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日記『文学的文章』(20220310)

・この本での筆者の「文学的」という言葉の解釈が面白かった.

じゃあ,本当に「文学的」って何なんだろう?
真剣に考えてみると,私は「細部まで細かく描写すること」だと思っている.
(中略)
たとえば,
ある日の夕方,私は彼女に電話をした.
という一文.
これを,
二月二十一日.とくべつ夕焼けがきれいというわけでもなく,なんだか曇りが広がっている夕方.私は彼女に電話をした.
……なんだかちょっと文学的になっていないだろうか?
あるいは,こんな風にもっと細かく書くと.
二月二十一日.夕方.私は買ったばかりのiPhoneXを,通勤用の鞄から取り出した.彼女に電話するためだ.普段はLINEばかりしているから,電話なんてする機会ないんだけど,この時ばかりは,特別だったのだ.
なんだか,もうちょっと文学度(なんじゃそりゃ)が上がっていると思いませんか.

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・確かに.今ちょうど谷崎潤一郎の「細雪」を読んでたけど,調子としてはそういった感じだなあと思った.細雪は明治の関西の上流階級のところの四姉妹の日常であったり恋愛の話なんだけど,私が関西にずっと住んでいることもあって,この細やかな描写を親しく感じるし,そうでない関東などの人に取っても細やかな描写のために(おそらく)頭にスイっと舞台が入ってきそう.「細部まで細やかに描写する」ことが文学的な文章である必要条件というより,文学作品は視覚や聴覚といった情報をすべて文章に委ねて読者に届けなければいけない都合の上でこのような文章が多い,あるいは良いとされているのだろう.でもこれでなんだかカッコいい文章が書けるならありがたいテクニックだ.ちょっと試してみよう.

・今日は3回生の後期の最後の講義である.各学生が発表をして学生や教授がその発表に対して質問をしそれに応答するというセミナーの形式を取ったものである.これが各学生に二回ずつ発表の機会が与えられて,それが二月の頭に始まり今日で終わる.ある人は十分な準備で臨み,ある人はそれなりに,ある人は数時間前から取り掛かったのだろうといった調子のものである.発表にどれほど費やしたのか,その発表に対してどれほど興味があるのかというものは学生の目から見ても結構分かるので教授はというとさもありなんである.私の友達の「数時間前から取り掛かったのだろうといった調子」の発表を手伝ったことがあるが,現場は過酷である.発表する課題は事前に希望を出すのでその課題は他ならぬ彼が選んだものではあるのだが,まずその友人は課題内容を正しく把握していないし,その課題はどれほどの時間と労力と理解力を問うてるのかも理解していない.これを残り時間が20時間を切っている状態である.色々ごまかしごまかしをして次の日の発表までなんとかスライドの部分は完成(?)したのだが,まあ当然質疑応答で教授に詰められていた.ご愁傷さま,まあ今回の課題は少なくとも一週間はかかるよ.と慰めたのがちょうど一ヶ月前の話.今日も彼の発表であった.前回の課題は「~についてあなたの意見を述べてください」というもので,今回の課題は「~について調べてください」というものだった.前回の課題はまあ一朝一夕で作ったものだと良い出来になりそうだとはとても言えないけど,今回の課題はまあ頑張れば徹夜でもそれなりのクオリティになりそうな課題であった.しかし今回も詰められていたらしい.「らしい」と伝聞なのは,私はその子の発表が恐ろしすぎて見れてないのだ(今更だがこのご時世なのでオンラインである).共感性羞恥というか,そのせいでこのセミナーで文字通り目も当てられない人はそれなりにいたし,彼らが二回目で改善することはなかった.

・前の文章は最初の「文学的」を意識した.なるほどこうなるのか.
・「筆が乗っている文章」という表現があるが,これは自分が書きたいと思っている描写について細かい部分まで想像できているかどうかについての言葉に思う.その意味でエッセイや日記はここについてをまさに実体験しているわけなので,少し詳細に書く努力をすれば即ち文学的な文章になりそうである.一方でフィクションで文学的な文章を書くことを試みたことはないが,十分な訓練が無いと難しそうである.
・そう考えると設定資料集が面白い作品は名作ではないだろうか.そんな作品があれば教えて下さい.

・卒業研究の配属先が決まった.なんとか一安心だが,また別の友達が必修を一つ取りそこねていて面談することになっていた.面談で進級の可能性が残されているのならまだ優しいのかもしれないが,おそらく希望の研究室には行けない(少なくとも人気の研究室は埋まっている)だろうと考えると少々厳しいものがある.
・私は神経科学について勉強することになりそう.ニューロネットワークと言ったほうが正しいかも.脳だけでなく人工的なニューロネットワーク,つまり人工知能や深層学習なども研究しているから.かなり楽しみではあるけど実は興味があるだけで知識はそんなにないので不安ではある.
・今日は私が通っている大学の学部の合格発表の日である.フレッシュな新入生のパワーに影響されて私も研究という新たな生活の一部を楽しみに感じている.そしてもう3年経ったのかという気分にもなっている……
・先週くらいに自分の大学のとあるサークルについてテレビで取り上げられていたが,そこに出てくる学生の年齢がみんな私よりも下の年齢だったのが少々ショックであった.一年浪人して次は四回生なので,言ってしまえば院生の年齢である.自分よりも下の年齢の人が何かを為している姿はカッコいいけど,ちょっとだけダメージを受ける.

・「ジェネリックさわやか」ことビッグボーイの大俵ハンバーグを食べた.サラダバーがとても優秀なのでみんな行こう!

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