ちょっとだけマニアックな指数とREITインデックスの怖さの話

最近のJ-REITは完全にメンヘラ相場。過去最大の下げをやった後、過去最大と2番目の上げをやってる。前回のメンヘラ相場である2008年10月は、ニューシティレジデンスというイケメン風ホストに入れ込んでたJ-REITちゃんだけど、ホストが売掛もって飛んだが故にメンヘラ化しましたが、今回は勝手にメンヘラ化していったJ-REITちゃん。例えて言うなら、最初はSNSで「寂しい…」とか言ってただけの可愛いメンヘラっぷりの下落だったのに、ちょっと下落が込んできたから、精神病んでそうな自作の絵をSNSで晒したら、市場参加者が「うわぁ…引くわぁ…」ってなっちゃって結局J-REITちゃんは手首切っちゃいました、みたいな感じ。で、今は縫合手術が済んだぐらい。ここからJ-REITちゃんが元気を取り戻せるかはみんなの胆力にかかってる!

メンヘラの話も気が滅入るので、ちょっと違う視点の話を。皆さん東証REIT Core指数ってご存知ですか?詳しい説明はシンプレクスに譲るとして、掻い摘んで言うと、流動性と時価総額だけに着目して銘柄選別して、均等投資を行うという指数です。今は組入銘柄は27銘柄。Core指数連動のETFは3本上場しており、3本合計の純資産は大体500億円ぐらい。公募の投信は恐らくないと思いますが、私募だとあるかもしれませんね。まさに東証REIT指数に次ぐ存在感を有している指数です。え?野村の高利回り指数?知らない。

実は、このCore指数と東証REIT指数の月次のパフォーマンス格差が大きく広がっています。3月23日時点で1.54%の差が出てます。そしてCore指数がアンダーパフォーム(負けてる)しています。過去のトラックでは大体±0.5%ぐらいの差で収まっており、1%以上差が開いた月はありません。「そりゃTOPIXと日経平均でも格差あるし、そんなもんじゃないの?」と思われる方がいるかもしれませんが、少しここでCore指数について、ちょっと指数ができた経緯とか掘り下げてみようと思います。

元々、J-REIT市場で公表されてる指数というのは東証REIT指数のみでした。東証REIT指数だと上場REITの全銘柄を時価総額加重平均で組み入れるため、ポートフォリオに難がある銘柄とかガバナンスに問題がある銘柄とかが否応無く入ってきます。あなたが東証REIT指数連動のファンドやETFに投資するとき、岸和田のパチンコ屋にも僅かながら投資しているということです。ESG的にどう?

これじゃあラインナップが少ないよ!REIT指数っぽい動きをして、ゴミみたいな銘柄を足切りしたい!という投資家の(贅沢な)声に応えて某赤いところのグループが東証とタッグを組んで生み出したのがこの「Core指数」です。素直にアクティブとか個別の投資口に投資しようよ。インデックスなら色んな管理が楽だからって贅沢言って…

じゃあなぜ今この東証REIT指数とほぼ近似するコンセプトで作ったはずのCore指数のパフォーマンスが乖離しているのか。それはホテル銘柄のウェイトの大きさに要因があるのです。REIT全体の時価総額でのホテルREITのウェイトは約3.7%(浮動株比率は無視してます)。一方Core指数のホテルREIT(INV、JHR)の組入比率は、27銘柄の均等ウェイトとするとざっくり7.4%(こちらも浮動株比率は無視)。REIT指数っぽい動きを目指して作られたルールが皮肉にもボラティリティの高いホテルセクターの組入比率を高めてしまった。ひとえに時価総額で切ってしまった罪なんですよね。INVは最も新しくこの指数に組み入れられたのですが、ホテルは物流に次ぐぐらいパイプラインのあるセクターだったので、POして時価総額を増やすとそりゃそうなる。

でもこれがインデックス投資の怖さですよ。意図しない銘柄に投資しているのですから。逆回転の怖さもこの暴落で皆さん思い知ったのではないでしょうか。やっぱりアクティブもやる、パッシブもやる。それが健全なる投資じゃないかと思います。 範馬勇次郎さんだって「毒も喰らう、栄養も喰らう。両方をともに美味いと感じ、血肉に変える度量こそ食には肝要だ。」って言ってます。投資も同じですよ。

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