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Help!

秋田巡吟醸2023
本当に多くの方々に助けられ、
なんとか購入予約期間を終えることができた。

終了間際、恥も外聞もなく呟いた僕のポストは、影響力のある友人たちの拡散のおかげで、25万インプレッションを超えて、以降、たった4日間だけで523セット、2,392本も購入いただき、消化率も約94%を超え、残り本数は数百本というところまで到達することができた。

しかも、これは一旦の速報なので、最後、アクセスが集中して繋がらなくなり、購入できなかった方への個別連絡などを経たいま、正式にカウントしていくと限りなく完売に近づいていきそうで、SNSをとおした人々の優しさを感じさせてもらった。

購入、応援いただいたみなさん、
あらためて本当にありがとうございました。


本企画の主体となっている株式会社 秋田県酒類卸さんは、秋田のお酒を数々販売されてきたプロではあるものの、SNSには不慣れで、ネットを介したPRはほぼ未経験。そもそもこういった大きな企画を自分たちが主体になって進めること自体が初めてだった。

しかし、そんな状態でもなお、昨年、このお酒の企画プロデュースの依頼を引き受けた理由は大きく3つある。

1つめは、僕自身、秋田のお酒に愛があるから。
2つめは、尊敬する新政の佐藤祐輔さんが僕をプロデューサーに推薦してくれたと聞いたから。

そして最後、3つめは本企画の主体である、秋田県酒類卸のおじさんたちが、とにかく人の良いおじさんたちだったから

ぶっちゃけ、ここが一番の魅力。

秋田の酒なら任せて!という知識と経験値を持ちながら、まったく偉ぶることなく、とにかくまっさらな状態から勉強させてもらいたいという気持ちをぶつけてくれたことに、僕は逆に安心感を持ったし、この人たちとなら、信頼を構築していけると確信した。

その後実際に、一緒になってツイッターのアカウントをつくったり、投稿の仕方を教えたり。「おじいちゃんじゃないんだから😅」と思いながらも、手取り足取り進めてきたのが、秋田巡吟醸だった。

本当は、酒類卸のおじさんたちがもっとしっかりプロジェクトマネージメントしてくれなきゃいけないのだけれど、進行管理も見事にグダグダで二転三転の連続。その度にクリエイティブをやりなおし、正直、無駄な工数ばかりが増えていくなか、それでもなんとか踏ん張ったのは、やっぱり、みんな人のいいおじさんたちだったからだ。初めての経験で何事もなく進むことほど危ういことはない。妙にうまくいってしまったゆえに、そこに大きなミスの種が隠れてしまうことは往々にしてある。それが歳を重ねるほどに大きな問題へと発展してしまうのは、おじさんになればなるほど、何かがおこったときにプライドが邪魔をして、素直に謝ったり、引き返したりできなくなるからだ。だけど、酒類卸のおじさんたちは違った。とにかく素直なのだ。素敵すぎた。

プロデュースを頼まれたはずなのに、僕の知らないところで、いろんなことが決まっていくし、わる気なく僕以外の人に相談にいっちゃうし、いったい僕の立場はなんなんだ? と悶々とする気持ちと苛立ちに蓋をして(30代だったらブチギレてやめてたかもしれない)、それでもやりきりたいと思えたのは、酒類卸のみなさんの人柄に尽きる。最後の最後は、なんとかせねばと、僕自身率先して現状を吐露し、弱みを開示。友人知人たちのチカラを借りまくってしまった。でもそれでよかったと思うし、そんな行動に出たのは、言わずもがな酒類卸のおじさんたちの誠実さを受けてこそだ。

世の中が大きく変化していくなかで、これまでうまく行っていたからと、今年もそのままうまくいくなんてことはありえない。僕は常にそう思っている。だからこそ、僕なりに危機感をもって臨んでいたつもりなのだけど、微妙な立ち位置から、口出し出来るようで出来ず、歯がゆい思いをしていた。だからもし次年度もやるようなことがあるならば、100%任せてとは言わずとも、もう少し明確に僕に権限がほしいなとは思う。

