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鎌倉バトルロイヤル

一度は挫折したのに

鎌倉殿の13人を、一度は見るのが嫌になってやめたのに、またみている。(やめている間も何が起こっているのかをネットでチェックしていた)
ガッキー演じる八重さまが死ぬなんて、いや、ガッキーが辛い顔してるのも元から辛かったのに、なんちゅう大河や!と思っていた。だけどそれは自分が歴史と大河ドラマに疎いからで、歴史上の人物はバンバンいなくなり、大河ドラマは思っているよりシビアなんだろうなと薄々感じてはいた。それに耐えられないなら見なければいいと思ってやめたのになぜみているんだろう。

ラジオで東野幸治とTVプロデューサーの佐久間宣行が話しているのを聴いていたら、佐久間さんが、今いちばん目が離せないのは鎌倉殿だと言っていた。
これまではエンターテイメントの中にダークさを織り込んでいた三谷幸喜が、躊躇なくダークサイドを描いているというニュアンスで語られていたように記憶している。
佐久間さんがそう言うのなら、というのがひとつの理由で、もうひとつは、鎌倉殿の世界観が、自然界のドキュメンタリーのように感じられることだ。
いや、見栄を張り、自然界のドキュメンタリーなんて書いてしまったが、例として浮かぶのはカッコウの托卵だけだった。
鳥のカッコウが別の鳥の巣に卵を産みつけ、別の鳥の巣で生まれたカッコウのヒナが、別の鳥の真のヒナたちを巣から落とし、別の鳥の親鳥がそれに気づかずカッコウに餌を与え続けるというあれ。
自然界ヤバいよ怖いよー、親鳥ー!あんたよりそのヒナの方がデカくなってるのになぜ気づかないのー!
カッコウの托卵の衝撃映像から目をそらせないのと同じように、子孫繁栄、お家断絶絶対回避の欲望がむきだしの鎌倉殿の13人からも目が離せなくなっている。

お父上ー!

先日NHKで放送された歴史探偵という番組は、所長の佐藤二朗が大河で演じる比企能員にちなんでなのか、鎌倉殿の13人とのコラボ回だった。
そこで明らかになったのが、主人公北条義時の父、北条時政のおそろしい野望だ。
大河ドラマは史実に基づいたもので、史実そのものではないし、史実にもさまざまな解釈が存在する。
番組ではよりラディカルな解釈で、曾我兄弟の仇打ち事件における時政の野望が明かされていた。それによると時政は兄弟の仇打ちに乗じ、源頼朝だけでなく、自分の孫である頼家までも北条家のためになきものにしたかったというのはショックだった。
それどころか、北条ファースト時政はさらに一線をこえ、息子の義時とも骨肉の争いを繰り広げるのだという。

ドラマでは、演者の坂東彌十郎さんの、いつもご機嫌でお年玉をたくさんくれそうな親戚のおじさんみたいな風情に和んでいたから、ドラマ後半戦はそのギャップに白眼むいて倒れる準備をした方がいいと思う。
番組ではドラマでこの先暗殺される予定の佐藤二朗が、どんなふうに殺されるかは‥秘密ー!と、ゲストの山本耕史とキャッキャしながら話していた。
また、山本耕史演じる三浦義村が、13人の中には入っていないのにかかわらず、物語後半のキーパーソン的な動きをするようなことを匂わせていた。
骨肉の争い 裏切り そして善児、ドラマ前半で嫌になったすべてを期待している自分がいる。
人としてどうなのよ、と、人って実はこうなのでは?がせめぎあう鎌倉殿の世界を、あと5か月あまり楽しみたい。

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