見出し画像

[ライブレポ]ヒグチアイHIGUCHIAI solo tour 2022 [ 最悪最愛 ]仙台retro BackPage

開演時間になり、軽やかな足取りで彼女が登場。

「今日はよろしくお願いします」と、にこやかに挨拶のあと、はじまりのルーティンの動作をし、一息ついてからの1曲目は「東京にて」。仙台で聴くこの曲。最初から感情を揺さぶられる選曲に思わず涙腺が緩む。

仙台は2017年11月以来。ずっと、北のほうでライブやりたいと言っていたけれど、こんなに間があいてしまった。なぜかというと「やるのはいいけど、キャパをうめられるほど人が呼べるのか」という大人の事情があったのだそう。

「最悪最愛」をリリースしたのが3月。そして今7月。こんなに長い期間このアルバムの曲を歌えているのが嬉しいし有難いこと。そしてここにいる皆は、ここまでの間たくさん聴いてくれているはずだから、曲もばっちり覚えているはず…手拍子も上手に出来るよね!と観客たちに要求をしつつの「サボテン」。それに答えるような皆の小気味よい手拍子、いい感じ~と嬉しそうにリズムを刻むヒグチ。

こじんまりとした会場の雰囲気がそう感じさせるのか、彼女もリラックスしているように見える。

今回のライブ会場は、光のページェントや定禅寺ジャズフェスティバルなどのイベントが行われる、定禅寺通りに面したところ。

この間のTV番組で披露した元カレかるた「嘘だよね シャンプーの匂いが甘いもの」。

当時付き合っていた彼はミュージシャン。ちょうどその時期に、定禅寺ジャズフェスティバルに呼ばれ、仙台に泊まって帰ってきた時のエピソードがあのカルタで。だからここがあの定禅寺通りか、という…なんか複雑というか因縁というか。。というヒグチのトークに笑いが起きる。

あのカルタのネタが仙台絡みで生まれたということで、この場に集まった皆の心を更に掴んだように思えた。

そして東京の泥酔客事件。ああいう風になるのも、人それぞれの事情があるだろうしって思ってたけど、やっぱり最近、そういう人はライブに来るべきじゃないなと思った。いろいろ事情を抱えているけど、それを自分の中に秘めている人たちを大事にしたいとあらためて思ったと語り終え、歌い始めたのは「ラジオ体操」。

この曲が聴けたのは震えた。夏、この季節に、ライブで聴きたかった曲。


「劇場」を歌い終えた後、最近、最後の曲ですって言うの忘れちゃうんだよね。今のが最後の曲でしたと、照れ笑いしつつ、このままアンコールやります!というヒグチの言葉に、自然とアンコールの拍手が会場に鳴り響く。

アンコールは「縁」。

手拍子は心の中で。

それで伝わるから。

会場全体に、とてもよい雰囲気に包まれた空気と、あたたかい余韻を残しながら、終演時間を迎えたのだった。

曲を終え、ふう…と漏れる吐息がかすかに聞こえるたびに、会場にいるひとりひとりに、歌を届けよう、自分の言葉、思いを伝えようとしてくれるのが、より強く感じられたように思う。
私はまた、そんな彼女に魅力されてしまうのだった。


HIGUCHIAI solo tour 2022 [ 最悪最愛 ]
2022/7/24(日) 仙台 retroBackPage


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?