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NFTアート売買の現在地 ~2022年09月記~

「NFTアート売買の現在地」として備忘録と所感を残しておきます。
自分向けです。もしかしたら「NFTアートって何なんだろう?」と興味を持った方にも読み物として面白いかも知れません。

3行で書くと
・ブロックチェーンで「取引履歴」を扱うことができる
・自分の好きなタレントさんの私物であれば中古でも付加価値つくよね
・モノだけでなくレシピや秘伝のワザなんかも対象になるかもね

なぜ中古デジタルコンテンツが「そのもの以上」の価値を持つか

ブロックチェーン技術により「改ざんの出来ない取引履歴」を確保することが出来るようになりました。ブロックチェーン技術ナシで同様の仕組みを作る方法もありましたが、誰でも・何にでも・カンタンに・コストを抑えてシステムを作ることが出来るようになったという大きな違いがあります。
食材が種の状態から手元に届くまでのサプライチェーンをアプリで簡単に確認したり、中古のパーツの修理歴や過去のすべての所有者を確認する…というのも可能となり、消費者にとって以前とは違ったワンランク上の付加価値を提供することができるようになりました。

食材や中古パーツなど「価値あるモノ」に更に付加価値を付けることが出来るのですから、これはビジネスチャンスと見えるかなと思います。同様にNFTのデジコンも中古だろうと同じように付加価値が付いているのですから「そのもの以上」の価値を持つのは当然かと思います。

※中古市場というのは騙し・騙されということが往々にして起き低品質な品が流通しがちなのですが、ブロックチェーン技術によって良い情報も悪い情報も見える化されるようになれば騙すことも騙されることも減りフェアなトレードが実現されます。前段の状況をレモン市場と呼び、提唱した方は2001年にノーベル賞を受賞しました。つまり、そのノーベル賞級の発見を打破するポテンシャルを秘めているということになります。

分厚い皮があるため、買って切ってみないと分からない"レモン"


まず懐疑的な意見が多い理由を考えてみる

①そもそも論、"Art"と日本語の「アート」の違いを理解しておらず勘違いしている人が多いのではないか

海外の概念の上澄みを『カタカナ』を使うことでサッと取り込める日本語・日本人のメンタリティは素晴らしいことだと思っています。一方で、骨子や本質的なところが抜けたまま騒ぐミーハー的な動きは気を付けなければならない所だとも思っています。

海外のNFT Artsと呼ばれるものを見て「これがアート?」と思った方もいたかも知れません。
Artは6分野あると言われ、美術・文芸・音楽・舞台や映画・デザイン・その他にカテゴライズされます。例えば武芸(マーシャルアーツ)は"その他"に入ることになります。Artは美術だけを意味する言葉ではないので、NFT Artsの可能性を説明するときに美術品と比較するのは日本人にミスリードを招きやすいのではないかと感じており、『NFTアートって、変な絵が高額で売れるらしい』というようなイメージが人々に印象付けられてしまっているとしたら残念かなと思います。

例えば海外のサイトではショートフィルムや、ミュージシャンのライブ時の音響チェックのような「動画コンテンツ」なども売買されていたりします。YouTubeなどでのフェイクニュースなどが問題になることもありますが、ブロックチェーン技術を使えばフェイク動画や嘘ネタバレみたいなものを排除することが出来ます。
※そもそも誤情報や嘘ネタバレを当事者が流していたらしょうがないですが…

https://app.the402.xyz/

②付加価値と比較して本質的な価値が小さ過ぎるように見えるため違和感を覚えるのではないか

大量生産される日用品などでも「大スターが使っていた!」ということであればオークションなどで大きな値を付けることがあります。
NFTアートの説明でも「ラッパーの誰々が買った!」だとか「起業家の誰々が複数所持!」みたいな解説文が入ることが多いですが、まさにそれだけが価値となっているNFTアートもあるのではないかと思います。

有名人秘蔵のお宝映像みたいなものがあったとして、ファンであればお金を払ってでも買いたい、所有したいという場合があるかなと思います。昔「とんねるずのハンマープライス」というテレビ番組がありました。日用品や「風呂の残り湯」などもオークションの対象になっていたのですが、ファン以外の方からすれば風呂の残り湯なんて価値がない、むしろお金を貰って渋々廃棄するぐらいのものかも知れません。
しかし実際は「風呂の残り湯」は7万円で落札されたそうです。人によっては捨てるようなものでも、ファンにとっては価値があるものに見えるわけですね。

また、単に"他の人が欲しがっているものを自分も欲しがる"という性分を持つ人が世の中にはいます。それは古典的な経済学ではなく心理学の領域であり、クールで理詰めな人ほど理解し辛く違和感があるものになっている可能性もあると思います。
「価値があるから皆が欲しがる」のではなく、「みんなが欲しがるから高値が付く」という状況になりがちなのは仮想通貨に似た特徴があります。

