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阿佐ヶ谷姉妹にまつわるエトセトラ

ファンを名乗っていいのかわからない

7月8日放送の「ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ」でゲストの山田裕貴が、前回までの好きなモノマネを三つあげており、その中のひとつが阿佐ヶ谷姉妹の〝何かにのみこまれる人”だった。
彼は自身のラジオでも、細かすぎてに出た話とともに、阿佐ヶ谷姉妹のモノマネのことを話していて、もしも自分が阿佐ヶ谷姉妹のご近所さんであれば、すぐに走って報告に行きたいと思った。

わたしが初めて姉妹を認識したのは、この〝細かすぎて”だったが、阿佐ヶ谷姉妹はわたしのエンタメライフのそこかしこに、いつのまにか登場している。
映画ボヘミアンラプソディを観た時に「ボヘミアン」を検索していたら「ボヘミアン(葛城ユキの)を歌う阿佐ヶ谷姉妹姉」の動画にたどり着いた。
平日休みの午後にヒルナンデスをつけると、姉妹がロケをしたり、女性誌の表紙の撮影をしていた。
ドラマ のほほんふたり暮らしで、ふたりの謎めいた生活の一端を垣間見た気持ちにはなったが、かえって謎が深まるような気持ちにもなった。
東京に別のアーティストのライブを観に行った時には、聖地阿佐ヶ谷も訪ねてみた。

阿佐ヶ谷姉妹ご用達の衣料店

マリヤさん、金物屋さん、神社など、ゆかりのスポットを巡った。
阿佐ヶ谷姉妹おおむね良好手帳を買い、日記を記し、姉妹がパートナー出演する大竹まことのゴールデンラジオ月曜日のオープニングトークをメモしている。
そしてついに、阿佐ヶ谷姉妹単独ライブ5「私の中の豆苗」の大阪公演を観ることができた。

はじめは、たまたまつけたテレビなどに姉妹が出ているのだったが、いつのまにか能動的に姉妹をみにいっている。そして芸人さんの単独ライブなど見たことがないのに、チケット取っている。
これはファンとしての行動なのかもしれないが、ファンと名乗っていいのかはわからない。
グッズの豆苗ハンケチ1000円は買ったが、アクスタ2800円は、欲しいけれど見送ってしまった。
そもそもファンになるってどういうことだろう。
姉妹を応援し、活力を得ることだろうか。
わからないのだが、単独ライブのチラシを透明のカバーにくるみ、壁に貼ったりしている。

輝く姉妹

大阪のライブは、あべのの近鉄アート館で6月24日と25日に催され、わたしはひとりで24日の夜の部をみた。
客層は複数連れの中年女性がやや多めのようであったが、男性ひとり客や男女を問わず若い層の客もおり、楽屋の姉妹に「ヤングが多めです」と伝令が走ったときく。
アート系の学校に通ってそうな男性ふたり客が、姉妹のアクスタと共に記念撮影をしているのが印象的であったし、また、前の席に座った中年男性のシャツの柄が、多数の小さなこけし柄だったことが脳裏にやきついている。

開演前に流れた案内のアナウンスは、姉妹の音声だった。
「タカラヅカみたい!」わたしは少し前に観た宝塚歌劇の開演前のアナウンスが、トップスター様のお声であったことを思い出していた。
開演前にそう思ったからか、阿佐ヶ谷姉妹とタカラヅカには共通する部分があるのではないか、と自分内で盛り上がってしまった。
宝塚歌劇がお芝居とレビューの2部構成であるように、姉妹のライブはコントと漫才の1部と、歌中心のショータイムの2部からなっていた。
衣装替えが多く、レビューの最後にトップスターが特大の羽をつけて登場するように、姉妹のドレスの最終形態は、腕を横に上げると扇のように羽が広がる仕組みになっていた。(↓ミホさんのブログに、その飛び魚みたいと言われたらしいドレスの写真があります)

1部では、少しシュールなコントや、”何かにのみこまれる人”を彷彿させる不穏な気配のあるコント、オバさんを全面に押し出しつつもキュートな漫才が繰り広げられた。
途中ハプニングがあり、出だしからやり直すシーンや、大阪に合わせ、名称を入れ替えたために、ネタがズレてしまった場面もあったが、どこまでがネタでどこからが本当に間違っているのかわからなくなったり、ライブならではだなあと胸がおどった。
2部では歌とともに、名物?だというミホさんの生着替えがあった。
試着室のような箱の中のシルエットが客席からみることができ、「ウエストを詰めてもらいましてね」などと呟きながら、ミホさんが淡々と着替えをする。
そうかと思えば客席からエリコさんが登場。アニメの”コブラ”主題歌を歌唱し、客席にサイコガンを放つシーンもあった。

ミホさん生着替えの後の「白い炎」といい、そういえばそんな曲あった!と思わせる選曲が絶妙で、ただナツメロを歌っているのではないのが良かったし、蔵出しセールのように、姉妹がかかわったCMソングやテーマソングをメドレーにして歌っていくのも良かった。
そして何より、舞台上の阿佐ヶ谷姉妹は、輝いていた。
少年隊の東山紀之さんはジャニーズJr.に対し「身体から光を出す!」と指導されたというエピソードを耳にしたことがあるのだが、阿佐ヶ谷姉妹の身体からも、光が出ていた(ように感じられた)。
エリコさんの動きはキレキレであったし、ミホさんの一挙手一投足のすべてが面白かった。テレビじゃわからない、生の現場の良さがてんこ盛りで、2時間超のあいだずっと楽しく、多幸感に包まれていた。
ふたりの関係がかけがえのないものであるのが伝わり、ショータイムの終盤ではエリコさんは涙ぐんでいたけれど、合間で「やっとババアが着替えに行ったわ」と毒づくミホさんのミホさんらしさもまた最高だった。

ライブを観終えてひと月半が経った。
あの2時間超は、まるで夢かまぼろしのようだ。
私の中に豆苗は宿っているのか、それもよくわからない。
テレビやラジオの中に、姉妹は変わらずいる。いや、阿佐ヶ谷駅をジャックしたり、さらに飛躍している。そんなニュースをきき、良かったじゃないの〜と心の中で呟いている。
誰かのファンであることは、一種の消費活動なのかもしれないが、阿佐ヶ谷姉妹に対しては、これからも熱心には消費しないようにしたい。
伸びた豆苗を収穫するように、ひっそりと、おふたりの活動を見守れたらいいなあと思っている。



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