値上げの秋

10月から値上げラッシュが始まります。マクドナルドも値上げ、吉野家も値上げ。でも皆さんのお小遣いは上がっていますか?上がっていませんね。

四半期ベースの東証REIT指数の騰落率は▲1.1%となりました。J-REITは6月の米国CPIショックを受けて一時は1,900ptを割り込む調整となりましたが、その後は堅調に推移。2,000pt超えで落ち着くかと思いきや、9月のFOMC通過後にまた2,000ptを割り込み、権利確定日である9/28は1,916.79ptまで下落。月末に少し持ち直しましたが、上値が重い展開となっています。

国内の不動産マーケット(特にオフィス)は依然として好調とは言いがたい状況が続いています。オフィス空室率は6%前後、賃料下落傾向は止まらないまま2023年の大量供給を迎えそうです。住宅は、各REITの稼働率の底打ちが確認できたことはポジティブですが、東京都心のシングル向けは賃料上昇まではあともう一歩。城東エリアでの需給が緩んでいることも少しネック。商業はラグジュアリーの回復とかもあるけど、そもそもコロナ前から弱いセクター。物流は相変わらず良いんですが、賃料上昇が弱くなってきたか。CR2%台の取引もあるなどと言われていますし、今後の物件取得時の利回りがどうなるでしょうか。ホテルは入国制限緩和はポジティブですが、すぐに業績に反映されるわけではないですし、中国からの渡航客が来るかは不透明。更に、エネルギー価格高騰によるGOP比率の悪化も見込まれます。まあ住宅とホテルは少し上向いてきたか、という印象です。

各銘柄の四半期の騰落率ベスト・ワーストは以下の通りです。

ベスト5

  1. インヴィンシブル +14.29%

  2. CREロジ +10.34%

  3. ヘルスケアメディカル +10.22%

  4. いちごホテル +7.83%

  5. JHR +6.34%

ワースト5

  1. タカラレーベンリート ▲12.53%

  2. サムティレジ ▲10.46%

  3. スターアジア ▲8.79%

  4. 産業ファンド ▲8.58%

  5. エスコンジャパン ▲8.08%

好調なのは引き続きホテル。入国制限緩和の期待感があるのでしょう。CREロジは多額の物件売却益を計上、ヘルスケアメディカルはEPRA/NAREITの組入など、特殊イベントが絡んだ銘柄もありました。
軟調だったのはPO実施銘柄。ワースト1~3位の銘柄が今四半期にPOを実施した銘柄です。産業ファンドは決算発表以降振るわない結果に。エスコンジャパンは行政処分の影響もあったでしょうか。

今四半期の重大ニュースは、なんと言っても大和ハウスリートのPO中止でしょう。ブックを締めてから(=資金を集めてから)の中止は聞いたことがありません(シノケンリートのようにブック締めの前に中止するケースは珍しくありませんが)。POで取得予定だったテナントが民事再生法の適用に至ったというのがPO中止の原因ですが、改めてテナント分散の重要性を思い知らされる出来事となりました。当該テナントの日本ロジステックは、横領が原因による民事再生法の適用申請のようです。イレギュラーな事象なので、物流業界全体に波及はしないと思われますが、印象はよくないですよね。

もう一つはエスコンジャパンの行政処分。こちらは東洋経済の記事が内情をよく解説してくれています。正直スポンサーの役員が辞めないことには再発防止の実効性に疑問が残りますが…

9月下旬には大きく下落しましたが、権利落ち日以降は株が弱くても上昇する形になりました。これが、Bondで傷を負った金法勢がポジション調整でREITを売ったということを示唆しているのならば、短期的な需給調整は落ち着いたという見方もできようかと思います。前回書いたように、「どうせ不動産賃貸マーケットが弱いのはみんな分かってるんだから、金利と中央銀行と需給だけ見てればいいんでしょ」という相場が続くのかなと。セクターの見通しとかも同じような状況が続くんでしょう。でもそろそろYCC修正後の世界と、どのように修正されるかは考えておいた方がいいのかなと。

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