見出し画像

石のある場所で思索を深める

鳥取県の琴浦町という町に「鳴り石の浜」と呼ばれる浜がある。数年前に鳥取に移住して、前から気になっていたのだが、非常事態宣言が解除されたこの週末、家族で出掛けてみた。

行ってみると、確かに石が鳴っている。波によって丸く削られた石達が、波に動かされてカラカラと鳴っているのだ。朝10時頃で、辺りには私達以外にもう一家族しかおらず、何とも地球離れしたような、SF的な雰囲気があった。

石達の挙動を聞きながら静かに浜辺を歩いていると、何か心が落ち着いてくるような気がする。考えてみれば人類は誕生して以来、石というものと深く関わってきた。石斧に始まり、宗教的な儀礼にも使われたり、時の為政者が偉業を残すための材料として使われたりしてきた。特に象徴的なのは、モアイ像やストーンヘンジ、ピラミッドなどだろう。

古来からのこうした営みが人の思考に何らかの影響を与えていないとも限らない。丸い石を無造作に積みながらそんなことを考えてしまう。転がっている石には経済的には何の価値もつけられないかもしれない。しかし、この空間にいるだけで、創造性や思考力といったものが沸いてくるような気がする。これは瀬戸内の豊島美術館に行った時や、バッハの無伴奏チェロ組曲を聴いている時の感覚に似ている。

石のある場所で静かにしているだけで、日々無数の情報に接して疲弊した頭が休まってくる。感覚想像力や思考力を一度リブートしてみたい方は是非お試しあれ。

石と人間との関わりについてもう少し知りたくなり、今度は「石と人間の歴史」を読んでみようと思う。


宜しければサポートをお願いします。頂いたサポートを元に、今後もお役に立てるような情報を発信していけたらと思います。