商業セクターの行く末

日本リテールファンドさん、申し訳ございませんでしたッ!
4月上旬にリテールファンドのP/NAVが0.5倍前後の頃は「さすがに安い!」と言ってましたが、ここ最近は「様子見でいいんじゃない?」と思ってました。どうせ分配金下方修正するんでしょ?そこで下がったとこで拾ってもいいんじゃない?と。
8/7に発表されたガイダンスでは賃料減免の影響は受けてるけど、分配金は内部留保を活用して維持するとの方針を示しました。ユナイテッドアーバンみたいに影響受けた分はそのまま分配金減らすんでしょ?って思ってましたが完全にアテが外れました。MCUBSから「詫びろ詫びろ」の声が聞こえてきそう。

それより少し前にはケネディクス商業も業績予想を上方修正。「コロナ影響を保守的に織り込んだらそうでもなかったわ!すまんな!」というかわいらしい内容。ここもいわゆるNSC(Neighborhood Shopping Center)が比較的多めですし、まあそうだよねと。

おまけに海外でも商業に関してポジティブなニュースが聞こえてくる。大手商業REITのサイモンプロパティグループが潰れた百貨店の跡にアマゾンを入れるのだとか。

このニュースを受けてサイモンプロパティの株価は5%以上上昇。でも年初来では50%以上負けてるんだけどね!

じゃあ同じような流れが日本でも起きるか。僕は「起きない」と思っています。

サイモンプロパティが持ってる物件って郊外が多いんですよね。ニューヨークから車で1時間かかるとかそういうの。イメージは「プレミアムアウトレット」。日本でも地所と合弁でやってますし。そういうとこに物流テナント入れるのはそれほどおかしな話じゃない。しかし郊外に出店してる百貨店が潰れたって日本ではなかなか聞かない話ですね。さしずめ、かつての奈良そごうが物流施設にコンバージョンした世界みたいなものでしょうか。そうだったらミ・ナーラの誕生をこの目で見ることができない悲しい世界だ。

一方、日本ではそもそも商業系のテナントで大きな倒産の動きはなさそう。一部飲食・アパレルが苦戦しているという話を聞きますが倒産まで行ってない。まあアメリカってカジュアルにチャプター11申請しますし、日本の民再とも趣が異なるってのはありますが。

恐らく日本の商業施設で今後起こりうるのは飲食業のギブアップとアパレルの高額賃料帯店舗からの撤退。どちらも都市型商業施設で起きるのではないかと思います。意外と郊外のショッピングモールとかはそれほどコロナの影響を受けなかったようですし。
飲食業の苦境は言わずもがな。アパレルは構造的に厳しいと言われて久しい。ECの流れにうまく乗れるところは生き残るんでしょうけど、銀座でインバウンド向けにバンバン売ってたようなところは厳しいでしょう。

そもそも都市型商業施設で飲食とかアパレルの1階路面店舗の空きが出たとしても、物流倉庫として使うには賃料が全然合いません。近隣の住宅に配送する小さい配送拠点のようなイメージになるのでしょうが、使い勝手悪そうだし、コンバージョンで金かかるし。1棟借りの地方商業施設で撤退とかあれば物流施設になることもあり得るのでしょうがそんな話も聞こえてこない。

今後商業セクターは賃料減額による分配金の減少はそれほど大きな影響はなく、むしろ退去がどれほど出てきて、それがどれほどの影響になるかがポイントだと思われます。なので材料出尽くしとはまだ言えないと考えています。ここからは稼働率がどのように推移していくか。正直冬~来春まで待ってみないとなんとも言えないですが。GWもダメ、夏休みもダメ、大人数の会食は自粛ムード。補助金や融資で得た手元のキャッシュを撤退費用に充てるというのは別におかしな話じゃない。
それでも今の物流銘柄のvaluationと比較すれば、リテールファンドの利回り6.12%、P/NAV0.64倍というのは魅力的に映ります。商業セクター全体の不透明感からすればバリュートラップという見方もできますが、コロナ禍の中で敢えて分配金予想を崩さなかったという姿勢はとても投資家のことを考えたガイダンスだと思います。

9月はFTSEのリバランスも控えてますし、需給的にはそろそろREITに追い風が吹くのかなと期待を抱いてます。REITのボラティリティも落ち着いてきたし、そろそろリスクパリティファンドも戻ってこないかな。株とREITの割合引き下げまくって付いていけてない円〇会とかさ。

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