空白を埋める 2

階段を降りると、お父さんが水を飲みながらTVでニュース番組を観ている。
キッチンではお母さんが、朝ご飯を作りながら
沙耶香さやかに食器を出しとくようにと指示をしている。
中学生になり少し親の指図が鬱陶しくなったのだろう、妹である沙耶香はため息交じりにコチラを見ながら食器棚を開ける。
流石に居心地悪いので、沙耶香に適当な雑談を投げかけながら、2人で食卓に食器を並べて行く。
お父さんはすぐ食事に手を付けて、食べ終わるとシンクに食器を持っていく。「隣の家の旦那さんは自分の食器を洗ってから仕事に行くみたいだけど?」と、お母さんがわざとらしく小さい声でぶつぶつと呟く。聞こえていたのだろう、お父さんは一瞬眉をひそめながらも、自分の食器を洗う。「ちゃんと洗ったからね!」と言い残し、足早に会社へと向かった。

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