの定義
特に"社会と共創するマスタリー"を目指す起業家にとって望ましいとReapraが考える事業領域。具体的に述べると複雑性故にまだ規模としては小さいが、次世代に跨ぐ大きな社会課題を有しており、株式会社アプローチが有効で唯一無二のマーケットリーダを目指し得ると信じられる領域。

PBFの諸条件
a.)複雑性故にまだ小さいが b.)次世代に跨いだ c.)大きな社会課題。
d.)株式会社アプローチが有効で e.)唯一無二のマーケットリーダーを 
f.)目指しうると信じられる領域。


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この後、これらPBFの諸条件について、その内容、及び背景や理由について、ケースを交えながら説明しています。Reapra Book第2章では、PBFとの相性の良い起業家やベンチャー立ち上げルート、起業家独自の視点からのPBFの導き方、PBFの構造理解や参入方法なども記載されています。

Reapra Bookはこちらから全文ご覧いただけます。フィードバックフォームもありますので、ぜひご感想、ご意見をいただけると嬉しいです。


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