いざ、鎌倉の精神
皆さん、佐野源左衛門という方をご存知でしょうか?
鎌倉時代、病に倒れたのは当時の執権は北条時頼。
鎌倉時代の執権は北条氏が世襲しており、彼はその5代目。当時の執権は最高権力者…執権政治というくらいですからね。
それほどの彼が出家し、旅僧として、執権としての身分を隠して諸国を行脚したことを記した書物の中で源左衛門は出てきます。
雪の降る中、行脚中の時頼は源左衛門の家に立ち寄ることにします。
快く迎え入れた源左衛門。
暖をとっている中、薪が無くなりかけたその時。
源左衛門は秘蔵の梅、桜、松を躊躇なく薪にしたのでした。一族に領土を押収された窮状、ただ貧乏ながら鎧と馬は残しており、
と告げます。
時頼が去って春になり、鎌倉幕府から突然の召集。源左衛門は言葉通り、一目散に駆け付けました。
源左衛門が鎌倉に着き、呼ばれた源左衛門。
眼前にあの旅僧がまた現れます。
ここであのときの旅僧が、実は執権時頼ということを知ります。
言葉通り、一目散に駆けつけるその忠誠心に感銘を受けた時頼は、一族に押収された佐野庄三十余郷を取り返しただけでなく、あの時薪にした梅、桜、松にちなんで加賀国梅田庄、越中国桜井庄、上野国松井田庄とさらに小田原城も褒美として与えたとさ。
…というお話。
鎌倉時代の御恩と奉公を感じるお話。
能の演目にもなっているということは知りませんでしたが、鎌倉時代の歴史まんがでこの話は知っていました。
やっぱ歴史まんがは染みますね(?)
これがタイトルにもある「いざ、鎌倉」の元となった話とされています。
仕事に活きている
まえがきが長すぎました。
素敵な鉢木の話は今も形が変われど存在します。
駅の仕事は穴を空けてはならない。これが鉄則。
休暇を使うときは他の誰かに休日出勤をお願いし、急病なら勤務が明けたばかりの社員、またはその日が休日の社員に声をかけて召集します。
有給休暇中でも場合によっては召集がかかります。
まさに「いざ、鎌倉」がここで活きています。
源左衛門のように忠誠高く一目散というわけではありませんが、お互い様の精神の上で駆けつけ、駆けつけられるわけです。
なんて素晴らし…
くはないし、御恩がさしてあるわけではないので団結は強いかもしれませんね。
奉公ばかり
人間、誰しも頑丈ではありません。
いくら鉄人級の頑丈さがあっても体調を崩すことはあって完全体ではありません。
そんなときに無理に働けばこじらせて酷いことになってしまいますし、今は尚更休むべきです。
ただ内心を言わせてもらうと、
それにしても奉公が多い!
いざ、鎌倉でいうところの源左衛門のような人はすぐ受けてくれますが、そうでない人も当然現代にもいるわけです。
となるとどうなるか?
源左衛門に頼らざるを得なくなります。
まさに数年前の私は源左衛門でした。
秘蔵の木は持ってないし、鎧も馬もありませんが、私事が入っていてもそれを投げ捨てたこと多々。
トータルで9割と言っていいくらい引き受けていましたし、今もさして変わりません。
見返りを求めているわけではありませんし、まあ求めても出てこないし…
家にいるより稼げるから…というもので、一人暮らしの独身ならではのフットワークの軽さも存分にあります。
実家暮らしは親に宣言してから駆けつけていましたから、仕事面でも一人暮らしってやはり楽です。
御恩と御家人の現実
といっても現実、そこまで御恩はありません。
何回言うねん、って話ですが正直見返りは欲しい!
…ただ、源左衛門のように領地やら城やら貰っても困るわけです…これですよ、これ👌
鎌倉幕府が滅亡した原因は、元寇による恩賞不足とも言われています。
命懸けで戦ったのに恩賞が少ねえじゃねえか!
と御家人の不満を高めた結果に滅んでしまった、のだそう。
駆けつけたお礼にと休日出勤手当やら残業代をくれるのはありがたいですが、基本給が低い我らにとってそれは僅かなものにしかなりません。
…貰えないよりは遥かにマシですが、こういった現行の仕組みでは、人手が少なくなると社員を酷使させる結果に繋がるでしょう。
....というか「でしょう」ではなく現にそうですが。
自分も11連勤くらいは経験があります。月初に休日2日過ごしたら次の休日は月末....終わりが見えないので終わりを考えないように、視線は常に眼前。惰性で過ごしていたことを思い出します。
とはいえ、この拘束時間の長さやこの制度の穴というか、電車の始電から終電まで、終わっても有事のために駅で過ごさざるを得ない駅の性格上「穴を空けてはいけない」というのは仕方のないことではありますし、理解できます。
だからこそ、利益を還元していただきたい、丸1日勤務する苦労を買ってほしいと思います。
苦労の1つに睡眠時間の短さが挙げられます。
奉公過多では、それこそ命を削って働いている感覚が芽生えてきます。
といっても外出が自粛され、会社に通勤する行動も当たり前ではなくなってきつつあります。
鉄道業界のこれからをふと考えてしまう今日です。
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