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意見を封じ込める罪深い言葉

「やったことないのに言うな」
「代案も出さずに批判だけするな」

この百均のスリッパみたいな、一見ちゃんとしてる風な言葉をずいぶんたくさん見かけるようになった。

そんなこと言い出したら、
全員首相にならなきゃ政策に異を唱えられないし
ビジネススキームの代替案を出さないとファストファッションを批判出来なくなる。

「またそんな極論を言う」と、もしまた、返す刀で百均のスリッパを振りかざすなら、そもそもどちらが極論を言い出したのかよく考えてみて、と言いたい。けれど、彼らは百均じゃない、ニトリだ!とか言って、その手を下ろしてはくれないのかな。ああ、悲しき平行線。


だけど、彼らが放ったその言葉の罪はとても深い。

「やったことないのに言うな」
「代案も出さずに批判だけするな」

これらの言葉は、思いや意見を封じる言葉だからだ。

だから僕はこういう言葉を放ってしまう人を、シンプルにダサい人と定義している。センスがない人。センスっていうのは機微を感じとるチカラ。ちょっとした気づき。微かな違和感を、心のなかのノートにメモしながら生きているのに、その小さなメモ帖に突然太いマジックインキで書き込んでこられるようなもので、それはもはや想像力の欠片もなさすぎてマジ迷惑。こちとら0.5mmのジェットストリームでちまちまと思いを整理してるんだ。なのに、油性のマジックって、大喜利のフリップかよ。

あ、でもそういうことか。大喜利の答えだと思って笑えばいいのか……。そうか、ははは! って、いやいやいや、それでIPPON!となるわけない。てか面白くない。それでもみんな謎の自信と共に、フリップ出してるんだよね。まいったなあ。正義の反対はもう一つの正義。自戒をこめて。

✳︎

話が変わるようだけど、ツイッターでみかける「普段は、政治のことは呟かないようにしているんですが…」という前置きが好きじゃない。SNSで政治のことと好きなスポーツチームのこと呟くとフォロワーが減るみたいに言われるけど、そういうのが大切なタレントさんじゃあるまいし、そんな前置きなく、みんな、もっと自然に意見を言えばいいのになと思う。

一昨日のこと。僕が唯一愛読している雑誌「通販生活」の最新号が届いた。その表紙に大きく「私はあなたの意見には反対だけど、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という哲学者ヴォルテールの言葉が引用されていた。

なんとよい言葉なんだろう。

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意見を封じ込める罪深い言葉

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編集者。1974年兵庫県在住。『Re:S』『のんびり』編集長。著書に『風と土の秋田』リトルモア、『魔法をかける編集』インプレス。『アルバムのチカラ』(共著:浅田政志)赤々舎。その他、『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)など、手掛けた書籍多数。

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