今後のオフィスとコワーキングの未来

J-REIT市場は冴えない展開が続いています。総じてホテル・商業が弱く物流・住宅が強い。高いとわかっていても確実な分配金を狙いにいくなら物流・住宅に行くしかない。業績相場に移行しつつあるのであれば仕方ないトレンドですし、ボラも落ち着いてきたのでマシな動きなのかな…

さて、今週はオフィスに関するニュースフローが2つ出てきました。
1つ目ですが、7/6に富士通が2022年度末までにオフィスを半減させると発表しました。

恐らくコロナ前から雇用制度改革の一環として検討は進めていたと思われます。コロナで在宅勤務も広がってきたため、決定がいいタイミングになったのでしょう。
J-REITへの直接的な影響としては、ヒューリックR、インベスコ、野村マスター、日本ビルファンド、東急REIT、ジャパンエクセレントで富士通の入居が確認できるため、これらの銘柄が解約を受ける可能性があります。

もう一つは6月の都心のオフィス空室率が発表になりました。

上昇したとは言ってもまだ1.93%で低い水準にはあります。しかし、渋谷の空室率の上昇(2.55%→3.38%)が気になります。港区の上昇(1.88%→2.33%)は恐らく虎ノ門グローバルスクエアが若干空室を残していることが要因でしょうけど、渋谷は縮小解約とかが相次いでいるそうなのでまずい動きですね。渋谷ってIT系イケイケな会社が多いんで、判断が正しいか間違っているかに関わらず動きが速い。

オフィス不要論も声高に叫ばれ、一体これからのオフィスマーケットはどうなってしまうのでしょう。J-REITも時価総額の約半分をオフィスが占めているため、オフィス市況が軟調であればJ-REIT全体も弱い展開が続きます。物流が牽引するって言ったって限度があるでしょう。

オフィス市況、ひいてはオフィス系REITはどうなるか。個人的な意見を言うと、今までのような賃料増額改定に裏付けられたNAVと分配金の上昇はさすがにムリです。短期的には分配金もホテルほどではないにせよ多少解約の影響で下がるかもしれない。でも僕は意外とオフィスの床需要は底堅いと思っています。カギは拠点分散により新たな床需要が創出できるかその床需要をコワーキングスペースが対応できるかだと思っています。

富士通のオフィス半減のニュースではタイトルばかりに目がいきがちですが、同時にシェアオフィスの活用も検討しているようです。在宅ワークだと効率が落ちるというのはさまざまな在宅ワークに関するアンケートでも明らかになっており、緊急事態宣言中は「そろそろ出社したい…」という声も聞こえました。と言っても狭いオフィスに人をぎゅうぎゅうに押し込めるわけにもいかない。とするとオフィスの床を増やすかというとそんなスペースも無ければ金もない。「シェアオフィスでも使うか」という結論に至るのは至極真っ当。フリーアドレス化すれば一人当たりの必要床面積が減るらしいですけど既存のオフィスに入居しながらフリーアドレス化って可能なの?キツくない?

ただ、僕はかねてからキラキラ共用部シェアオフィスではなくてザイマックスのZXY(「ジザイ」と読みます)のような無骨感ある形がいいのではと言っています。JOJOの吉良吉影さんだってスポーツジムについて、「1週間もフロに入ってないヤツがチンポいじった手で同じダンベル持ち上げたりプールに入ったりするのかな?」と言っています。つまり、そういうことを気にしないといけないほど衛生観念のレベルを上げなきゃいけないということです。キラキラ共用部で乱痴気騒ぎする人がコロナ持ってないとは限らないですから。そんな見ず知らずの人とパソコン並べて一緒に仕事したいですか?個別ブースとか企業専用のブースで働いた方が安心ですよね。

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また、大手シェアオフィスと言われるWeWorkやリージャスの拠点のエリアはどちらも都心に相当比重を置いています。一方、ZXYは結構分散していて、都心にもあれば船橋とか浦和とか比較的郊外にもありますし、湾岸エリアでは豊洲と月島にもあります。新井薬師にもありますけどなんでそこ選んだんだろう…このような住宅地に近接したコワーキングスペースなら受け入れられやすいと思うんですよ。ホント個人的にザイマックスにはこのジャンルで天下取ってほしいと思ってるぐらい。

でも、郊外ってそもそもオフィスビルがないですからね。コワーキング作ろうとしてもどうしても限界がある。それにコワーキングって坪単価にすれば結構割高ですので、テナント側はどこまで負担できるかという問題はあります。例えばZXYの個別ブースを1日9時間、週3日使用したとすると月86,400円かかります。仮に個別ブースを2坪とすると坪単価は約43,000円。丸の内の賃料並みになっちゃいます。これをある程度の人員分用意するとなると中々の負担になりそうです。コストカットのために床を減らしたのに、コワーキング借りて結局コストアップしましたってとんだ笑いものですからね。デベからしたらそこが狙いどころになりそうですけど。

色々書きましたけど、短期的にはもうちょっと空室率は下がるんでしょうね。いつまでにいくらまでって言われると難しいですけど、今年の年末に3%から4%になっても驚かない。だって一月で2万6千坪の空室の増加があって0.33%の空室率の増加でしょ?ここから10万坪ぐらい空室増えることは十分あり得るでしょうよ。今年は供給も多いですし。でも、「だからオフィスマーケットは崩壊する!」とまでは思ってなくて、今まで好調なマーケットを支えていた要因が崩れないかがポイントだと思ってます。つまり就業者数の伸びとコワーキングスペースの先行き。就業者数の伸びはもう期待できないし、なんなら減るかもしれない。となると、これまでもう限界と思ってたコワーキングに頼るしかない。「アフターコロナ()のオフィス活用」という観点で注目されつつある。このチャンスをモノにすればマーケットが広がるはず!ピンチはチャンス!頑張れコワーキングスペース!テレワークに負けるな!

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