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14.病人さんの枕元で21日間元の理を読んでみたら

二十五歳の頃に通い先としてご縁をいただいたとある老親子の話。
七十代(当時)の母と、統合失調症を患う四十代の息子さん、お二人とも私にとっておさづけをお取り次ぎする対象者だ。

母親はとても個性的な人だった。ラムネばあさんとでも呼ぼうか(ビー玉入りのラムネが好きな方だった)。息子さんはトモさん。
このご家族にまつわる珍エピソードが本当の数多く、親子とも介護施設入居にともなうお別れの日が訪れるまで約十五年間、関係は他のおたすけの通い先にも比べても一番長く続いた方々だった。

ラムネばあさんは霊感系の人だった。オカルトなぐらいに。これはいずれ別の機会にまた話をする。なにせそれの類のエピソードは枚挙にいとまがないのだから。トモさんはいつもベッドで横になっていて、ぐったりしているか、時々起きては居間でテレビを見ているような静かな人だった。

ラムネばあさんいわく、トモさんの統合失調症の病状の原因は、
“病気ではなく、トモの別れた妻の恨みの怨念を一身に受けたが故”なのだそうだが、これに関しては私の方で確かめようがないので、

おぉ、そうですか。怨念…(; ・`д・´)ゴクリ…

とまぁ、彼女の語るストーリーを基本的には否定せず、出来得る限りおつき合いしていた。少なくとも医師から病名つきの診断を受けて久しいのは事実だったので、訪問する度にラムネばあさんとトモさん、両方のおさづけお取り次ぎは毎度の通例となっていった。

その家を出入りするようになって三年目の頃。
トモさんの病状がいつになく芳しくなく、以前にも増してベッドから起き上がれないでいる状態が続いていた。
息子の具合を案じるラムネばあさん。彼女はある時、

「なぁピーナッツさん、どうすればトモの身に降りかかる元嫁の邪悪な怨念は払えるのかね? お宅さんの神の力を貸してほしいんだが」

と口をひらき、私は相談をもちかけられた。
いやぁけっこう重いなそれ…不意のことで腕をくんで暫し黙考せざるを得ないピーナッツ。

怨念…怨念って、いや、どうすりゃいいの(;'∀')?

巷間の猛き先人布教者達の実録にもそういう系の前例はあまり見たことがない。戸惑いながら咄嗟に口をついたのは、

天理教には「元の理」というものがありまして…。

元の理の取り次ぎ開始

よく聞く話に、「元の理」を路傍講演でただそのままに諳んじるだとか、病人さんの枕元で取り次ぐだとか…とにかく「元の理」には理屈を超えた何かすごい力がはたらくという話しが頭の片隅にあった私は、

これから二十一日間、連続でおさづけに通います。その際に「元の理」という天理教のお救けでは鉄板なお話をトモさんにお取り次ぎさせていただきたいのです(`・ω・´)(…自信ないけどやっていいのかな💦)

そんな打診をすると「是非やってください」とラムネばあさん。続いてトモにも同様の話をし、実行してもいいかと語りかけると、小声で「…お願いします」とポツリ。

さあ、そうとなればピーナッツもそれ相応に覚悟を固めなければならない。二十一日間連続で通うのは、相当な思いで臨まなければなかなかにして難しいのだから。月次祭の日などは夜になってようやく伺うことが出来た。

おさづけ&元の理読み聞かせ通いの後に、何らかの進展を見なければやばいというプレッシャーがつきまとうのだから、こちらも万全の態勢で挑まなければならない。

通うたびにトモさんに「元の理」を読み聞かせ、おさづけを取り次ぎ、教会に戻ってからは十二下りのおつとめで一身に念じ…そうやって二十一日間を私はどうにかやり抜くことができた。

さあ、トモさんはどうなったか?


ズバリ…



なんと…


一切病状が改善しませんでした(*ノωノ)!!!



いやぁ気まずい気まずい…トモさんに「力不足ですみません」と謝るものの、そもそも何も期待していなかったのか、頑張って通い詰めたこちらの精一杯の誠意を汲んでくれたのか、

「これからもよろしくお願いします…」

と小声でそう言ってくださったのが救いだった。



とにかく、トモさんに関しては病状の改善を見られなかったものの、ほうほうの体で教会に帰ると、妻からこう告げられる。

お腹の中の赤ちゃんが元に戻ったよ!

見せてもらった不思議

時を同じくし、妻はお腹に子ども(後の次女)を宿していました。
もうちょっとしたら産まれるという時期に、その頃お腹の中で子どもはひっくり返り逆子になっていました。 
自然に戻るのを様子をみていたのですが、私がトモさんへの二十一日間の「元の理」&おさづけ通いを終えた最後の日に、妻のお腹の中で逆子だった赤ちゃんがクルンとひっくり返ったのを妻は感じていたのでした。

もちろん、それらの因果関係を結びつける裏付けみたいなものは何もありません。全ては悟りの世界です。ただ、二十一日間「元の理」を声にし、おさづけを取り次いだ結果、当人には変化はなかったものの、私自身の家族の難儀な事実がひとつ、突然解消しました。更に言えば、その子は四人兄弟の出産の中で群を抜いての安産で生まれてきた子でした。

これはどう解釈したものでしょうか。
私自身は“救ける理が救かる”式に、きっと救われたんだなぁと受け止めています。トモさん、ありがとう、いまではそんな気持ちです。(その後トモさんは調子の良い状態、悪い状態を繰り返しながら私との付き合いは十年以上続いていきます)


ほんの些細な話でした。
少なくともお相手は目に見える救いには至ってはいないわけだし。


次女は現在中学生。
私に似て漫画が大好きで、呪術廻戦に首ったけな彼女。
身長もグングンのびて大きく育っています。

ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
それではまた(^^)/

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