答えは自分の捨て牌の中にしかない
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答えは自分の捨て牌の中にしかない

この言葉に出会ったときに、僕はとんでもなく衝撃を受けた。
ちなみにこれは、闇麻雀無敗を誇る『雀鬼』こと桜井章一さんの言葉だ。

この言葉に出会って、人生を大きく変化させたその当時の話は、
以下、ジモコロ柿次郎との対談でも詳しく書いているのでぜひ。

僕がこの言葉に出会ったのは、『Re:S(りす)』という雑誌をがむしゃらになって3年間続け、さまざまな状況の変化を受けながら、今後どう進んでいくべきか迷っていた頃だった。

そもそも僕は特別、麻雀が好きなわけじゃない。せいぜい学生の頃に友達と楽しんでいたくらいだ。だけど『アカギ』をはじめとした麻雀漫画は好きでよく読んでいたから、きっとそんな流れで雀鬼こと桜井章一さんを知ったんだと思う。

麻雀をされる人はわかると思うけれど、麻雀の勝ち負けは運気や流れというものに大きく左右される。しかし無敗伝説を持つ桜井さんのような人は、もはやそういった運気の波以前に、他人の捨て牌から的確にその打ち筋を読むチカラがあるのだろうと想像した。だからこそ、他人の捨て牌のどういった部分に勝ち目を見つけていくのか? その過程を知りたくて、桜井さんの本やインタビューを読み漁った。なのに、桜井さんはあるときこう断言しておられた。

「俺は他人の捨て牌なんか見たことない。答えは自分の捨て牌の中にしかない」

衝撃だった。

人の捨て牌、見ないの……? マジ? どういうこと?! 

つーか、カッケーーーーーー!!!!!!

僕は雀鬼の大ファンになった。


そうやって当時、僕自身を振り返ってみた時、自らもいろんなものを捨ててきていたことに気づいた。

上述のジモコロインタビューから自分の言葉をちょっと拝借

でもね、よくよく考えたら僕自身、最初はフリーペーパーを作ってたけど世の中のフリーペーパーブームを見て嫌になって、次に売る本を作って、本屋さんへの流通の壁にぶつかって、それも辞めて、今度は雑貨みたいな本作ってみて本屋以外に流通したけど、これじゃアカンってなって、次にRe:S作って…って。そうか、「僕もずっと捨ててきてる!」確かに自分の捨て牌の延長にしか未来はないんだって気づいて。それで『Re:S』も捨てなあかんって思ったわけ

僕はそれで雑誌『Re:S』をやめ、会社名を『Re:S』にした。そのことから『ニッポンの嵐』という書籍を編集することになり、それがまた転機となって、今度は秋田県で『のんびり』というフリーマガジンの編集長をすることになり、誌面では終われない編集を試みようと、のんびり合同会社という会社を立ち上げた。以降、地域編集というテーマで、書籍や雑誌以外の編集活動に取り組んでいる。

そして僕はこの夏、

秋田で立ち上げた「のんびり合同会社」を退社した。つまりまた一つ、僕の未来をつくる捨て牌が増えた!

✳︎

そもそも秋田県庁のオフィシャルな発行物だった「のんびり」の編集部に、外部からお仕事の依頼が来たとき、スムーズにそれを引き受けられる受け皿となるよう、雑誌名と同じ名の会社を立ち上げようと設立したのが「のんびり合同会社」だった。

それゆえ、そもそもの自分の会社(有限会社りす)と協働はしつつ、実は個人的には約8年の在籍中、一度もお給料を貰わなかったから、何かが大きくかわるわけではない。それでもまあ、ちょっと肩の荷がおりた感じはしている。

ちなみに僕は、にかほ市にアパートまで借りちゃったり、あいかわらず秋田でコチョコチョと未来のタネを撒き続けているので、引き続き秋田でも活動はしていく。

廃校になった小学校を編集するべく奮闘している『にかほのほかに(旧上郷小学校)』の工事期間もさらにもう一年あるので、まだわかりやすい動きはお見せしづらいけれど、いよいよその先で僕自身もあたらしい事業をはじめたいと、次年度から具体的な準備を進めるつもりだ。

だから冒頭から書いているように、ぶっちゃけ僕がのんびりをやめた理由は「次にいきたい!」からだ。とにかくそれもこれも、やはりこれから向かうアクションはサーキューラーエコノミーが大前提だという強い思いから来ている。

先日、朝日新聞秋田版の連載にも書いたのだけれど、秀麗無比なる鳥海山で感じる大気汚染。日本海に沈む夕陽に照らされるプラスチックごみ。『山水皆これ、詩の国秋田』と県民歌でうたわれるその山水をみんなで守らねばと僕はいま強く思っている。よそものだ、土地のものだとか言ってられない。

秋田の豊かさを支えているのは、製造業やモノカルチャーとしての単一栽培農業や消費サービスじゃなく、それらすべての基盤となっている、森林、大地、水、海洋だという事実をもっと切実に共有したい。

そのために編集のチカラを使いたい。

かといって具体的なアクションが決まっているのは、にかほにサウナつくることくらいなんだけど(ほぼ趣味だと思われそうだけど、これも、にかほの水循環を体感してもらうためのアクション)。

多くの人はご存知ないと思うが、
秋田県は再生可能エネルギー自給率47都道府県中1位。
食料自給率は北海道に次いで2位。と、
まさに日本の未来を支えるトップランナーだ。

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2006年に創刊した雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士が、いまあらためてお届けする、あたらしい“ふつう”のnote「Re:S」。 日…

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藤本智士(Re:S)

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編集者。1974年生まれ。『Re:S』『のんびり』『なんも大学』編集長。著書に『風と土の秋田』『魔法をかける編集』『アルバムのチカラ』。その他『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)など手掛けた書籍多数。 http://bit.ly/satoshifujimoto