地方においてデパートは町の中心であり続けられるか

昨日まで冬休みだったので、日中、家族でふらふらと歩きながら鳥取市内の街中を散歩した。散歩しながらお昼の時間になってしまったので、せっかくだから大丸デパートまで歩こうということになった。お目当ては最上階に新しくできたピザ屋だ。最上階といっても5階までしかないのだけれど。。。

近年、デパートという業態そのものの経営環境が全国的にも非常に厳しい状況にあり、この鳥取大丸も例外ではない。山陰初の百貨店としてオープンし、当時は町のシンボル的な存在として多くの人で賑わったそうだが、その後、郊外型大型ショッピングモールの出店等によって客足が減り、経営不振が続いていた。

起死回生を計ろうと、様々な検討や取り組みが行われ、一昨年と昨年春の2回に分けてリニューアルが行われた。

今回行ったピザ屋も、そのリニューアルによって生まれた新店舗だった。

以前はレストランとして使われていた所を改修したらしいが、都会風に洗練され、味もサービスも申し分ない内容だった。

こうしたお店が町の中心部に出来てくれることは素直に嬉しいと思いつつ、こうまでしてデパートは残していかなければならないものなのだろうか、と改めて考えてしまった。

実は、今回のリニューアルでは、予算の関係などものあり、地下1階から5階+屋上部分までの内、根本的に見直しがされたのは主に5階部分だけとなっている。後は部分的なリニューアルに留まっており、これでイメージがドラスティックに変えられるのか、当初は不安視する声も多かった。

でも今のところ、お客さんは順調に入ってきているように見える。

正確な数字は把握していないが、定点的に大丸に足を運び、目視で確認する限り、平日も休日も、以前により多くのお客さんで賑わっているように見える。

特に5階にはフリーでイベントできるようなスペースや、大丸前のフリースペースを使って、様々な団体が定期的にマーケットを開催するなどしている効果もあって、コンテンツが陳腐化しないような工夫がされている。

勿論、催事場自体は、どの百貨店にもあるのだろうけど、市民参加型で出店もできるようなコンテンツづくりはあまりないのではないだろうか。

また、男女参画協同センターなども中に入っており、パブリックセクターも緩やかに参加している。

つまり、民の施設でありながらパブリックな要素を持たせている所に、新生大丸の特徴があるといえるだろう。

町の人達にとって、かつて栄えた象徴であるデパートがなくなってしまうことは、自分達の良かった頃の記憶が失われてしまうことでもあり、物理的というより、精神的なショックの方が大きいのだろう。

とはいえ、いつまでも昔のお店をそのまま存続させるべきかというと、それも不合理といえるだろう。

結局最後は、経営ベースでの話にもなってくるのだろうけれど、やはり消費者あってのお店。お客さんとの関係性を作っていく装置として何を実装していけばいいのか、鳥取大丸での工夫から学べることは多いように思った。



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