仲良しの代わりに

わたしが初めてファンクラブというものに入会したのは、中学生の時でした。

地元の仲間同士6人で組んだバンド。当時人気絶頂の彼らはTVや雑誌に頻繁に登場し、供給の多さに嬉しい悲鳴をあげながらも彼らのおかげでとても楽しい日々を送ることができました。

ギター担当の推しが作る楽曲は曲調もコンセプトも様々で、ライブ映像やPV集は何度見ても飽きることがありませんでした。当時発表したアルバムには感動作の主題歌になったバラードやセクシーな歌詞のサマーチューンが同時に収録され、おもちゃ箱のようにカラフルなそのアルバムは250万枚以上のセールスを記録しました。

そんな多彩な音楽面と共に私が惹かれたのは彼らの仲の良さでした。長年の付き合いがある幼馴染ならでは、ゆるい方言で楽しそうにわちゃわちゃ話す彼らの様子を見るのが一番の喜びでした。

仲良しの終わり

しかしある時、ドラムを担当していたメンバーの脱退が発表されました。

音楽性の違いと発表されたものの、本当のところは本人にしか分からない。以前から違う感じの音楽がやりたかったのか。推しの作る、打ち込みのビートは実際に観客の前で演奏するには難しすぎたのか。純粋に、体力面で無理が来てしまったのか。

6人でなくなったことで友達から仕事仲間に変わったというように関係性の変化を語った彼らをしばらく追い続けましたが、もう仲良くないの?あの楽しそうな姿は嘘だった?また誰か抜けてしまうんじゃ?とどこか心が冷え、彼が座っていないドラムを見て寂しさを拭えず、CDを買わなくなり、いつしかTVでも見かけなくなっていきました。


友達みたいな7人

時は流れ、2021年。私は中学生の時以来、かなり久しぶりに、男性グループのファンクラブに入会しました。

幼馴染でもなければ、地元もバラバラ。自主的に集まったわけでもない、神様のような人が引き合わせた7人。(だと聞いています。)それでも絆は深く、離ればなれになりかけても7人でいることを諦めなかった彼ら。

年齢もバラバラで芸歴もバラバラなのに、なぜかやたらと仲が良い。誕生日にはプレゼントを送り合い、全力でサプライズ。個人の仕事も多いのにプライベートでもメンバーとのエピソードがたくさん。せっかく個人の部屋があるのに、1部屋に集まって過ごすホテルでの様子を語る彼ら。

パフォーマンスが素晴らしい、考え方が素敵と言いながら、やはり私は何より、仲良しな彼らの姿が大好きなのです。

再会

5月22日。彼らの2周年を祝う番組の生配信を私は見ていました。

4時間にわたる配信の終盤。1stシングルのリリースが発表されました。

「ORANGE RANGEのNAOTO作編曲プロデュース、HIROKI作詞提供の最新曲」


!!!??!!?!?


十数年前、青春時代の推しと現在の推しが交わった瞬間でした。

全然追っていなかったけど、ずっと音楽を続けていたんだ。ずっと5人でやってきたんだ。後輩からオファーを受けて曲を作ってみんなに喜ばれて、こんな再会って、こんな嬉しいことってある?

タイアップだらけのリリース、キャラクターありきのトーク番組。中学生だった私を楽しませてくれていたのはもしかしたら彼らが求める本来の姿じゃなかったのかもしれない。本当のところはわからないけれど、いくつもの時代を経て尚自分達の音楽と向き合う彼らはとても強く、自由に感じました。


関係性が変わっても

7人のライブのメイキング映像。上手く出来なかったと号泣する推しを、曲を作った彼が「難しくしすぎたね」と優しく慰めます。これって、本当にすごいこと。弱さを曝け出せること、その気持ちに寄り添えること、その姿を、ファンに見せてくれたこと。こんなに打ちひしがれても他の楽器も弾けるようになりたい、曲を作れるようになりたいと前向きに未来を語る推し。暗い曲を歌わせたくない、と前向きに終わる曲をグループに作り続ける彼。

それぞれが、一人でも成立する才能と個性を持った7人。

この先、すれ違うことがあるかも。多才だからこそ違う道に進みたくなる時だって。仲良しじゃいられない時期も来るかもしれない。

それでも、おじさんになっても、おじいさんになっても何らかの形で、好きな音楽をやっていて欲しい。

リーダーの彼は、グループが実家みたいな存在でありたいと表現していました。離れていてもまた集まって、結局一番落ち着く場所。素敵な表現。

推しがいること

なんの確証も保証もない今の時代。境遇もあってか、「当たり前じゃない」と常に彼らは話します。ライブが出来ること。ファンがいること。会いに来てくれること。CDを出せること。買ってくれること。

確かに、当たり前じゃない。健康であること。好きな気持ち。環境。社会情勢もそう。一つでも欠けると途端に会うことが叶わなくなるファンとアーティストの関係性。

何もかも不確かな世の中で、心も身体も元気で彼らに会うことが私が今生きるモチベーションになっています。長く生きると、奇跡みたいな再会も起こります。私も頑張って生きるから、

どうか、明日も推し達が健康で、幸せであってほしい。




そんなORANGE RANGEのNAOTOさんが作曲、HIROKIさんが作詞したSUMMER様様も収録された7ORDERの2ndアルバム「Re:ally?」が本日発売です。

これまたおもちゃ箱みたいなアルバム。一人でも多くの方に彼らの音楽が届きますように。

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