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萌芽の年

たなつものみのりもよくて豊としの ためしなりとていはふ諸人

これは僕が元旦に近くの神社で引いたおみくじに書かれていた言葉。

僕は常々、おみくじというのは、なんとなく引く前に結果がわかっているような気がしている。それこそ僕は35歳くらいから40過ぎまで大吉以外引いたことがなかった。

いつも引く前に今年も大吉だろうなあと思いながら引いてみたら、やっぱりそうだ、という経験を繰り返していた。『芸能人格付けチェック』のGACKTみたいな「およそわかっているけれど、それでもやっぱり嬉しい」というアレだ。

だから僕は毎年答え合わせをするようにおみくじを引いている。

しかし43歳くらいだったろうか、ふと、「ここからしばらくは大吉は引けない気がする」と感じて以来、数年間大吉を引いたことがない。そこから50になるまでは、我慢というのか、辛抱というのか、しっかり種を蒔き続ける年月のような気持ちがずっと胸の奥の方にある。おそらく僕の大吉タイムが再来するのは50を過ぎてからだ。

そんな僕も現在48歳。今年の3月で49歳になる僕は、いよいよ種蒔きから萌芽の時代になりつつある予感を感じていた。

だから今年のおみくじの結果に僕はなんだかとても合点がいったのだ。

あらためて冒頭の言葉の意味だが、「たなつもの」とは古語で「種」のこと。つまり「種の実りもよく豊かな年になります」という意味。豊かな年になるかはわからないけれど、予感のとおり種が実りつつあるということなのだと思う。

ちなみに去年のおみくじが財布に残っていて思い出したけれど、昨年は昨年で、うっすらと感じていた予感のままに、よくないことが色々と書かれていて、そういうおみくじは普段、境内に結んで帰るんだけど、いつも以上に我慢の年と感じた僕は、つらいことがあってもその運命をうけいれられるようにと、なぜかずっと財布に入れていた。実際、去年はとても心労のおおい一年だった。

さて、さらに続くおみくじの言葉、「ためしなりとていはふ諸人(もろびと)」とは、あなたを手本として多くの人々が祝福してくれるでしょう。という意味のようだ。

実は今年のおみくじで、もっとも高揚し、気持ちがフィットしたのがこの部分だった。

何度も言うようだが、僕は今年、これまでの人生をかけてずっと種蒔きしてきた自分の活動の、その源泉にある思いを抽出して表現し、いよいよそれを世の中にリリースするタイミングだと感じて、昨年の後半から少しずつ準備をすすめている。

Re:S=Re:Standard
あたらしい“ふつう”を提案する。

これが僕の旗印だけれど、まさに僕は今年、新しいふつうを世の中に提案したいと考えている。それを世の中の人が受けいれ、手本にして祝福してくれればそんなに嬉しいことはない。そう願っているだけに、僕にとってはこれ以上なく背中を押してくれる言葉だった。

それが具体的にどんなことなのかは、また追って明らかにしてくけれど、とにかく、小さきものの声を届けるという編集者の使命を起点に、利他的な気持ちを経済に繋げていくための仕組みや文化をつくりたいと考えている。

元旦に妻の実家で読んだ神戸新聞での新春対談で、ブレイディみかこさんが藤原辰史さんの『縁食論』における「安心とはトップダウンではなく、ボトムアップでこそ、持続的でありうる」という部分に触れ、英国でのコロナ禍でのアクションについて言及されていた。

僕が考えるRe:Standardは、待望論でも、愚痴や文句でもなく、自身でアクションしていくことで変化する、まさにボトムアップ型の提案だ。そこに、おみくじの言葉と同じような勇気をもらった気がした。

僕はその提案のための原稿をいまは日々書いている。

Re:S Noteメンバーシップのみなさんには、いち早くその内容を伝えられたらと思う。今年もどうぞよろしくお願いします。

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