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NBF、そろそろ許してやったらどうや?

久々の投稿です。最近J-REIT市場に面白みが無く、特に書きたいことは無かったのですが、よもやJ-REITの雄、日本ビルファンド様がこんな地合いの中、P/NAV1倍割れで、しかも約1,400億円ものPOをやるなんて夢にも思いませんでした。それ今やる必要ある?

それでも、PO自体は好調とは言えないまでも無難だったようで。Twitterを見ていると「普段よりもアロケーション多かった」って声も聞かれた一方、倍率は不調ではありながらそれなりには札は入った様子。

POの中身をおさらいしておくと、今回は実質的に2物件の新規取得の見合いでのPOとなります。一番取得価額が大きい物件は、のど自慢大会で有名な「新宿三井ビル」でなんと1,700億円。現在REITが保有している物件で取得価額1,000億円超えはジャパンリアルエステイトの汐留ビルディング、森トラスト総合の東京汐留ビルディング、森ヒルズの六本木ヒルズの3物件しかありません。いかに今回の物件取得が巨大かうかがい知れます。しかも1974年築。スポンサーの三井不動産的には「経年優化」と謳っていますが、古い物件であることは否めない。

そもそもなんでこんな時期にPOをしたんでしょうね。通常、REITのPOは決算月か、決算発表月にローンチされることが多いです。日本ビルファンドは6月、12月決算なので、2月、6月、8月、12月がPOローンチのベタなタイミングです。推測の域を出ませんが、12月に発表すると海外投資家中心に休暇に入ってしまって札が集まりにくいとか、2月だと物流系のPOとかち合わせるとか、その辺の事情があったのでしょう。じゃあ6月か8月にやっとけよという話ですが、まだコロナも落ち着いてないし、この時期になっちゃったんでしょう。知らんけど。ホンネの部分はスポンサーのB/Sを軽くしたいんでしょうね。知らんけど。

そりゃこんなPOを発表すれば投資口価格はボロボロになるわけでして、コロナショックから立ち直りつつあるホテルREITを横目に滑落していく日本ビルファンドの投資口価格。コロナ来安値の555,000円を割り込み、価格決定日(10/20)の終値は538,000円。POの発行価格はなんと527,240円。バーゲンセールだ!発行価格で言えば2015年の夏以来の安値!その頃(2015年8月)の東京都心オフィスの空室率は4.72%、平均賃料は17,490円/坪。2020年9月はそれぞれ3.43%、22,733円/坪。単純に平均賃料の関係だけ言えば、かなり織り込みすぎているともいえるかもしれません。だって平均賃料単価は20%以上減ることを織り込んでるってことですよ?10万のお家賃の家に住んでる人どう?コロナショックでお家賃2万円割引してもらえそう?
まあ、そんな単純な話じゃないんですけどね。わかってますよ。

ここ最近の空室率の上昇は2次空室によるものが多いと思っています。日本ビルファンドも多分に漏れず、そこそこ大規模な2次空室が来年にかけて予想されています。六本木の○○○○ックスが豊洲に行くらしい、とか。その辺りの織り込まれてる解約は全てダウンタイムとして認識してるのでまあまあ保守的なガイダンスとなっています。
しかしだね、オフィスREITの人はこぞって「コロナでリーシング遅れただけだから!大丈夫!大丈夫!」と言っていますよね?その発言が本当なら年明けには強いガイダンスを期待して良いってことだよね?三井不様ならきっと空室を埋めてくれる!ガイダンス上方修正や!って信じていいってことだよね?違うの?

足許では投資口価格も560,000円台まで回復してますが、あくまで安定操作可能期間なんで少し割り引いて考える必要があります。一方で、増資によるインデックスイベントも来週頭に控えており、(素直に考えれば)それなりの買い需要も控えています(※但し、ここ最近のインデックスイベントはイベント当日に逆方向に行ってます)。短期的な需給の動きは一旦月内で落ち着くのかなと思ってます。

いただけない増資であることは否定しませんが、さすがにコロナ来安値更新して、どこまでCFの減少を織り込むねん!という値動き。マーケットもそろそろ許してやったらどうや?

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