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鯖江めがねツアー!

兵庫県から秋田県までたくさんの書籍やら資材やらを積んでの軽トラ旅。せっかくなのでその道中をうまく活かしながら進もうと、初日に伺ったのは福井県の鯖江市。アテンドしてもらったのは #RENEW という工房見学やワークショップ盛りだくさんな体験型イベントを手がけるTSUGIの新山直広くん。実は「初めまして」なんだけど、新山くんにずっとお会いしたいと思っていた僕は、思い切ってメッセンジャーで声かけしてみた。
そもそも、ローカルでチャレンジしている人たちの気持ちもわかるし、編集者という立場なのにもかかわらず、RENEWに行けてなかったことがなんだか申し訳なくて二の足を踏んでしまっていたのだけど、気持ちの変化もあって思いきって声かけしてみようと思ったのだ。

そもそも新山くんはフェイスブック上で共通の友人だらけで、最初は誰につないでもらうといいかなあ?なんて考えていたのだけれど、あまりの知り合いの多さに、誰にお願いするかを考えること自体面倒になって自分で直接メッセージすればいいやと開き直り、突然メッセージした。するとなんと雑誌Re:Sの頃からご縁があったことが判明して意気投合。ゆえに鯖江ついたら、初対面なのにこの調子だった。

そんな新山くんにアテンドしてもらって、はじめての鯖江メガネツアー。これが本当に楽しくて学びが多くて、心底来てよかった! というかあらためてRENEW来れてなかった自分を反省。なので今年の3月の開催時はなんとかして行きたい所存。

さてさて、福井県鯖江市は、日本製眼鏡フレームの約96%を生産。ということで、あらゆるところにメガネ、メガネ、メガネ!

メガネフレーム型のベンチわかります?

まず最初に案内してくれたメガネミュージアムでは、農閑期の仕事としてメガネ作りを広めた増永五左エ門が、帳場制という分業請負システムをもって産業化を成功させた話に、いきなり心掴まれる。「一貫したものづくり」って、聞こえはいいけど、俯瞰で見たときにどこかの一人勝ち感があって、良しあしあるよなぁと思っていたので改めてそれぞれの工程がプロフェッショナルな分業システムの素晴らしさを感じた。

ちなみにメガネ作りはプラ系(アセテート樹脂)で100〜200、チタン系で200〜300の工程があるようで、それらがいまでも細かく分業化されているからこそ、鯖江市内の労働人口の約6人に1人が眼鏡産業に従事しているそう。こりゃあ紛れもなくメガネの町だ。

しかもメガネって、百貨店では貴金属や宝飾系のフロアに展開されるように、そこそこ高価な取引も多く、粗利が高い商売ゆえ、小売がかなり儲かる仕組みにもなっていて、そういう商材って他にもあるんだろうかと色々考えたりした。例えばこのメガネミュージアムも入館料を取っていないのだけど、メガネ屋さんがミュージアムショップのごとく館内にあり、その購入率と、平均購入額の高さを聞いてめちゃくちゃ驚いた! それら全部委託なようで、これかなり儲かってらっしゃるはず。

そこでめちゃくちゃステキなメガネに出会ってしまったんだけど、今回アテンドしてくれている新山くんが運営している福井のものづくりスーべニールショップ『SAVA!STORE』でも取扱いがあるということで、今回はこちらのお店には申し訳ないけれど、彼のお店『SAVA!STORE』で買うことに決めた。

ちなみにそのメガネは、現在では作れる職人さんが1人しかいないというケーブルテンプル、巻きつるといわれるメガネ。なんと耳にかける部分がバネになっていて、人生初のかけ心地に驚き! しかも見てこの可愛さ! つるをパタリと閉じた時にペチャンコになって収納できる感じも最高で、こりゃあリーディンググラスにするのに最高だわと即購入を決めた。

実は今回 #サーキュラーエコノミー実践 の安居昭博くんと、学芸出版編集者の中井ちゃんとも鯖江合流して一緒にまわらせてもらっていたのだけど、丹南エリアと言われる、鯖江市、越前市、越前町の半径10km圏内に、眼鏡・繊維・越前漆器・越前和紙・越前箪笥・越前打刃物という7つの地場産業が詰まっている事実にみんなで吃驚。安居くん的にサーキュラーエコノミーメガネ(©︎柿次郎)で、福井のものづくりを見た時のその可能性の大きさが半端なかったようで、夜の飲み会では7つの産業それぞれで合計7回トークやりたい!と自ら新山くんに企画提案してた。それめちゃいいから、マジでやろうね新山くん。

世界初のエシカルスマホ「Fairphone(フェアフォン)」を見せながらサーキュラーエコノミーについて説明する安居くん

あと、今回のメンバーが、僕とはっちと、安居くん&学芸出版の中井ちゃんという本に携わる4人だったこともあり、新山くんが「是非とも!」と連れて行ってくれたのが「紙の神様」が祀られる「岡太(おかもと)神社」。でね、この神社がスペシャル素晴らしかったのよ!

季節的に雪囲いがされていてその全貌が見れなかったものの、拝殿と本殿が一体化していて、その屋根を正面から見ると、まるでChoo Choo TRAIN!

重厚かつ美しい折り重なりを見せるその社殿が言葉をなくすほどに圧倒的!僕基本、神社大好き人間なので、これまでさまざまな神社を訪れたけど、この建築がナンバーワン好きかも!と思う。ちなみにこれまでは島根の神魂(かもす)神社だった。日本一複雑な屋根とも言われる国の重要文化財で、みんなこれは本当にぜひ見に行ったほうがいい。冬ゆえに行けなかったけれど、さらに登ったところに奥の院があるそうなので次回は必ず訪れたい。

そしてこの神社の近くに越前和紙で有名な集落があって、紙漉きの同業の皆さんが集積している。その街並みの有り様に大分県日田市の小鹿田焼の里を思い出した。

短い時間ながら、ここに書ききれないほどに様々を案内してくれて、しかもその一つ一つをとても丁寧に説明してくれる新山くん。そのホスピタリティの高さに、街のガイド役としての年季というか年輪のようなものを感じて、彼にお声かけしてほんと良かったなと思う。こういう人が徐々に風の人から土の人への変化していくそのグラデーションこそが、その年輪なのだなとつくづく思う。

夜は鯖江駅の近くにある「酔ってけ家」で、しっぽりと。

産地に必要なデザインのチカラと、編集という概念について、たくさん語り合えてとてもいい夜だった。そしてふと気づけば持ってた手拭いが偶然メガネ柄だったことに驚く。良い時間を過ごしているときは、神様ってそういうサプライズをくれるよね。いつか、秋田にも来てもらおう。僕も頑張んなきゃなあ。

おしまい。

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