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十選もあったら選べない人たちへ。京都甘味処三選。

 そうだ 京都、行こう。

 JRのキャンペーンよろしく、降り立った京都駅。久しぶりに午前中から夕方までがっつり京都のまちを観光した。ふだん兵庫県に住む僕にとって京都はとても近いまちだけれど、それでも毎度観光気分になるのは、歓迎と拒絶が絶妙にあいまった独特の空気ゆえ。世界中に開いた間口とその奥の生活との間に引かれた一線から学ぶことはとても多い。その境界が京都を謎めかせ、僕らは何度も京都に訪れる。

 そんなことで今回のnoteは、京都観光のちょっとした参考にしてもらえたらと、おすすめの甘味処3軒をご紹介。ガイドブックとか見てたら、もうたくさんありすぎてどこ行けばわかんなくなるよね。なので、近々京都行く予定ある方は、この三軒押さえたらバッチリなので、ぜひ。

 さて今回、久しぶりに京都に行くことになったのは、デンマーク在住で、僕が主宰するオンラインコミュニティRe:Schoolの仲間である、さわぐりさんが3年ぶりに京都のご実家に一時帰国するからだった。こんなチャンスはなかなかないと、関西在住メンバーから岐阜や岡山在住のメンバーなど約15人がさわぐりさんに会いたいと集まることになった。

 ちなみにさわぐり(さわひろあや)さんは、デンマーク在住の日本人として翻訳のお仕事をされていたり、日本ではジェンダー問題に関する記事をハフポストによく寄稿されているので、記事のリンクを貼っておく。

 さて、当日午前11時。集合場所は今宮神社の『かざりや』。

 ユウさんという、同じくRe:Schoolのメンバーが西陣の出身で、京都で集まるならばと色々とお店を紹介してくれたのだけど、それらのなかでもこれは絶対に外せないと思ったお店をスタートにした。予定なんてものはその通り行かないことがデフォルトだ。もはや僕は、変更されるもののことを予定と呼んでいる。だから行きたいところは先に行っておいた方がいい。

今宮神社

 それにRe:Schoolのメンバーは、最初こそ一応みんなで集まるものの、そのうちそれぞれが勝手に行動をする。案の定、さっそく2人のメンバーがレンタルサイクルでやってきた。この後自由行動する気満々だ。素敵。こうやって、旅上手な人は時に合流したり、1人でランチを楽しんだりするし、旅慣れない人は誰かについていくし、それを拒む人ももちろんいない。だから10人いようが、15人いようが、なんとなくお店もルートも分かれて、人多すぎて店入れないなんてこともないし、ほんと心地いい。ツアーアテンダー役がいるとしたら、今回は遠隔からメッセンジャーグループで情報を送ってくれている、西陣出身のユウさん。ちなみにこのユウさんのアテンドがほんと素晴らしかった。

智恵光院通りを歩いているとたちばな公園てのがあって、そのとなりにカフェmarbleがあります。仕事の休憩によくいってます。キウイのシャーベットみたいなジュースがばりうまです。越後屋多齢堂のカステラもちらり横目に五辻へ行かれるとええ感じかなと。

慧光寺(えこうじ)さんは、ずっと地域の御寺として、地域住民の悩みを聞いたり、子どもたちを遊ばせたり、コミュニティの役割を果たしておられます。私は幼い頃ここの寺子屋で宿題をしていました。

ちなみに京都文化博物館は明治の建物が最高なうえ、現在金カム展やってます。

お土産には、金閣寺の阿闍梨餅はどうでしょ? 堀川の鳴海餅本舗の栗赤飯も素晴らしいです。

 と、まあ、いい塩梅でユウさん自身の話を盛り込みながら、リンク付きでメッセージしてくれるので、まあ役立つ役立つ。こうやってメッセージしてくれる情報のように、Re:Schoolにおける、みんなが無理なく自然にギフトし合う関係は、やらなきゃ、しなきゃ、いかなきゃという、なきゃ精神がなくていい。それぞれの琴線に触れるところに、いいルートで歩いたり、バス乗ったり、タクシー乗ったりしながら、のんびり勝手に旅をすればいい。

 それこそ、ユウさんも含む、15人全員が揃うのは夜の食事会だけだから、それまではテキトーだ。みんなで行きたいところ行ったり、甘味食べたり、1人で写真撮ってみたり、銭湯行ったりと、ふらふらするだけ。ちなみに夜ご飯の場所も、最初はいくつかのお店候補を出し合ってたけど、メンバーの1人がこんなサイトを紹介してくれて、

 交通の便が良い、町家カフェを安価で貸切。そこにそれぞれ食べたいものを持参してくることになった。なので基本みんなからお金を集めるのは、レンタルスペース代の割り勘だけ。飲み物もご飯も自分が食べる分を自分でもってくる。みんな好き嫌いあるからね。さらにみんなにシェアしたい飲み物や食べ物があればそれはあくまでギフト。楽ちん。

 さあ、かざりやに話を戻す。まずは見てこのビジュアル。

 京都らしい白味噌の餡にまみれた焼きたてのあぶり餅がたまらなく美しい。無造作に千切られた餅にきな粉をまぶし、それを串に刺したものを炭火であぶる。ゆえの、あぶり餅。こんなに好みにあった食べ物がほかにあろうか? というほどに好き。大好き。出会えて本当によかった。これで僕の京都ミッションはほぼ終了したようなもの。それくらい満足した。これはきっと娘も好きだなあと家族への持ち帰り分も買えて一層満足。