そもそも、秋田巡吟醸という企画は、法律上の問題や、組織的な事情で秋田県内の小売店さんに販売できないという状況があり、一部の小売店さんからは「なんで卸さないんだ」というお叱りもあったと聞く。

それこそ小売店さんたちも懸命な努力で秋田のお酒の美味しさを伝えようと営業されているので、その気持ちも痛いほどわかる。そういう良い小売店さんほど、県外のお客さんとのやりとりが多いのも確かだ。だから「そんな魅力的な商品を自分たちに任せてくれたら、しっかり売るからぜひ卸して」という意見は、もっともだと思う。正直、秋田県酒類卸のおじさんたちも、それが出来るなら、なんと楽だろうとも思ったはずだ。だけど酒類卸のおじさんたちは、それでも、新しい秋田酒ファンを県外に増やさねばと考えた。そうしないことには、秋田の酒の未来をつくっていけないと思った。

秋田の酒のうまさを知る若者たちを増やしていくこと。それが秋田のお酒だけでなくても、結果、日本酒を楽しんでくれる人たちを増やすことにつながれば本望。正直、面倒でリスキーで、うまくいったとて、利益も少ないこの企画をやると判断したのは、そういった利他的な思いにこの企画の大きな意義があると、おじさんたちが考えたからだ。めちゃくちゃ素敵じゃないか。

だからこそ僕は、それをお手伝いしたいと思ったのだ。

売り上げ的なことだけを言えば、当然ながら28本セットが売れるのが一番よい。だからとにかく28本セットを買ってくれる飲食店さんへのPRをするべき、というのが基本的なスタンスだったけれど、僕は一人、それに反発するかのごとく、3本セットのような、お酒初心者の入口になるセットをこそ買ってもらうべきだと主張した。それどころか、さらに効率のわるい2本セットまで用意してもらった。だって、日本酒を飲んだこともない人が、いきなり四合瓶を6本、12本と買うなんてことは、ほぼありえない。

12本、28本と本数の多いセットを買ってくださるのは、とてもありがたいし、きっとそういう本数を買ってくださる方々は、自分が楽しむというよりも、まわりに秋田のお酒の良さを伝えてくれようとしているに違いないから、やっぱりもってありがたく、とても大事なお客さんなのだけれど、だからこそ僕は、2本、3本セットが多く売れてくれるといいなあという気持ちだった。実際、販売本数の数量比率としては、2本、3本セットは限りなく少なくて、本数で言えば全体の20%にしかならなかった。けれど、販売セット数で言えば、この2本、3本セットが全体の50%を超えている。そのうちの多くの方が、秋田酒の初心者であり、日本酒初心者であったなら本当に嬉しいなあと思う。

このあと最終の数字が出て、収支もしっかり見えてくれば、おそらくなんとか赤字にはならずに、未来への一手が打てたことになるのではと思う。秋田県酒類卸のおじさんたちが、未来へと舵を切ったこの企画が、なんとか赤字にならずに済むことの意味はとても大きい。だからこそ応援いただいたみなさんの意味はとても大きく、いくら感謝してもしきれない。

お酒に限らず、消費に対して無限の選択肢で溢れる世の中で、何を選び、何を消費するかは、ある種の意思表明であることは間違いない。買い物=投票であるのは、なにもZ世代だけの特徴ではない。

この4日間に限らず、秋田巡吟醸を買ってくださった2000人以上の方々が、秋田のお酒や日本酒そのもの、ひいては田んぼの未来に、1票いれてくださったことを僕は大切にしていきたい。

そして今回僕は、秋田巡吟醸に携わらせてもらったことで、特に、酒類卸のおじさんたちから、ずいぶん大事なことを教えてもらった。それは、

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