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人殺したいのでオナニーする

怒りのピークは6秒しか持続しないから腹が立ったらとりあえず6秒は待ってから冷静に考えろなどという話が1ヶ月おきくらいのペースでツイッターにおいてバズっているがどう考えても嘘である。マジでエロい女が大学に入って最初に殺意を抱いたのは同じ学科のヒョロガリメガネであった。大学の必修講義に体育があって驚くのは大1あるあるらしいがそれはオナニー以外の運動を苦手とするマジでエロい女も例外ではなく、しかも必修との兼ね合いで特に苦手とする球技を選択しなくてはならなかった。

忘れもしない第2回。その日は初めからテニスラケットを一人一本配られペアを組み、下手でもいいからとりあえずラリーをしてみろとの事であった。マジでエロい女は球技の中でもギリギリ楽そうなテニス班を選んだがテニス班はほとんど内部進学で既に面識のあるウェイが大半を占めておりわざわざ一浪して進学したマジでエロい女に取っては大変に居辛い環境であった。

マジでエロい女はテニスコートの端っこに隠れるように立ち、ただただ時が過ぎる事を待ついかにも人と話すのがヘタクソそうなヒョロガリメガネに声を掛けた。

「誰も決まってないなら、マジでエロい女とやろ」

ヒョロガリは少し驚いた様子で「あぁ、うん、いいよ」と返した。人と話すことに慣れていないのだろう。マジでエロい女はじゃあボール取ってくるわ、とボール置き場へ向かった。

ボール置き場にてヒョロガリメガネよりは社交性がありそうなもののやはりここを居辛いと感じていそうな男に決まってないなら組まないか?と声をかけられたがすでにヒョロガリメガネと組むという旨を伝え断った。

テニス用キンタマを持ちヒョロガリメガネの元に戻るとヒョロガリメガネが二人のウェイ系男に絡まれていた。恐らく暇だしあのインキャ持ち上げてイジってやろーぜ的な魂胆であろう。あの手の人間は他者からの評価に飢えた事がないので他者を評価するポーズを取るという見下し方を料理が来るまでしょうゆさしを傾けて遊ぶような感覚で行う。

何とも思っていないような口調で「ボール持ってきたよー」と声を掛けると、ヒョロガリメガネが

「ごめん、ここで(ウェイ系二人をなんとなく手で示す)組むことになったから別の人と組める?」と小声で抜かしてきた。

本来ならばこの場でヒョロガリメガネを即極刑に処してやるのがマジでエロい女の流儀ではあるが講義中に人を殺したとあらば落単しかねない。体育などというダルい必修を忙しくなる2年以降に再履修することは1年前期から背負うにはあまりにも重いハンデであるためグッと殺意を堪え先程の男の元に戻り断りを入れ共に組んだのであった。

しかし本当に殺意を抱くのはこの後であった。

その男と下手なりにラリーをしていると先程ののヒョロガリメガネがフラフラとやって来てマジでエロい女の近くをウロウロし出した。何が起こったかはその時点で察した、というか明らかに見下して楽しむために話しかけてきていたウェイ系と組むと抜かしていた時点でなんとなくどうなるかは見えていたが、マジでエロい女は気づかないフリをした。

「なぁ」

無視。

「あのさ」

無視。

「あの!!!!!!」

あまりにも大きな声をいきなり出すので驚き「えっ何」と返事をしてしまう。

「あのさ、ここで3人でやるって事で入れてもらえないか」

書いてる内に余計腹が立ってきた。マジでエロい女に声をかけられるまで組む相手を探しもしていなかった癖に高校のスクールカースト高そうな奴に声かけられて平気で先約を破った事に対してまったく謝罪がないこと、ウェイ系に弄ばれた挙句結局組む事ができない自分の惨めさを口に出さないこと、そして『くれないか』などとわざわざ格好付けた語尾を使いヒョロガリに見合わない自尊心を守ろうとしている所。その後どうしたかはよく覚えていないが体育はBでパスした事を考えると恐らく処刑せず3人目として迎入れたのであろう。あれから2年が経つがマジでエロい女は今でもこのように思い出すと殺したいほど腹が立つ、今でもあのヒョロガリメガネを隙があればブチ殺してやりたいと考えている。何が言いたいかというと、こういう社会の中で生きてゆく過程でかならず出逢うブチ殺してやりたい奴がのうのうと生きている限り本当の幸せなどないのではないだろうか?全部書くとnoteのサーバーが潰れてしまうのて書かないがマジでエロい女はヒョロガリメガネのように隙があったらブチ殺してやりたいと思い続けている人間が無数にいるし、その中のただ一人さえブチ殺せていない。全員がのうのうと生きている。そんな世界にマジでエロい女にとっての本当の意味での幸せなどあるのであろうか?しかしこうも考える。殺したところで殺人者たるマジでエロい女にはやはり本当の意味での幸せなどあり得るのであろうか?

マジでエロい女はこういう気分になる度にオナニーをする。オナニーはセックスと違い生殖が最終地点にない行為、すなわち未来のない行為と揶揄されるがマジでエロい女にとっては違う。今抱える問題を未来に先送りするための行為、すなわちオナニーそのものがマジでエロい女にとっての現在であり未来なのである。


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