つつまれてなお、魅力的なこのビジュアル


 さて、次に向かったのは金閣寺。今回僕は、さわぐりさんの帰国きっかけの京都旅を、Re:Schoolの修学旅行と呼ぶことにした。そこで、京都の修学旅行と言えば金閣寺。奈良における東大寺くらいな定番メニューだ。こんなこともないと意外と足を運ばない金閣寺に行ってみるには今日という日が最良な気がしたのだ。しかも、かざりやから歩いていける距離。途中、ユウさんのアドバイスのとおり、阿闍梨餅金閣寺店に立ち寄ったりしつつ、おそらく僕にとっては20年ぶりくらいの金閣寺観光。

 コロナ以降、海外からのお客さんが減っているようで、混雑などなく、ゆったりじっくり観られる金閣寺は、その荘厳さと裏腹になんだかおだやかでのんびりした印象。それでいて、来る人を後悔させないエンタメ感は圧倒的で学びが深い。それにしても、たった一つの建物がこんなにも長く沢山の人を呼び続けるんだから、建築のチカラはすごい。

入場チケットがお札ってなんかいい。

 金閣寺を出た後は、なんとなくタクシーで分かれ、僕はさわぐりさんを連れて、行きたかったかき氷屋さんに向かうことに。京都も美味しいかき氷屋さんがいろいろあるようだけれど、今回の決め手は「京の氷屋 さわ」という店名。そう、「さわぐりさんとさわへ」。ただそう言ってみたかったという、冗談みたいな動機を胸にタクシーに乗った。しかしこういう駄洒落ファーストなアクションがときに、さらなるギフトを運んでくれることがある。

 今宮神社のかざりやで京都らしい白味噌の餡のあぶり餅をいただいた僕は、あらためて白味噌が自分の体にいかにフィットするかを感じていた。そもそもうちの実家の雑煮は、関西では主流な白味噌に丸餅。具は雑煮大根とにんじんのみという、見た目は超質素な代物なのだけれど、とにかく僕はこの雑煮で育ち、いまでもお正月に白味噌雑煮は欠かせない。そんな僕の細胞に染み込んだ麹の甘みが、僕という人間をちょっとだけまろやかにしてくれているような気さえしている。そんな白味噌を使ったかき氷が「さわ」にはあったのだ。もちろん迷わず注文。これがもうたまらなく美味しかった。

 上に乗ってるのはキャラメルナッツ。こおりのなかには生姜が効いた黒糖寒天が入っていたりと、飽きさせない味。白味噌と白胡麻のシロップはあまじょっぱくてほんとハマる。食べてみそ。

いちょうの巨木が圧倒的な慧光寺

 その後は、おすすめの昆布屋さんに行ってみたり、いくつかお寺を散策したりしつつ、向かったのは今回ご紹介する最後の甘味処。京都六角にある『栖園(せいえん)』。琥珀流しという名前の寒天が有名で、とにかく大好きで何度も訪れているお店。どうして何度も訪れたくなるのか、その秘密は後ほど書くとして、その途中、寺町商店街で書画用品の老舗、鳩居堂に。鳩居堂のシルクスクリーン葉書が大好きな僕は、二十数年来、訪れる度に、季節の葉書を買い足している。実はお香屋さんでもある鳩居堂は店内の香りが最高で、寺町商店街を歩くと、ついあの香りを嗅ぎたくなって、吸い寄せられるように店に入ってしまう。

 そんな鳩居堂本店の向かいに、レターバイキングなるものがあって、便箋どれもが可愛くて上がる。さっそく九州の知人に送るお手紙用にと便箋と封筒を購入。手紙用品を買うときって、送る相手のこと想像して、なんかワクワクするよね。ちなみに本店で買った定番のシルクスクリーン葉書は、りスクール修学旅行の思い出に、りす(チップとデール)&金閣寺。この後、さわぐりさんにプレゼントするのだ。デンマークに帰っても、この葉書があればまたきっと今日の楽しい1日を思い出してくれるはず。

鳩居堂のディズニーコラボなんて初めて見た〜

 Re:Schoolはオンラインのコミュニティだから、ふだんはデンマークにいるさわぐりさんはもちろんのこと、近しい関西のメンバーですらリアルに会ったことはないというメンバーがほとんど。それでもみんな、めちゃくちゃナチュラルに、まるでご近所さんみたく話し出せることをいつも不思議に思う。でもそれはきっと、オンラインだろうと僕たちは確実にすでに会っているからだ。リアルで会っても会っていないに等しいこともあるし、モニター上でしか会っていなくても現実に会っているに等しいこともある。Re:Schoolを始めて確実に更新されたことの一つが、僕のなかの「会う」の概念だと思う。

今回買った封筒と便箋、そしてレターボックス

 さらに歩いて数分、ようやく辿り着いた『栖園(せいえん)』は、さまざまなお菓子が並ぶ『大極殿本舗 六角店』の喫茶室。待ち時間に見る和菓子たちがいちいち楽しくて、いまから甘味をいただこうというのに買ってしまいそうになる。

想像すると面白いよね。ずっとパチ打ってたりすんのかな。

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