デンマーク型の社会は小さな自治体こそ参考にすべき

人口わずか580万人のデンマークの都市づくりや政策、市民社会の動きを見ていて、やはりこの国から学べるところは多そうだなと思う。

北欧の国の取り組みには、以前からエストニアやフィンランド等、注目をしていたのだが、デンマークのスマートシティ(中島健祐 著 学芸出版社)を読んで改めてこの国への関心が高まった。

鳥取県は全国で初めて「森の幼稚園」という、自然の中で子供の自主性、自律性を尊重した教育を行う取り組みを始めているが、このモデルとなっているのも、デンマークだ。

小国が生き残っていくためには、いくつかの要素が必要条件として考えられるが、本書を読んでの私なりの整理では、以下の点が特に重要と思われる。

1.教育レベルの向上をはじめとする次世代への積極的な投資。

2.労働生産性の向上

3.デジタル化等による効率的な都市サービスの構築

4.市民社会の高度化

5.1~4についての国民の中における理解、共有

いずれも日本が取り組んでいかなければならないテーマであり、私が住んでいる日本で一番人口が小さな鳥取県においても考えるべきことが多いテーマが並んでいる。

鳥取県は、先に書いた森の幼稚園のような取り組みがあるものの、次世代に向けた投資というものはまだ少ない。1次産業以外に目立った基幹産業がないことから、民間レベルで次世代に投資を行っていく余地もなかなか生まれにくい状況にあることも課題だ。

さらに製造業における労働生産性は全国でもワースト1という状況となっており、経営の効率化やデジタル化を進める余地がかなりありそうである。

また、国の財政が悪化する中で、地方交付税も年々削減される傾向にあり、行政の体力も中長期的には落ちていくことが懸念される。そうした意味で、効率的な都市設計を行っていく必要があるが、これも複数の関係者間における合意形成が難しく、なかなか進まないといった状況にある。

そして一番難しいのが、市民社会の高度化、それと市民全体における問題意識の共有ということだ。

デンマークでは小学校の時から選挙で誰のどういった政策に対して投票を行うべきかといった議論が行われるそうだ。親も子供から質問攻めに合うため、一生懸命政策の勉強をする。つまり家庭レベルでの民度が相当高いようなのだ。

一概に他国の取り組みを真似しても上手くいかないことは理解しつつ、これから人口規模では間違いなく縮小していく日本、そして地方が学ぶべき要素は多くあるだろう。



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