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珊瑚は動物or植物?、珊瑚の白化はなぜ起こる?

Re:Coral(リコーラル)です。

前回の記事(「あと20年で世界の9割の珊瑚が死んでしまうの?実はそこまで知られてない珊瑚のこと」)でも少し触れましたが、
今回は珊瑚の生態についてご紹介したいと思います。

珊瑚の生態①:珊瑚はどこに住んでいるの?

珊瑚が快適に生育するのは水温18〜30度*1と言われています。

日本の珊瑚といえば沖縄が有名ですが、
実は九州や四国、関東地方にも珊瑚が生息しています。

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引用:環境省・国内のサンゴ礁保全の取り組み*2

日本は珊瑚が生育できる北限にあたるのですが、
地球温暖化などが原因で海水温度が上昇し
それに伴って、日本国内における珊瑚生息域も年々北上しているのです。

珊瑚の生態②:褐虫藻との共生

突然ですが、珊瑚は動物か植物か?・・・どちらだと思いますか?


正解は、「動物」です!


珊瑚はクラゲやイソギンチャクと同じ『刺胞(しほう)動物』の一種*3で、
触手などに毒針を持っています。


さらに、珊瑚はただの動物ではありません。
褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンが珊瑚の体内に共生しています。


昼間は褐虫藻が光合成によって生成した養分を珊瑚に提供し、
夜間になると、動物性生物である珊瑚が触手を伸ばして付近の生物を捕食します。

また、なんと褐虫藻は珊瑚が必要とする栄養の約90%を供給*4しているそうです。

珊瑚の生態③:珊瑚の白化

世界中から報告が上がっている「珊瑚の白化」現象は、
先ほど説明した、珊瑚と共生している褐虫藻が珊瑚からいなくなってしまうことで起こると言われています。

具体的には、褐虫藻がいなくなることで、
褐虫藻が光合成によってつくり出す栄養分を珊瑚が摂取できなくなくなり、痩せ細った珊瑚の「骨格」の部分がむき出しになった状態が「珊瑚の白化」です。

褐虫藻が珊瑚からいなくなってしまう原因はいくつかあり、
その代表とされるのが地球温暖化などによる水温の上昇です。
ちなみに、高水温(30度)状態が長期間続くと白化が起こる*5ことがわかっています。

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白化した珊瑚は、海の中で白く乳白色に浮かび上がり、少し儚げで美しいですが、それは死を待つ瀕死寸前の最後の生命の輝きとも言えます。

おわりに

こちらの記事内にある、白化した珊瑚と死んでしまった珊瑚の写真を見比べてみてください。

白化した珊瑚には、まだ命の息吹を感じられます。

そして、白化した珊瑚はまた色豊かな珊瑚に戻してあげることが可能なのです。
つまり、白化した珊瑚に褐虫藻が戻った状態です。


褐虫藻と珊瑚との関係はまだ謎が多く、
そのため研究が世界中でなされています。

例えば、珊瑚白化の原因は、熱さに耐えられなくなった褐虫藻が珊瑚体内から逃げ出す説が定説だったようです。
ですが、近年の研究から、珊瑚自身が機能しなくなった褐虫藻を消化・排出している可能性が見出されました*6。

珊瑚の生態の解明が、白化した珊瑚を救う鍵になるはずです。

今後、このnoteでも珊瑚の研究など紹介していきたいと思います。

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このnoteでは、珊瑚に関する研究の紹介や他団体の取り組み内容など、
珊瑚に関連する情報を発信していきます。

また、Re:Coralの活動に少しでも多くの方が関わっていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。興味のある方は是非ご連絡ください!

連絡先:recoral2020@gmail.com

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参考文献
*1:日本サンゴ礁学会・サンゴ礁 Q&A
*2:環境省・国内のサンゴ礁保全の取り組み
*3:特定非営利活動法人 美ら海振興会・5分でわかるサンゴ講座
*4:沖縄科学技術大学院大学ニュースセンター「待ち受ける新たな関係:サンゴと褐虫藻の共生メカニズムに迫る」(2016/6/23)
*5:国立環境研究所 地球環境研究センター・ココが知りたい地球温暖化「サンゴの白化は温暖化のせい?」
*6:EurekAlert! 「サンゴの白化につながる共生藻の排出メカニズムを解明」(2014/12/29)


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