風呂の残り湯が7万円て・・・


③物ではないデータやソフトウェアの売買において日本人は価値を見誤りがちなのではないか

「日本人は物には金を払うが、サービスにはお金を払わない」のだという考え方があります。ついつい"原価"というものを考えてしまい手間賃などを見過ごしやすいという特性があるとのこと。
例えばソフトウェアなどの「目に見えないデータ」や、クラウドサービスのような「自分の手元に所有しないシステム」などが浸透し辛かった(企業が大きくなり辛く・技術者が買い叩かれる)のも、物に価値を感じるという背景があるからだと言われることがあります。
"サービス"というものが"無料"を意味する単語として使われることも多いですが、特殊な文化かも知れません。

特にデジコンにおいてはコピーしやすく・されやすいという特徴があるため付加価値の評価が重要になってくるわけですが、日本人にとって不得手な領域と言えるかも知れません。

補強できそうなネットで良く見られる疑念

ただの絵がそんなに価値あるものなのか?→確かにバブル感はあるのでババを掴む可能性はある…かも

②と③に記載していますが、「みんなが欲しがっているから欲しい!」という人や、転売目的で入手するような人もいるように思います。株式市場のようなもので、投資対象として買いたいという人もいるかも知れません。

前の所有者が大人気のタレントさんなどであればファンからすれば価値あるものなので、値崩れしたとしても価値が無くなるものではないです。コレクション目的で持っているのも良いと思います。
しかし、上述の通り様々な思惑が入りこんでおりオーバープライシングとなってしまっているのは間違いないと思います。

NFT Artsというものが怪しいものだと思われているという意味では、アンダープライシングですが…
今のところ玉石混交となっていますが、掘り出し物もあるはずです。投機目的でないのならば、購入するNFTアートが自身にとって価値あるものなのかどうか・ただの絵なのかはシッカリと見極めた方が良いでしょう。

出典:高橋留美子作「犬夜叉」コミックス6巻より
出典:高橋留美子作「犬夜叉」コミックス6巻より。絵だと喝破する場面

※気付いたときにはただの絵ばかり持っている、ということになりませぬよう…

ワケの分からん作者の絵に付加価値が付くのはおかしくないか?→確かに炎上を誘発するような危険性をはらんでいる…かも

有名人の秘蔵映像みたいなコンテンツに付加価値が付くというだけでなく、「これから有名になる人」の絵などにも付加価値は付きます。
やったもん勝ち的な感じで子供がNFTアートを出品すればそれがニュースになり、そのニュースによって期待値が上がり更に高額になる、そしてまたニュースになり…というサイクルが構築されます。

有名になれば価値が上がるというのは炎上系YouTuberの方などにとっては当たり前のことかも知れませんが、それはつまり犯罪をおかすような方が出てくる可能性もはらんでいるということも意味します。
オークションの世界ですが、イギリスなどで犯罪者の持ち物がオークションにかけられたことがあります。形のある物品であれば時間と共に朽ちていったり、模造品が出回ることで「犯罪者の持ち物」といえども値崩れしていくはずですが、NFTアートは腐ったりしませんし、出処が有耶無耶な模造品が出回ることはありません。

何の才能もない、絵が上手いわけでも音楽が出来るわけでもないような人でも、犯罪をおかすことで大金持ちになれる可能性がある・それだけが付加価値となっている商材が売買されるマーケットというのは違和感を持ってもおかしくはないかと思います。
GAFAなどのサービスであればコンプライアンスとガバナンスによりデジタルコンテンツが削除されることもあるでしょうが、NFTアートのマーケットはどうでしょうか。

今後起きうること(想像)

メタバースに無事に乗り遅れるジャパン

「物には金を払うが、手で持てないソフトウェアや所有できないサービスには金を払わない」という特徴は、NFT Artsやメタバースと相性が激悪なのではないかなと思っています。

メタバースの世界ではデジタルコンテンツが主流となり、コンテンツの信頼性が担保され付加価値があるNFT Artsはキホンとなってもおかしくないです。
しかしグローバルな環境でソフトウェア産業やクラウドサービスがお馴染みの感じで周回遅れとなり世界と競えていない現状、web3やメタバースで巻き返せる気がしません。

何事もなく無事に乗り遅れるのではないでしょうか。

学歴やスキルもNFT Artsとして考えられるようになる

先日、千葉工業大学にてNFTの学歴証明書が発行されたということがありました。上述した通り「Arts」は6分野に分けることが出来、「その他」の中にはMartial Arts(武芸)も入っています。ブロックチェーン技術により取引履歴を活用できるようになるわけですが、それにより「師弟関係」なども明らかに出来るようになるかと思います。

日本では過去の職場や上司、大学などに連絡を取ってスキル等について確認することはしないですが、海外であればリファレンスチェックは一般的です。

自分が教える立場になった場合も「本物から学ぶことができます!」というのは良いプロモーションになるかと思います。生徒からすれば「自習した人から学んだ!」ということより「本家本元から指導を受けて身に着けた!」ということの方が付加価値としては高いと思われますし、生徒もNFT免許皆伝を貰えば本家本元になれるわけです。

ペテン師や詐欺師のような人が活動しにくくなる、というだけでもポジティブに考えられるかも知れません。



そのうち文章を整理すると思いますが今日はここまで。

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