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徳島上勝 RISE & WIN Brewing 楽しさと美味しさあってこその理念のはなし。

以前、上勝町のゼロ・ウェイストセンターに伺った際の記事を書いたけれど、ちょっと骨太になりすぎたので、今回は少しライトな上勝旅の記録。

ゼロ・ウェイストセンターを視察するべく上勝に伺うことになったものの、あまり情報を持ち合わせていなかった僕は、当日の朝、ふと上勝町のブリュワリー「RISE & WIN Brewing Co.」の池添翔太くんのことを思い出した。

以前、大阪梅田の阪神百貨店の催事に友人の発酵デザイナー、小倉ヒラクが登壇したトークの打ち上げでご一緒したことがあり、その際、ぜひ秋田のいちじくでビール作ってほしいー! なんて話をして盛り上がったものの、コロナ禍で叶っていなかったことを思いだしたのだ。

そこで当日朝いきなり池添くんにメッセージをしてみたら、今日はどうしても子供の用事で町外に出てしまっているとのこと。残念だけど、奥さんが店長をされているとのことで「伝えておきますー!」とメッセージをくれた。

淡路島から望む明石海峡大橋

最高なお天気のもと、今回、上勝に向かったのは、僕とマネージャーのはっちのほか、秋田県にかほ市の産廃業者である「秋田マテリアル」代表の佐藤さんと、スタッフの竹内くん&あきちゃん。さらにこの春、にかほ市で「めぐるめぐ」という会社を起業したばかりの学さんという、ほぼほぼ秋田メンバー。

洗濯洗剤かなんかのCMですか?ってくらい、みんな白シャツとデニム。ねえ、制服なの?

当日の朝、伊丹空港で待ち合わせをしてレンタカーに乗り換え、徳島の上勝までまっすぐ3時間。最初に立ち寄ったのは、ライズアンドウィン(RISE & WIN Brewing Co.)……ではなく、「ポールスター」というカフェ。

なんとかランチタイムに間に合ったようで、みんなで日替わりのランチをいただいたのだけど、これがほんと美味しかった。

箸置きまでサステイナブル

実は到着がランチ時間に間に合うかギリギリだったので、電話をしていたのだけど、その際電話口で、「おてふきを出していないので、ハンカチを持参してください」と言われた。そんな小さなことからでも、始められることがあるよなあと、気づきをもらった。

スコーンにはうるさい、娘のそらへのお土産にスコーンを買ったり、いくつかのエシカルな商品たちを購入。

そこで、はっちが買った阿波晩茶がとても素敵だった。阿波晩茶はそれこそ発酵デザイナーの小倉ヒラクが取材に訪れたこともあるほど有名な、乳酸菌発酵茶。徳島県那賀郡那賀町と勝浦郡上勝町の特産品だ。発酵感じる藍色の紙の筒を開けると、そのまんま茶葉が入っている。ほんとこれで良いよね。なんでもかんでも食品といえばビニールに包まれることが当たり前な時代に、とても豊かな気持ちになる。

最後に青ゆずをいただいて、店を出る。ギフトエコノミー。

そしていよいよ、「RISE & WIN Brewing Co.」へ。あ〜これだこれだ! レスキューされた建具がまるでアート作品のような超カッコいい外観に痺れる!

しかしいいお天気

「池添から聞いてますー」と明るく対応してくれた店長の亜希さん。出会い頭で、ある意味とても異質だっただろうこのブルワリーが地域に馴染んでいる大きな理由の一つが、亜希さんのような人の存在だと確信した。地域編集とか大上段に構えたところで現場において、余所者が地域の人たちとどれだけ心を開いてコミュニケーショをとれるかどうかが一番大事。池添くんはとても素敵なパートナーと出会ったんだなあ。亜季さんの漏れ出る人柄に、もう一発で大好きになった。

早速それぞれにビールを注文。さらに亜希さんに色々とお話を聞いていたのだけど、なんと「RISE & WIN Brewing Co.」を運営している母体の会社、つまり池添夫妻の所属する会社は、食品製造の工程管理や改善指導のほか、食品関連の検査業務などを引き受け、いまは新型コロナウイルスのPCR検査まで行っている、めちゃくちゃバイオ系の会社とのこと! マジ驚いた。

そんな会社の代表である田中さんという方が、当時の町長から「上勝をなんとかしたい」と相談を受け、ならば上勝だからこそできることを! と鼻息荒く『上勝百貨店』という量り売りのお店を開いたのが始まりだそう。しかしいかにゼロ・ウェイスト宣言の町とはいえ、あまり浸透せず、正直うまくいかなかった。そんなときに、代表の田中さんが出会ったのがポートランドのブルワリーだったという。

みなさんはグラウラーというのをご存知だろうか? 要は、ビールや炭酸飲料にも対応したマイボトルのことだ。ポートランドではその日飲むビールをグラウラーで持ち帰り、無くなったらまた買いにくる姿がスタンダードで、グラウラーボトルを片手にビールを楽しむ人々がたくさんいた。それを見た田中さんは「これってめちゃくちゃ浸透している量り売りだ!」と思ったという。

このお話、僕はめちゃくちゃ勉強になった。思いやコンセプトはとても大切だけれど、そこに「楽しい!」や「おいしい!」がなければ、浸透しない。この概念としては当たり前に理解できる事実を、身をもって体感されたからこそ、「RISE & WIN Brewing Co.」はあるのだ。

亜季さんいわく、いまはさらにビール醸造の過程で出てくる大量の搾りかすを堆肥化させる機械を導入して、町の先輩たちにアドバイスをもらいながら農業を始めたりと、ますますサーキュラーエコノミーが進んでいる。またそれをほんっとうに楽しく話してくれる亜季さんが、めちゃくちゃ素敵だった。

こんなに魅力的な「RISE & WIN Brewing Co.」のビールながら、僕は大好きなビールを飲めなかった。というのも、今回僕は秋田のみなさんをアテンドするべく、ハンドルキーパーを買って出た。僕が飲むわけにはいかなかったのだ。しかし、しかしだ。それも織込み済みだ。&bottleなどを一緒に開発したタイガー魔法瓶さんから発売されたばかりの炭酸対応ステンレスボトルのモニターを頼まれていた僕は、ここぞとばかりに持参していた。

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